ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

地方議会議員のなり手不足対策

2017年08月11日 00時24分05秒 | 国際・政治

 5月1日23時45分00秒付で「町村総会が復活か」という記事を、同月29日00時19分13秒付で「議会を廃止して町村総会を設けることを検討する動き」という記事を掲載しました。今回は、これらの記事の続編と記すべき内容となります。

 朝日新聞2017年8月10日(木)付朝刊30面14版に「村議会 夜間や休日に 長野・喬木村方針 議員なり手不足で」という記事が掲載されています。デジタル版には、同日5時付で「村議会、夜間や休日に 長野・喬木村方針 議員なり手不足で」として掲載されているものです(http://digital.asahi.com/articles/DA3S13080386.html)。

 喬木村は、長野県の南部、飯田市の東隣にある村で、同村の公式サイトによれば人口はおよそ6300人です。村議会の定員は12ですが、村議会議員のなり手が少なくなっているということもあって、今年6月の村議会議員選挙は無投票となりました。8年ぶりのことであるそうです。6月6日付の「立候補者届出状況に関する最終報告書」(http://www.vill.takagi.nagano.jp/docsGikai/2017041800016/files/saisyuuhoukoku.pdf)によると、40代が1人、50代が2人、60代が5人(うち女性が1人)、70代が4人でした。村の人口構成がどのようになっているのかわかりませんが、少子高齢化が顕著である地域であれば、村議会議員の年齢構成は村の人口構成を反映しているかもしれません。ただ、議会も高齢化しているということは、当然ながら若年層の意見などが反映されにくいことをも意味します。また、若年層で村議会議員になろうとする者がいない、とまでは言えないとしても非常に少ないことを意味します。高知県大川村で村議会を廃止して町村総会を設けようとする動きが出ているのも、高齢化のためです。

 そこで、ということなのでしょう。喬木村は「主な議会日程を原則として夜間・休日に開く方針を決めた」のです。これは、まさに「議員のなり手を確保するため」であり、同村職員の労働組合から合意を得られたら今年の12月定例議会から実施する意向であるとのことです。

 実は、日本では平日夜間や休日の議会開催はほとんど実例がないのですが、外国ではいくつかあるそうです。詳しいことを覚えていませんが、私が小学生か中学生であった頃に話を聞いたことがあります。日本では過疎の問題が半世紀程前から存在しており、法律だけを見ても、過疎地域対策緊急措置法(昭和45年法律第31号)、過疎地域振興特別措置法(昭和55年法律第19号)、過疎地域活性化特別措置法(平成2年法律第15号)、そして現行の過疎地域自立促進特別措置法(平成12年法律第15号)と、いずれも時限立法として存在しています。しかし、さしたる効果も見られないままに、過疎はいっそう深化してしまいました。議員のなり手不足の問題は早晩明らかになることであったというべきでしょう。

 ともあれ、多くの地域では地方自治の根幹の維持という側面において退っ引きならない状況に来ています。そして、これは都市にとっても同じです。議会運営の柔軟性は、少なくとも目下の情勢に対応するために求められているものと考えることができます。


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