ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

古い写真で恐縮ですが

2014年11月20日 23時57分25秒 | 写真

 (以下は、「待合室」の第115回「湯布院町の金鱗湖など」として、2004年10月15日から22日まで掲載したものを基にしています。)

 大分大学に勤務していた時に最初のデジタルカメラ(SONY Cyber-shot DSC-P5)、一眼レフのアナログカメラ(Nikon u-silber)を購入しました。それまで、私は写真撮影を趣味としていなかったのですが、それでも、時折、気が向けばどこかへ行くときにカメラを持っていきました。時折、以前撮影した写真を見返したりしていますが、その中に湯布院町の様子を撮影したものが数枚ありました。今回掲載する写真は、まだ私がデジタルカメラも一眼レフも所持していなかった頃に撮影したものです。

 1999年9月4日(土)、何となくどこかへ行きたくなり、自転車で久大本線の南大分駅まで走りました。当時の自宅から3キロメートルほどでしょうか。大分大学に就職してからしばらくの間、私は、5キロメートル以上離れた大分駅まででも自転車で行っていたほどでした。何故、南大分駅へ行ったのかと尋ねられても、何となく、としか返事のしようがありません。ただ、あの駅の構造自体が面白く、気になっていました。交換駅なので1番線と2番線があるのですが、当時はホームの中央に線路に出る段があり、乗客は線路の上を渡って反対側のホームへ行くのです。他の駅なら跨線橋がありますが、南大分駅にはありません。しかも、列車はこの段のすぐそばに停車するのです。よくぞ人身事故が起こらないものだと感心していたのです。

 南大分駅から列車に乗り、由布院で降りました。向之原からは、勾配のためか、ディーゼルエンジンの音が高らかな割には速度が出ず、自家用車などに抜かれます。1時間ほどで由布院駅に着きます。

 由布院駅は由布市にあります。所在地そのものは1925年の開業時から変わっていないようですが、駅名と所在市町村については何度かの変遷を経ています。

 まずは駅名ですが、開業時は北由布と称していたそうです(隣の駅が南由布です)。1950年、現在の由布院に改称されます。

 次に所在市町村です。由布院という駅名は当時の由布院町に由来するのですが、1955年、由布院町と湯平村が合併し、湯布院町が成立します。しかし、駅名は由布院のままでした。南由布の隣が湯平で、こちらは村名がそのまま駅名として残りました。意図的に残したのか、改名に手間がかかるから残しただけなのかはわかりませんが、合併前の名称がそのまま残った訳です。

 そして2005年10月1日、大分郡の挾間町、庄内町および湯布院町が合併し、由布市が成立します。平成の市町村合併の一例ですが、合併後も前の市町村名を地名として残しておく事例も多く、由布院駅の所在地も由布市湯布院町となっています。

 さて、この由布院駅ですが、久大本線しか通らず、一日平均で800人台しか利用がない駅である割には立派な駅舎です。1990年に完成した駅舎であるとのことです。変わっているのは、改札口がないという点です(見間違いか何かかもしれませんが、そのように見えます)。また、女性に人気の観光地であるためか、男性用トイレがつぶされて女性用トイレが拡張されたという話もあります。現在はどうかわかりませんが、写真では右側のほうから観光用の馬車が出ていました。

 この頃、久大本線には客車列車がありました。寝台特急などを別として、普通列車では気動車や電車に変更される例が多く、1999年の秋、客車列車は、日本全国でもこの久大本線と、鹿児島本線の門司港から折尾を経由して筑豊本線の飯塚まで、筑豊本線の若松から飯塚まで、計2往復しか見られなかったはずです。久大本線には、当時、写真のDE10が12系客車を牽引する列車が数往復ありました。また、同年の12月に気動車に置き換えられ、鹿児島本線(門司港~折尾)・筑豊本線(若松~折尾~飯塚)だけとなりました。2001年10月5日まで、DD51が50系客車を牽引する姿を見ることができたのですが、筑豊本線の折尾から桂川までが電化されたことにより、廃止されました。

