ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

日本一早い終列車の区間は維持されうるか

2017年01月25日 13時42分09秒 | 社会・経済

 先程知ったのですが、今日、つまり2017年1月25日に新十津川町で札沼線に関する住民説明会が行われます。朝日新聞社が、1月23日の9時52分付で「JRが住民説明会 25日に新十津川町で」として報じています(http://www.asahi.com/articles/CMTW1701230100005.html)。

 このブログでも2016年11月15日22時52分3秒付で「JR北海道が単独での維持を困難とするのは10路線13区間」として取り上げていますが、同月にJR北海道が自社単独では維持困難であるとする路線名および区間(10路線13区間)を公表しており、それ以降、初めて住民説明会が開かれることとなります。

 最近は札沼線という路線名が使われることが少なくなり、愛称である学園都市線が用いられることが多くなりました。その理由の一つは、札沼線という路線名が実態に合わないことです。札沼線は、函館本線の札幌駅(実際は隣の駅である桑園駅が起点ですが、運行上は札幌駅が起点となっています)から留萌本線の石狩沼田駅までの路線であることから命名されたのですが、戦時中には石狩当別~石狩沼田が休止されており、1968年には赤字83線の一つとしてあげられ、1972年に新十津川~石狩沼田が廃止されます。

 1980年代の後半になってから、同線の札幌(桑園)~石狩当別(または北海道医療大学)の利用客数が飛躍的に伸びました。また、この区間には北海道医療大学や北海道教育大学などがあることから、学園都市線という愛称が付けられました。そして、いくつかの新駅も設置され、21世紀に入ってから八軒~あいの里教育大の複線化、さらに2012年には札幌(桑園)~北海道医療大学の交流電化が完成しています。

 一方、札沼線のうちの北海道医療大学~新十津川は、札幌(桑園)~北海道医療大学と同一路線であるとは思えないほど、性格が全く異なります。非電化、単線、閑散線区のままで、しかも格差は年々拡大しています。2016年3月のダイヤ改正により、石狩当別~浦臼のワンマン運転気動車の運行は1日6往復(石狩当別~石狩月形を運行する列車を除く)、そして浦臼~新十津川の運行は1日1往復(それ以前は3往復)となりました。新十津川駅9時40分発石狩当別行きの列車は、始発にして最終列車です。1日1往復と言えば、清水港線(清水~三保)、石勝線の新夕張~楓という例がありましたが、現在は札沼線の浦臼~新十津川のみです。ここまで来ると、公共交通機関の使命を放棄したとしか思えません。

 このような状況ですから、当然、輸送密度は低く、2015年度には79人という、JR北海道では最低の数字をたたき出しています。バス転換が妥当な数字と判断されるかもしれません。あるいは、バス転換でも赤字必至かもしれません。

 新十津川町がJR北海道に説明会の開催を要求したようで、それに応える形で同社が主催するとのことです。乗客数の伸びは期待できない一方で、今後20年間で鉄橋などの施設の維持や更新をするために6億円ほどが見込まれるようで、投資に見合わないということでしょう。よくぞ生き永らえたと評価されるかもしれませんが、現在のJR北海道の状況を考えると、札沼線の北海道医療大学~新十津川を維持するだけの余力はないとみて間違いなさそうです。

 ところで、輸送密度と言えば、日本で最も低い路線・区間は、北海道にではなく、本州の中国地方にあります。JR西日本の芸備線のうち、東城駅から備後落合駅までの区間で、8人という極端に低い数字です。路線バスどころかマイクロバスか何かで十分というところでしょう。この区間では列車が一日三往復しか運行されません。


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