学生3大駅伝の最終戦・第90回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)は、2日に往路が行われました。90回目の記念大会となる今年は、前回のシード校10校+予選会から勝ち上がった13校の合わせて23チームが出場。出雲駅伝と全日本大学駅伝の2冠を制した駒澤大学は、この大会で優勝すれば3冠達成。前回の優勝校・日本体育大学は連覇、2年前の王者・東洋大学は王座奪還を狙います。初日の往路では、繰り上げスタート、途中棄権、シード校の苦戦と波乱の展開となりました。
午前8時、東京・大手町の読売新聞本社前を23校の選手が一斉にスタート。1区は早稲田大学・大迫傑がスタートから先頭集団を引っ張り、最初の5キロを14分10秒で通過。このハイペースにより、ランナーたちが次々と先頭集団から脱落し、13キロ時点で7人、16.5Kmのところで5人まで絞られる。そして18キロ過ぎ、東洋大・田口雅也がスパートを仕掛けると、早大・大迫が遅れ出す。しかし19.5キロのところで駒澤・中村匠吾、日体大・山中秀仁が抜け出し、東洋・田口は後退。中村と山中の競り合いは終盤まで続き、残り400mで山中がラストスパートをかけ、鶴見中継所をトップでたすきを繋ぎます。12秒差の2位に駒大、東洋大は3位、早大・大迫は5位。
各校のエースが集う2区、16位でタスキを受けた山梨学院のオムワンバが、横浜駅前を通過した所で5人を抜いて11位まで順位を上げる。ところが、9キロ過ぎに突然ブレーキを起こし、右足を引きずりながら走りつづけるも、9.6キロのところでストップし、歩道側に座り込んでしまう。オムワンバはこのまま競技を続けられず、山梨学院大学は無念の途中棄権。拓殖大・モゼは鶴見で17位でタスキを受けると、ここから怒涛のごぼう抜きショー。6キロ過ぎに5人を抜くと、13キロ手前で10人抜き達成。
一方、上位争いは、駒大・村山謙太が4キロ過ぎに日体大・本田匠を捕らえると、6キロ過ぎに単独首位に浮上。その後も快調なペースでひた走る。12キロを過ぎて、東洋・日体大・明治・早稲田の4チームが2位集団を形成し、14キロ手前で本田がズルズルと後退。2位争いを尻目に独走態勢を築いている村山だが、15キロを過ぎた所でペースダウン。2位との差がみるみる縮まるも、何とか逃げ切って戸塚をトップでたすきを渡す。東洋・服部勇馬がトップから26秒差の2位、早稲田が3位と続く。鶴見をトップでタスキを受けた本田は6位と順位を落とし、拓殖・モゼは17位から7位まで押し上げた。そして首位・駒澤が通過してから10分後、22位・国士舘大と途中棄権の山梨学院が繰り上げスタート…。
湘南海岸を駆け抜ける3区、2位の東洋・設楽悠太が、駒大・油布郁人を猛追。8.7キロ時点で5秒差まで縮まると、9.4キロで油布を抜いてトップに躍り出ると、一気に突き放して茅ヶ崎(14.5 km地点)で24秒差、湘南大橋(18.2 km)で45秒差まで拡げた。設楽悠太は最後まで快走を続け、小田原中継所をトップで通過。駒大は55秒差の2位。日体大は7位まで後退。
10区間中最短区間の4区、先頭の東洋大は今井憲久が、設楽悠の好走に応えるかのようにトップを守り続ける。2位の駒大は、中谷圭佑が東洋との差を必死に詰める。3位争いでは、早大・平和真と明治・木村慎の並走が続いたが、14キロのところで平が引き離して単独3位。
往路アンカーを待つ平塚中継所、東洋大学がトップでやって来て、今井から設楽啓太へタスキリレー。それから21秒後、駒澤大学が2位で通過。3位・早稲田、4位・明治、5位・青山学院、6位・拓殖と続き、7位の日体大・服部翔大がトップから6分31秒遅れでスタート。