 上の写真と同じ列車です。1999年12月4日を最後に久大本線から客車列車が消えましたので、いまや貴重な写真、と言えるかもしれません。左奥に見えるのが特急ゆふ3号のキハ185系で、元々はJR四国の車両です。特急が発車してしばらくしてから、普通列車が大分へ向けて発車します。

 私は、この列車に乗って帰りました。スハフ12は回転クロスシートでしたが、オハ12が固定クロスシートで、座り心地はよくありません(首都圏を走る私鉄のロングシートの電車のほうがよほどましです)。ドアが閉まってから発車するまで少し時間がかかり、しかも速度はかなり遅いのです。南大分駅まで、気動車で最短で1時間もかからないくらいなのですが、この客車列車は1時間以上もかかりました。これでは、客車列車がなくなっても仕方がないでしょう。

 南大分駅で降りてから、しばらく、周辺をまわりました。大分大学に勤めていた時は、よく、羽屋のあたりを通り、明屋書店に寄っては雑誌などを買ったものです。 ただ、あまりに慣れ親しんだ所でもあるため、写真はありません。

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先送り解散?

2014年11月19日 23時29分22秒 | 国際・政治

 衆議院の解散が確定的となりましたが、これにより、多くの問題が先送りされる結果となりました。

 景気の問題があります。それとの関係で大きな問題となるのは財政でしょう。衆議院が解散されると、12月に総選挙が行われることとなります。既に与党の税制調査会による税制改正大綱の作成がストップしたような状況になっており、通常なら12月に発表されるものが一ヶ月くらい遅れることとなります。しかも、本来であれば来年10月に行われることとなっていた消費税・地方消費税の税率引き上げが2017年4月に延期されたことにより、国税および地方税の改正像が見えなくなりました。また、長らく取り組まれなかった本格的な地方税制改革も、機を逸したような形になりました。法人課税、自動車関連課税など、課題は山積みなのです。そればかりか、根本的な税源再配分という大問題が残されたままです。

 税制との関連で、社会保障の財源不足も深刻です。消費税・地方消費税の税率引き上げが前提とされていたからで、これが少なくとも部分的に壊された以上は編み直しが必要となるはずです。

 もう一つ、衆議院の議員定数不均衡(参議院についても同様です)が残されてしまいました。前回の衆議院議員選挙について、昨年春、高等裁判所で「違憲状態」とか「違憲無効」というような判断が次々に出されたのは、記憶に新しいところでしょう。最高裁判所は「違憲無効」にこそしなかったものの、明確に「違憲状態」と述べており、国会はこれを早急に是正する義務を負うという趣旨まで述べています。国会が憲法上の義務を負わされている、と理解してよいでしょう。しかし、結局、ほとんど何もなされないまま、衆議院議員選挙に突入します。これまた立派な「先送り」である、としか言えません。

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やはり、消費税+地方消費税の税率引き上げは先送り!

2014年11月18日 20時13分07秒 | 国際・政治

 今日、内閣総理大臣の記者会見が行われました。その場で、消費税+地方消費税の税率引き上げを1年半先送りすることが表明されました。また、衆議院は21日に解散されます。

 「安倍首相、21日に衆院解散表明 消費増税は先送り」(18日19時34分付。)

 (http://www.asahi.com/articles/ASGCL5TPMGCLUTFK00W.html?iref=comtop_6_01

 このブログでも何度か記しているように、当初は2017年、つまり来年の10月に8%→10%となる予定でした。「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」の附則第1条第3号に、本則第3条の施行日として規定されています(附則第18条第3項も参照)。これを1年半先送りするということですから、2019年4月から施行される、ということになります。

