前日の往路では、東洋大学が柏原竜二のごぼう抜きで逆転優勝、早稲田大学が22秒差の2位、前回王者・駒澤大学が15位と出遅れました。迎えた3日の復路は、東洋大と早稲田の総合優勝争いとシード権争いで順位が激しく入れ替わりました。
6区では、東洋大・富永光と早稲田・加藤創太が下り坂での激しい首位争いを展開。加藤が前に出れば富永が抜き返すというデッドヒートから、最後は加藤が前に出て平塚中継所をトップでタスキリレー。富永は18秒差で2位。シード権争いでは、9位スタートの大東大・佐藤匠が3人抜きの快走を見せて6位浮上、往路10位・帝京は8位、往路6位・国士舘は12位に下がりました。駒澤は15位と変わらず。
7区、早稲田・八木勇樹が一度は東洋との差を350m、時間にして1分以上広げる快走を見せますが、中盤にペースダウン。東洋・飛坂篤恭は徐々に早稲田との差を縮め、大磯で25秒差、19キロで16秒差に迫ります。そして平塚中継所を八木が飛坂の猛追を何とか振り切ってトップでリレー、12秒差の2位に東洋が入ります。3位以降では、日体大が中央学院をかわして3位、学連選抜が梶原有高が2つ順位を上げて9位でリレー。中央大が11位に後退。
8区、東洋・千葉優が早稲田・中島賢士を抜いて逆転しますが、中島が離されないと並走。16キロまで2人の並走状態が続きますが、16.5㎞で千葉がスパート。シード争いは熾烈に。12位でタスキを受けた東農大・園田稔が5人抜きで7位浮上。山梨学院・岸本匡はシード圏外まで落ちてしまいます。後方ではアクシデント発生。城西大学・石田亮が19.8キロ付近で足が止まり途中棄権。これにより城西大は記録無し。
東洋・千葉は、早稲田との差を19キロ過ぎに130mまで広げ、平塚中継所をトップでたすきを渡します。45秒差の2位に早稲田が入る。明治が4位、中央学院は5位に後退。東農大は7位、中央大は3つ順位を上げて8位、山梨学院は12位に転落。8位・中央から13位・学連まで48秒差。まだわからない。
9区、早稲田・朝日嗣也が東洋を猛追し、5.3kmのところで6秒差まで詰めていきます。しかし、東洋・大津翔吾が9キロでスパートをかけ、徐々に差を広げていき、横浜駅前のところで30秒差まで開きました。後方では、山梨学院・中川剛が10位浮上、帝京大は13位まで下がります。中川はこの後、日大を抜いて9位、中央・東農大の7位集団に加わります。4位争いもヒートアップ!大東大・久保謙志が明治・中央学院の4位集団に加わります。
首位の大津は、生麦チェックポイントで1分以上広げて独走態勢。鶴見中継所をトップでアンカーの高見諒にタスキリレー。1分26秒差の2位に早稲田が通過、4位争いは中央学院が4位、大東大5位、明治6位でリレー。7位以降のシード争いは、中央と東農大がほぼ同時、山梨は9位、10位に日大、国士舘11位で学連12位。日大と学連との差は1分20秒。駒澤は池田宗司が順位を上げたものの、逆転シード入りは厳しくなった。帝京は14位まで落ちてシード権争いから脱落。
いよいよクライマックスの10区。東洋・高見が3キロを9分13秒だったのに対し、早稲田・三戸格は9分2秒で通過。明らかに差を詰めました。鎌田踏切で東洋との差が1分7秒と縮まりましたが、高見が盛り返して新八ツ山橋で1分14秒、田町で更に差を広げます。
シード争いでは、日大・吉田和矢が山梨・東農大・中央の7位集団をかわして7位に浮上。田町で6位・明治から11位タイ・国士舘と学連までの差が1分2秒差。
東洋・高見は、20キロを1時間2分7秒で通過。2位の早稲田・三戸は東洋との差を詰め続け、54秒差まで縮まる。一方、4位以降&シード争いは急展開!4位争いは中央学院VS大東大、日大から学連まで30秒差、残り2キロで東農大が11位転落、残り1キロで9位・学連、10位・中央という順位に。
東洋大は終盤に早稲田に追い詰められましたが、それを振り切ってフィニッシュ地点・読売新聞社前を先頭でゴール!東洋大学が悲願の総合優勝!41秒差の2位に早稲田がゴール、3位・日体大、そして大東大・中央学院・山梨学院の4位争いは最後にデッドヒート!ラストスパート合戦は大東大・木村茂樹が先着し4位。シード争いは、日大7位、明治が8位でシード権獲得、9位に学連選抜が入り、中央大が10位でギリギリ確保。11位・国士舘、12位・東農大は惜しくもシード獲得ならず。そして駒澤大学は13位でゴール。
