やっぱりいい女だった。
藤 圭子 流星ひとつ
中坊の頃から高校まで好きだっただけのことはある。
なんと清く、潔く(いさぎよく)、名前の通り“純”で・・・・・・。
なにかと胡散臭い 沢木耕太郎ではあるが、この本は素晴らしい^^
まあ、圧倒的に藤圭子が素晴らしいんだけど。
その沢木耕太郎と(どの?)意見が一致するとは思わなんだ。
「ぼくは、やっぱり〈女のブルース〉で、好きになったんだろうな、藤圭子が。」
正解です。
沢木耕太郎、珍しく正解です。 (珍しくはいらないぞ^^)
不肖・ワタクシもまったくその通りでした。
女ですもの 恋をする
女ですもの 夢に酔う
女ですもの ただ一人
女ですもの 生きていく
このインタビュー時、28歳になっていた藤圭子は言う。
「初めてこの歌詞を見たときは・・・・・・震えたね。
すごい、と思った。 衝撃的だったよ」
ここは東京 ネオン町
ここは東京 なみだ町
ここは東京 なにもかも
ここは東京 嘘の町
「ここは東京、なんて当たり前の歌詞が、みんな意味が違うんだよね、歌にすると。
あたし、これを歌うとき、聞いている人に、4つの東京を見せることができる、と思ったもん。
なんで、ここは東京、という言葉が4回出てくるだけで、こんなドラマになるんだろう、って。
沢木さん、思わない?」
「思う」
「すばらしいですよ、ほんとうに」
「冴えておりましたね、石坂まさを氏、は」
「そうなんです。冴えていたんです。
何処で生きても 風が吹く
何処で生きても 雨が降る
何処で生きても ひとり花
何処で生きても いつか散る
ほんとに・・・・・・何処で生きたって、いつか散るんだよね・・・・・・」
そしてもう1曲 この本を読んでいて思い出した曲が〈別れの旅〉だ。
そーか、阿久悠の作詞だったのか。
夜空は暗く 心も暗く
さびしい手と手 重ねて汽車に乗る
北は晴れかしら それとも雨か・・・・・・
愛の終わりの 旅に出る二人
おぉ メロディが自然に出てきて、まるまる歌えてしまった。
なんていい曲なんだろう。
終着駅の 改札ぬけて
それから後は 他人になると云う
二年ありがとう しあわせでした・・・・・・
うしろ見ないで 生きて行くでしょう
でもこんな歌詞を、離婚直後に歌わざるをえなかった流星。
「宣伝用の離婚だなんて言われて、口惜しくて口惜しくて、
それならもう歌いません、という調子で歌うのをやめてしまったの・・・」
「馬鹿ですねえ」
「ほんと馬鹿なの。
それで歌う歌がないもんだから、しばらくはB面の歌を歌ってた。
馬鹿ですね、われながら。」
その張本人、別れた亭主 前川清についても多くを語っている。
泣ける。 ふたりに泣ける。
「あたし前川さんの歌が大好きなの。
あんなうまい人はいないと思ってるんだ。
昔も好きだったけど、いまも前川さんの歌は大好き。
あんなうまい人はいないよ。 絶対に日本一だよ」
流星ひとつ 流れて消えてしまった。
本人は流れ星を見たことがないそうだ。
そりゃそうで、本人が流れ星だったんだから。