 これにより、平成27年度税制改正に向けての作業が遅れることとなるでしょう。そればかりでなく、平成28年度税制改正にも影響が出てくるでしょう。法人課税のあり方、地方税のあり方など、課題は山積です。しかし、抜本的改革は常に先送りされています。

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雨の滝尾駅(2003年8月16日撮影)

2014年11月18日 01時16分11秒 | まち歩き

 (以下は、「待合室」の第72回「滝尾駅〔この夏、近所を散歩して(その3)〕」として、2003年10月25日から31日まで掲載したものです。なお、かなり多くの修正を加えています。)

 

 「待合室」の第63回と第66回に、2003年の8月16日に撮影した「この夏、近所を散歩して」シリーズを掲載しました。第72回は、その続編というべきものでした。

 この年は冷夏で、大分県では雨模様の日ばかりが続きました。8月は、熊本県立大学総合管理学部での集中講義に始まり、2本の原稿、講演などの仕事があったため、川崎に帰省せず、夏休みもとらずに、集中講義期間以外は毎日のように研究室へ行って仕事をしていました。14日には10月中旬並みの気温となり、夏なのか秋なのかわからなくなった上に、市内では冷房装置が作動している建物もあって、寒く感じたことをよく覚えています。何しろ、真夏なのにトレーナーを着ていたくらいなのです。

 16日も雨が降り続いていました。この頃は日記を付けていなかったこともあり、思い出せないことも多いのですが、当日、私は研究室に行かず、自宅で仕事などをしていたのでしょう。この日は土曜日です。

 当時、私は大分市内の、豊肥本線敷戸駅と滝尾駅の間に住んでいました。最寄りの敷戸駅から1キロメートル以上離れていた所ですが、窓を開けると豊肥本線の線路が見えましたし、ディーゼルカーの走る音もよく聞こえました。

 午後、どこかへ出かけたくなったのでしょう。私は、当時の自宅から大字鴛野の北側へ出て、大分工業高校から大字曲へ出て、しばらく、大分自動車道に沿って歩きました。大字津守に入り、豊肥本線のそばにある山の裏を通ります。滅多に車が通らないような細い道を歩き、田や花畑に囲まれて、「こんなに雨が降っていなければ、もっといい気分で歩けるし、きれいな写真も取れるんだけど」と思いながら、雨に打たれたひまわりやサルビア(何故か、この花は気になるのです)などを撮影しました。しかし、撮影者の腕と勘が悪かったのでしょう、あまりいい写真ではありません。豊肥本線に近づくのですが、昔の農道そのままのような所で、車など通れる訳がないような踏切(警報機は付いている)を渡り、やはり狭い道を通って、滝尾駅へ出ました。

 写真から推察が付くと思いますが、無人駅です(朝にはJR九州の社員がいることもありますが)。少々わかりにくいと思いますが、実際に肉眼で見ると、「滝尾駅」と書かれているところにうっすらと「別府大学」と書かれていた跡が見えます。つまり、この簡素な建物は、かつて、昭和62年3月に日豊本線の亀川・別府間に新設された別府大学駅の駅舎だったのです。平成7年まで使われていたのですが、別府国際交流会館が建設され、別府大学駅が同居することとなりました。その結果、駅舎が滝尾駅に転用されることとなったのです。

 無人駅ですが、自動券売機があります(ちなみに、同じ大分市内の無人駅である竹中駅には、自動券売機もありません)。

 風景からは信じられないかもしれませんが、大分駅から豊肥本線の上り普通列車に乗ると、次の駅がこの滝尾駅です。日豊本線と別れる下郡信号所付近には住宅が多いのですが、駅がないのです。住宅が少なくなり、しばらくすると、滝尾駅に到着します。ほとんどの列車は、ここで交換(離合)をします。

 フラッシュなどの関係で見えにくく、失敗作もいいところなのですが、滝尾駅の時刻表です。バス停のような形をしていますが、JR九州では一般的ではないでしょうか。少なくとも、大分県内ではよく見かけるものです。裏の建物はJR九州の社宅でした(今はどうなっているのかわかりません)。この写真と反対側のほうにも社宅があったのですが、入居者が少ないように見受けられました。

