ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

岩波書店が六法の刊行を終了した

2013年07月22日 22時56分11秒 | 法律学

 読売新聞社が今日の18時24分付で「岩波の『六法全書』、昨年秋の13年版で終了」として報じていました(http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20130722-OYT1T01392.htm)。

 この記事を手がかりにして、岩波書店のサイトを見たところ、少々わかりにくい形で「謹告」が掲載されており(http://www.iwanami.co.jp/topics/kinkoku.html)、「六法の刊行終了にあたって」と題された文書が掲載されていました。ここでは一部のみを紹介しますと、1930年、京都帝国大学の末川博教授の発案で『六法全書』の刊行が開始されました。当時は小型判だったようです。その後、『コンパクト六法』なども発売されたのですが、2008年から『セレクト六法』、『基本六法』、『判例基本六法』の3種類が登場します。また、『判例基本六法』は『判例セレクト六法』に変わっています。

 この三種の刊行が終了してしまうのは、やはり、需要の低迷によるものです。岩波書店の「謹告」でも「今日、市民生活における法の重要性がいよいよ高まり、市民の法意識の向上が課題となる一方で、インターネットの普及等により条文や判例へのアクセスも多様化した結果、大学教育等の場において六法の需要は低迷し、その在り方が問われる状況が現出していることも事実です」と記されています。そこで「法律書の刊行態勢をあらためる」ということになり、「昨秋刊行した平成25年版をもって岩波版六法の刊行を終え」ることとした、という訳です。

 私自身は有斐閣の六法、ぎょうせいなどの会社が刊行する専門分野の六法を愛用していますが、学部生時代には岩波書店の『コンパクト六法』を使用していたことがあります。また、『セレクト六法』を使用したこともあります。

 かく記す私も、最近ではイーガブの「法令データ提供システム」(http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi)を利用することが多いのですが、講義などの際には六法が欠かせません。電子データではかえって検索などが面倒な場合が多いからで、冊子の六法は今でも必需品なのです。しかし、冊子では限界があるのも事実です。

 これでますます、講義や演習で六法を持参せず、あるいは持ってきても開かず、法律の条文をまともに読むことのないような学生が増えるのではないか、と懸念しています。税法の講義ではとくに多いように感じるのですが、他の分野でも似たようなものでしょう。実際、期末試験などで条文の読解を試すような問題を出すと、法科大学院を除いては全滅の答案が多かったりします。にわか仕込みでは条文を読みこなす力などつきません。

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