さて問題です。
次の文章が表す大都市はどこでしょう?
あらゆる場所で腐臭が漂う。
港は住民の糞尿で汚染され、コレラが流行の兆しを見せている。
一大事業の利権をめぐって政財官で汚職事件が相次ぐ。
その突貫工事で労災死が急増するが、犠牲者の多くは地方からの出稼ぎ労働者。
劣悪で暴力的な現場は野放しにされ、労働法規の及ばぬ世界が各所にある。
凶悪な少年犯罪が毎日のように起きる。
ギャング組織のパーティーが公共施設で堂々と行われる。
・・・中国のどこか?
うーんと、南米かアフリカのどこかか? 偏見はいけんよ m(__)m
じゃあ、SFかなんかの架空の都市?
正解は 1964年の東京。
糞尿まみれの港とは東京湾のこと。
一大事業とはアジアで初開催となるオリンピック関連。
新幹線に高速道路網、膨大な利権が蠢く。
ギャング組織は暴力団で、パーティーとは幹部の襲名披露。
襲名披露、当時は映画そのままに大々的にやってたなぁ・・・
黒服の恐い人たちがズラーーーーーーーっと並んで、ある意味壮観だったこと。
えーと、その話は置いといて、、、
オリンピック開催で浮き立つ東京の裏の顔。
光と影、三丁目の夕日が決して当たらない方の東京だ。
「1964」の栄光は、郷愁で上書きされた虚飾のイメージにすぎない。
東京は暗黒都市だった・・・。
「1964 東京ブラックホール」 貴志 謙介著
なるほど、
言われてみれば確かに僕の記憶も郷愁に上書きされている。
以下、郷愁にあふれたロマンチックな文章をどうぞ^^
今は亡き親友のヒロブーと、大人たちの足の間から見た白くたなびく聖火の煙。
テレビで観たブルーインパルスが蒼穹に描いた五輪の輪。
あの空はカラーだったのか、白黒だったのだろうか。。。
化け物のように強かったヘーシンク。
信じられないことにマラソンの後にジョグして体操するアベベ。
初めてみた祝祭、カーニバルのように美しくも儚い閉会式。
静かに消えていく聖火の炎・・・
そう、すべては神話のごとく美しく上書きされ保存されている。
はい、郷愁の部、終了~
んんが、んんんんが、
実際の東京は前述した通り、神話にはほど遠い“地獄”だったと。
そして貴志謙介はこうも書いている:
「1964年と2020年が、その危うさにおいて、双生児のように似ている」 と。
貧富の差の拡大、一極集中で地方は犠牲にされ、そして疫病の蔓延。
おお、まさに まんまだ。
幸いというか、1964年にコレラは蔓延しなかったけれど、
「コレラ」という響きは、我々世代の心の隅に言いようのない恐怖として浸み込んでいる。
「日本脳炎」と「恐怖のミイラ」と同じくらい^^ おおこわっ
で、ただいま2020では総理大臣が誰になるか大騒ぎだ。
替えが効かないと言われた1強も、あっという間に過去の人になる。
がしかし、国の在り方は過去にはならない。
1964と現在とは地下茎で結ばれている。
※ テキスト by 安田浩一 山日新聞 書評欄より
ついでの追記:
アベベはマラソンで独走優勝し、ローマ大会に続いて連覇を果たした。
ローマでは裸足で走ったから、「裸足のアベベ」と呼ばれていた。
残念ながら? 東京ではちゃんとシューズを履いていた。
クールダウンは今でこそ普通だけど、当時はそんなん誰もしてなかった。
多くの選手は、レース直後にはバスタオルで大切にくるまれて失神した。しねーよ
失神はしないが、それに近いような状態になっている中でのアベベのクールダウンだから、
ええ!? アベベ体操してるぞ、全然へーきな顔してるじゃん とか話題になったのだ。
それと、不謹慎なことに「あっ、ベベ」とか女性器の別称を小僧たちは叫んでいたな^^
ヘーシンクの化け物のような強さは前にも書いた。
東京大会で初めて採用された柔道、当時は4階級のみ。
軽量級、中量級、重量級を順当に勝った日本は、最後の無差別級でも勝つはずだった。
日本の神永の前に立ちはだかったのが、オランダのアントン・ヘーシンク。
国を一人で背負った神永の戦いはあっという間に終わった。
後々、大きくなってから神永とヘーシンクの間のエピソードに涙した。
それはそれは美しい話だ。
この世紀の一戦、小学校でみんなと見てたはず・・・ここらあたりは曖昧だ。
ただ、授業の一環としてテレビを見せてくれたのは確かだ。
班ごとに、オリンピック新聞も作っていたっけ。
かべ新聞てやつだ。教室や廊下に張り出すやつ。
その頃からレイアウトとか、ちょっとしたイラストを得意げに描いてたなぁ
どーよ、オレうまいだろ的な。
ま、チカラでねじ伏せていた気もする^^ 単なる嫌われもんじゃん
なんてことも含めて、1964 東京オリンピックのことは、
たぶんこのブログの中で書き散らかしているはず。
いいの、いいの。何回も書くのが年寄りのすべて。
それ「若者のすべて」のパクリじゃん。
三宅義信、鉄棒の小野、依田郁子、円谷幸吉と君原健二と寺沢徹。
サクライ、サクライ、ジャパン! ボクシングのバンタム級金メダル、桜井孝雄。
アホな中坊たちが、50m走やリレーで走る時にクチにした「ヘイズ!ヘイズ!ヘイズ!」
そう言いながら走ると、速くなりそうな気がした速さの象徴、ボブ・ヘイズ。
ハインズ派もいた^^ (次のメキシコ大会の100m覇者)
憧れはバレーボールの宮本さん。
肝心なサッカーは観た記憶なし(次のメキシコ大会で銅メダル。 杉山・釜本コンビ)
追記 長っ^^
ラスト~
「恐怖のミイラ」
当時のガキんちょたちを恐怖のるつぼに叩き込んだテレビ番組。
包帯したミイラ、天井裏にいるんだぜ・・・
で、節穴から下をのぞくんだぜ・・・
寝られんて^^
そりゃ寝小便もするだろさ。
はい、終了~~~~~