山登り区間の5区、東洋の設楽啓はゆったりとしたペースで進み、5キロを15分1秒で通過。対する駒大・馬場翔大の5キロ通過タイムは15分10秒。大平台(9.5km)と小涌園前(14.3Km)で両校の差は26秒差だったが、芦之湯(18.3km)で40秒差まで拡がった。一方、7位でタスキを受けた日体大・服部翔大は、5キロで拓殖を抜くと、12.5キロで青学大を抜いて5位浮上。さらに20キロ手前で明治をかわして4位まで順位を上げた。
先頭を行く東洋・設楽啓太は、最後までトップを守り抜き、芦ノ湖をトップでゴールイン!東洋大学が2年ぶり5回目の往路優勝!東洋がゴールしてから59秒後、駒大・馬場が2位でフィニッシュ。5分9秒差の3位に早稲田が入り、日体大・服部は4位でゴールしました。
往路順位
1位:東洋大学 5時間27分13秒
2位:駒沢大学 5時間28分12秒
3位:早稲田大学 5時間32分22秒
4位:日本体育大学 5時間33分45秒
5位:青山学院大学 5時間35分04秒
6位:拓殖大学 5時間35分52秒
7位:明治大学 5時間36分01秒
8位:大東文化大学 5時間36分31秒
9位:東海大学 5時間37分00秒
10位:日本大学 5時間37分12秒
(ここまでがシード権内)
11位:法政大学 5時間37分46秒
12位:帝京大学 5時間39分23秒
13位:中央学院大学 5時間40分18秒
14位:東京農業大学 5時間41分39秒
15位:神奈川大学 5時間41分56秒
16位:上武大学 5時間41分59秒
17位:中央大学 5時間42分27秒
18位:国学院大学 5時間42分36秒
19位:順天堂大学 5時間43分30秒
20位:城西大学 5時間44分27秒
21位:専修大学 5時間47分57秒
22位:国士舘大学 5時間55分47秒
棄権:山梨学院大学 記録なし
区間賞
1区:山中秀仁(日本体育大) 1時間01分24秒
2区:高田康暉(早稲田大) 1時間08分18秒
3区:設楽悠太(東洋大) 1時間02分13秒
4区:中谷圭佑(駒澤大) 54分41秒
5区:設楽啓太(東洋大) 1時間19分16秒
穏やかな天気の下で行われた往路は、東洋大学が設楽ツインズが共に区間賞を獲得する活躍を見せ、2年ぶり5度目の往路優勝を果たしました。駒澤大学はトップから59秒差の2位で復路に臨みます。タイム差を考えれば逆転優勝の可能性は十分にあります。前回王者の日体大は4位。1区ではトップで通過したものの、2区と3区が誤算。それでも5区の服部翔大選手が7位から4位まで上げ、主将の意地を見せつけました。拓殖大は予選会組では最上位の6位と健闘。2区のモゼ選手が10人抜きの力走で7位まで押し上げると、3区で6位まで浮上しました。
シード権争いでは、日本大学が10位に入り、法政が圏外の11位。両校の差は34秒差。12位の帝京、13位の中央学院にもまだ可能性は残されています。なお、山梨学院大学は2区でオムワンバ選手の負傷により途中棄権。3区以降はオープン参加扱いとなり、記録も残らず。オムワンバ選手はレース後に病院で検査を受け、右足腓骨の疲労骨折と診断されました。外国人選手の途中棄権は長い歴史の中で初めてだと思います。軽快な走りを見せていただけに、突然のアクシデントでレースを止めてしまったのは悔やまれる…。駅伝は何が起こるか本当にわからない…。
3日の復路は、午前8時に首位・東洋大学からタイム差順に芦ノ湖をスタートし、10分後に11位の法政大学以下のチームが一斉にスタートします。総合優勝争いに注目が集まるけど、熾烈なシード権争いも見逃せません。復路では全選手が無事に完走できる事を願います。