最終成績
1 東洋大学 11時間09分14秒
2 早稲田大学 11時間09分55秒
3 日本体育大学 11時間13分05秒
4 大東文化大学 11時間17分48秒
5 中央学院大学 11時間17分50秒
6 山梨学院大学 11時間17分56秒
7 日本大学 11時間18分14秒
8 明治大学 11時間18分16秒
9 関東学連選抜 11時間18分20秒
10 中央大学 11時間18分33秒
11 国士舘大学 11時間19分07秒
12 東京農業大学 11時間19分17秒
13 駒澤大学 11時間20分20秒
14 専修大学 11時間24分59秒
15 神奈川大学 11時間25分07秒
16 亜細亜大学 11時間25分39秒
17 拓殖大学 11時間26分31秒
18 東海大学 11時間28分04秒
19 順天堂大学 11時間28分04秒
20 帝京大学 11時間28分21秒
21 上武大学 11時間28分54秒
22 青山学院大学 11時間29分00秒
城西大学 (8区途中棄権) 記録なし
区間賞
6区(20.8km)佐藤匠 大東文化大学 59分14秒
7区(21.3km)飛坂篤恭 東洋大学 1時間05分01秒
8区(21.5km)高林祐介 駒澤大学 1時間06分27秒
9区(23.2km)中川剛 山梨学院大学 1時間11分07秒
10区(23.1km)永井大隆 日本体育大学 1時間10分41秒
東洋大学が復路もトップを守りきって初の総合優勝を達成!復路優勝も決めたので完全優勝となりました。早稲田大学は2年連続の2位、4位の大東文化大学は6年ぶり、明治大学は43年ぶりのシード権獲得。駒澤大学は13位でシード落ち。青山学院大学と上武大学は最後までタスキを繋いで無事完走を果たしました。なお、城西大学は8区途中棄権で記録無しに終わりました。学連選抜が9位に入ったため、次回の予選会の出場枠は10校になりました。
優勝を決めた東洋大学は、往路の勢いがそのまま持続していましたね。12月に起きた部員の痴漢事件で出場辞退の危機もあったんですが、出場することを決断、不祥事が起きたことで選手たちのモチベーションが下がってしまうんじゃないかと思ったんですが、それを乗り越えての完全制覇でした。総合優勝の原動力となった柏原選手は大会MVPを獲得、7区で区間賞を獲得した飛坂選手、9区で1分以上広げた大津選手も共に優勝に貢献しました。今回の優勝で東洋大学の時代が突入、優勝メンバーもたくさんいるので、連覇の期待もあるでしょう。選手の皆さん本当におめでとうございます。
前回王者の駒澤大学は、往路の成績不振が影響して13位に終わりました。前回王者がシード落ちしたという例は大会史上初めてとの事です。高林祐介選手の8区区間賞、池田宗司選手の区間3位の快走と意地を見せたのですが、逆転シード権とはならず。チームの中心選手である深津卓也選手が出てこなかったんですが、一体何があったのでしょうか?常勝軍団の終焉を迎えた駒澤大学、予選会で出直しとなります。
私の母校である大東文化大学は、総合4位で6年ぶりのシード権獲得です!山登り区間に入る前までは14位と厳しい位置でしたが、5区で下條誠士選手が5人抜きを見せて9位に押し上げ、6区で佐藤匠選手が区間賞を獲得しました。山の区間で共に好走したことで、チームの流れが良くなったんだと思います。「5位でもいいかな」と思ったら、アンカー区間の木村選手が4位でガッツポーズしながらゴールしたときは、優勝した以上に嬉しかったです。大東大OBの奈良修さんが監督に就任、「奈良イズム」でチームが復活を果たしました。前回は途中棄権で悲しさと悔しい思いをしたけど、今年はみんなよく頑張ってくれました!いつかは大東文化大学陸上部が学生3大駅伝で優勝してくれることを願ってます。
今季の学生3大駅伝は、出雲駅伝で日本大学が優勝、伊勢路の全日本大学駅伝では駒澤大学、箱根駅伝では東洋大学が完全優勝を達成しました。駒澤の常勝時代の終幕、早稲田大学の復活、東海大学と順天堂の苦戦、東洋大学時代のスタートと箱根駅伝は戦国化を迎えたといえるでしょう。来年は駒澤のリベンジ、東洋の連覇、早稲田の悲願V、大東文化大の活躍に期待したいと思います。