

今月14日から東京・両国国技館で行われている大相撲初場所は、27日に14日目が行われました。今場所は横綱の白鵬が5日目から途中休場。さらには復活を目指していた稀勢の里が3日目から3連敗を喫し、6日目から休場となりました。13日目までを終えて、前頭3枚目の栃ノ心(春日野部屋)が12勝1敗で単独首位。横綱・鶴竜と大関・高安が10勝3敗で並んでいます。14日目に栃ノ心が勝利すれば、千秋楽を待たずして幕内最高優勝が決まります。
優勝に王手を懸けた栃ノ心は、東前頭9枚目の松鳳山(二所ノ関部屋)と対戦。立ち合いで松鳳山が先に突くが、栃ノ心も突き返す。お互い激しい突き合うと、松鳳山が引いて栃ノ心が一瞬バランス崩すが、栃ノ心が左四つに組んで松鳳山をそのまま寄り切って勝利。栃ノ心が13勝目を挙げ、初優勝を決めました!優勝決定の瞬間、場内から拍手と大歓声が沸き上がりました。
取組後のインタビューで栃ノ心は、優勝を決めたことについて聞かれ「最高ですね。すごくうれしい。自分でも信じられない」と喜びに浸っていました。この日の相撲内容については「相手がなかなか捕まらない相手なので、詰まってから捕まえようと思った。親方からもそういう風に注意されているので、優勝できてうれしいです」と語ると、「相撲のことで注意されて、本当に親方にありがたい気持ちしかないです」と師匠の春日野親方に感謝の言葉を述べました。
入門から12年目での初優勝に「いつかは優勝したいなって思っていたけど、今場所この日来るとは思わなかったです。勝った瞬間は頭が真っ白だった」。今場所は何が良かったのかという問いには「気持ちと稽古もちゃんとしたんで、それが良かった」と話しました。
一方、10勝3敗同士で並んでいた鶴竜と高安の直接対決は、高安が立ち合いから攻め込み、鶴竜が引いたところを一気に寄り切って勝利。高安は11勝目を挙げ、鶴竜は4連敗となりました。
大相撲初場所は、ジョージア出身の平幕力士・栃ノ心が初めての幕内最高優勝を果たしました。ヨーロッパ出身の力士が優勝したのは、元大関の琴欧洲(2008年夏場所、現・鳴戸親方)、元大関・把瑠都(2012年初場所、現・タレント&総合格闘家)に次いで史上3人目。平幕優勝は2012年夏場所の旭天鵬(現・友綱親方)以来5年8か月ぶりとなります。
そして、春日野部屋所属力士の優勝は、1972年初場所の栃東(13代玉ノ井親方。息子は2代目・栃東)以来46年ぶり。その時も平幕優勝でした。春日野部屋は先日、元所属力士が弟弟子を殴って大けがを負わせる傷害事件が発覚したばかり。不祥事で大変なことになっている時期に明るい出来事が起きましたね。
栃ノ心の出身地であるジョージアでも喜びの声が上がり、現地のテレビ局が栃ノ心の優勝を伝えると、マルグヴェラシヴィリ大統領がツイッターで「レヴァニ・ゴルガゼが大相撲で天皇賜杯を手にしたことを誇りに思う」と綴り、クヴィリカシヴィリ首相も「おめでとう栃ノ心」と祝福。初場所の後、ジョージアから国民栄誉賞が与えられるかもしれませんね。
栃ノ心は2006年に初土俵を踏み、2008年夏場所に初入幕。しかし、2013年の名古屋場所で右ひざを負傷すると、一時は幕下まで転落。それでも、2014年に幕下で2場所連続優勝、十両でも連続優勝を成し遂げて幕内に返り咲きました。大ケガを克服して復活できただけでもすごいのに、幕内で優勝を成し遂げるのは奇跡だと思います。私生活でも昨年11月に長女が生まれ、公私共にピークではないでしょうか。
28日の千秋楽では遠藤と対戦。勝って今場所の有終の美を飾ると同時に、3月の春場所に繋げておきたい。来場所は関脇昇進は確実で、春場所と夏場所で2ケタ勝利すれば、大関に昇進できるかも。栃ノ心関、初優勝おめでとうございます。
横綱の鶴竜関についてですが、7日目に栃ノ心に勝利し、10日目まで無傷の10連勝と絶好調。久しぶりの優勝が近づいたかと思われましたが、11日目の玉鷲戦で初めて黒星をきっすると、遠藤、御嶽海、高安にも敗戦。白鵬と稀勢の里が休場して一人横綱になったのに、10連勝から4連敗と急失速。千秋楽の豪栄道戦では、横綱の意地を見せてほしいところだ。これで5連敗を喫したら、来場所は進退をかけないといけないぞ。
日馬富士が昨年の九州場所で引退し、稀勢の里が5場所連続休場、白鵬も衰え気味で、鶴竜が初場所で失速…。なんか横綱陣の不甲斐なさが目立ってますね。今年中に3横綱が全員引退し、横綱空位の時代がやって来そうな予感がしてならない。