ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

法科大学院の強制閉校が行われるか?

2015年05月29日 09時59分47秒 | 受験・学校

 法科大学院の低迷が叫ばれて久しく、法科大学院の受験者・入学者が減少しています。当然のことです。最初の段階では74もあった法科大学院ですが、私が勤務している大東文化大学を含め、既に25の法科大学院が募集を停止しています。昨年末までに愛知学院大学、東洋大学、静岡大学などの法科大学院が募集停止となることが発表されましたが、今年に入ってからは熊本大学法科大学院の募集停止が報じられたくらいで、「これでは国側から何かの動きがあるだろうな」と思っていました。

 今日の朝日新聞朝刊1面14版に「法科大学院 強制閉校も 政府案 司法試験 低迷校を対象」、38面14版に「法科大学院 サバイバル」という記事が掲載されています。まだ、今後の対応について検討を開始する方向という程度なのですが、再編などが強く主張される割には進んでいない現状を強制的にでも打開しようということでしょう。

 既に、「熊本大学の法科大学院も募集停止に向けて調整か」(2015年02月01日21時47分33秒付)において記したように、補助金の削減およびランク付けが行われています。これにより、淘汰を進めようという意思が透けて見えますが、それでも足りないということでしょう。

 そして、昨日、つまり5月28日、政府に置かれている法曹養成制度改革顧問会議が方針を示しました。強制的閉校も含める形での対応です。学校教育法第15条を適用するのでしょう。ただ、設置基準の見直しなどが必要ともなるので、今すぐに措置がとられるという訳ではなく、2018年度までに改革を行う、とのことです。なお、予備試験の見直しについても検討を進めるそうですが、これは不要でないかと思われます(少なくとも、予備試験の制限という方向での見直しなら不要です。相変わらず、予備試験が「抜け道」となっているとして「本末転倒」という批判があるのですが、その批判のほうが「本末転倒」です。予備試験そのものの合格率が低いことを無視する暴論が今も大学を席巻しているとすれば、情けない話です)。

 強制的閉校の判断基準ですが、最も有力なのは合格率でしょう。合格者数ですと、在籍者が多い法科大学院なら合格率が低くとも大丈夫ということになりますし、教育効果を「測る」には実に不十分な基準となってしまうからです。たとえば、某資格試験について、A校在籍中の100人が受験し、合格者が50人であったとします。他方、B校在籍中の受験者は50人で、そのうちの35人が合格したとします。合格者数はA校のほうが多いのですが、合格率はA校が50%であるのに対し、B校が70%となります。どのようにして教育効果を「測る」のかという根本的な問題が残るとしても、とりあえずわかりやすい基準が合格率であることは一目瞭然です。「結果だけで全てを判断するな」と言われそうですし、私自身も教育に携わる人間として、このような思いはあるのですが、資格試験に直結する学校であるために、結果が大きな意味を持つことは否定できません。合格率が低ければ、何のために法科大学院で教育を行っているのか、意味がわからなくなります。

 その意味で、合格率が低い法科大学院は、早めの対策を採ることを迫られます。上記朝日新聞朝刊38面記事には10%未満の法科大学院(既に募集停止を発表しているところを除く)が明示されています。ウルトラCでもあればよいのですが。

 


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