ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

「負動産」

2017年08月14日 10時14分25秒 | 社会・経済

 今年、川崎市では、8月に入ってから雨が降らなかった日がありません。今も小雨が降っています。 

 さて、タイトルは誤字でも何でもありません。タイトルは勿論、不動産の言い換えです。時々、朝日新聞朝刊に掲載される「負動産時代」から借りてきました。

 一昨日(8月12日)の朝日新聞朝刊1面トップ記事「別荘地 投げ売り10万円 1300万円で購入 維持費重く」には、1300万円で購入した伊豆の別荘地を10万円で売却したという話、越後湯沢のワンルームマンションを相続したがなどが掲載されています。また、今日の朝刊には掲載されていないようですがデジタル版には今日の7時19分付で掲載されている「崩れ落ち、緑覆う『迷惑空き家 神戸市も手を出せず』」(http://www.asahi.com/articles/ASK8D72P1K8DUUPI007.html)も、読んでおかなければならないでしょう。

 8月12日朝刊1面トップ記事には「放棄したくてもできない土地、所有者が分からない土地、市場価格が落ちたのに税負担や管理コストが重くのしかかる土地やマンションといった、いわば『負動産』の問題が広がっています」と書かれています。まさに言い得て妙です。実際に、売却しても費用負担などがかさんで売主には多額の赤字が残るというような例も少なくありません。むしろ、(現段階では)一部の地域を除けば、不動産は財産的価値を失いつつある訳です。

 考えてみれば、宅地に土地としての真の価値があるのかどうか、疑わしいものです。私はバブル経済時代からこうした疑問を持っていました。農地であれば食料となる野菜や果物が生産されますし、酸素も作られます。しかし、宅地は食料も酸素も作れません。

 昔、西郷隆盛は「子孫のために美田を残さず」と記したと伝えられます。おそらくは全く違う意味でしょうが、これからの相続・贈与では「子孫のために美田を残さず」が正しいということになるのかもしれません。


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