 昔はいざ知らず、最近、首都圏などではまず見かけないものでしょう。駅の構内にある踏切です。滝尾駅は交換駅なので、1番線と2番線のホームがあります。しかし、跨線橋や地下通路などというものはありません。駅舎や自動券売機は1番線のほうにしかないので、このように踏切があるのです。さらにすごいのが久大本線の南大分駅で、駅のホームの真ん中ほどに構内踏切がありました(しかも遮断機がなかったのです)。滝尾駅の場合は遮断機がありますので、事故が起こるようなことはほとんどないでしょうが、駆け込み乗車などもできません。

 2番線には、基本的に上り列車(犬飼、三重町、豊後竹田方面)が停車します。次の駅は敷戸ですが、この敷戸も昭和62年になって誕生した駅で、それまでは中判田が次の駅でした。敷戸は、長い間、大分大学の最寄り駅でしたが、平成14年3月23日、敷戸と中判田との間に大分大学前駅が開業しました。このために、大分大学へのアクセスは便利になりました。敷戸駅から大分大学までは1キロメートル以上あり、勾配などの関係もあって、徒歩で20分ほどもかかっていたのです。

 大分県の人は、ディーゼルカーのことも電車または汽車といいます。しかし、あのディーゼルエンジンの音を聞けば、というより、乗っていたりすれば嫌でも聞こえてきますから、電車でないことはわかりそうなものです。電車が屋根から黒い煙を出していたら、特殊な場合を除けば異常な話なのです。

 それはそうと、上の写真は、仕上がりがいかにもピンボケという感じでしたので、少しばかり加工してみました。大分発の上り単行(1両編成のこと)のキハ31です。国鉄の最末期、民営化される直前と言ってよい頃に登場した九州向けの気動車で、JR九州に引き継がれ、豊肥本線、久大本線、肥薩線などで走っていました。Windows系のパソコンを使用されている方の中には、Microsoft Train Simulatorで肥薩線のところに登場することで御存知の方もおられるでしょう。ステンレス製で、所々でバスと同じような設計になっています。

 私が大分に初めて足を踏み入れ、豊肥本線に乗った時、ワンマン運転で、しかも整理券方式を採用していたため、驚きました。川崎市に生まれ育った私は、首都圏以外のバスであれば当たり前の整理券方式にすら、今でも抵抗感を覚えます。それを鉄道路線が採用していたので、信じられなかったのでした。

 先ほどのキハ31上り単行と列車交換をしているキハ125の下り大分行です。これはJR九州になってから登場した気動車で、久大本線、豊肥本線、そして唐津線や筑肥線(唐津~伊万里)で走っています。筑豊本線の電化とともに、赤いディーゼルカーであるキハ200型が大分地区にたくさん入線し、とくに豊肥本線ではキハ31やキハ125が以前ほど見られなくなっていました(その後、キハ31は豊肥本線で運用されなくなりました)。

 駅前の駐輪場(?)です。ここを左のほうに歩き、細くて込み入った道をしばらく歩くと、羽田の滝尾中学校に着きます。その校内に滝尾百穴があります。観光名所ともなっていますが、何しろ中学校の敷地内ですし、そばの道路から見ると異様さを感じます。

 この後、私は、バス路線が通っているとは思えないような、どう見ても片道一台分しかないような道路を歩き、松平忠直居館跡、富岡を通り、森岡大橋を渡って、自宅へ帰りました。

 細かいことを覚えていませんが、大字曲を通ったはずです。そこに「ネイマ」というジャズ喫茶があります。何度か足を運び、コーヒーを飲みながらジャズを聴いていました。時々ライヴも行われています。一度だけ、ジャムセッションか何かを聴いたことがありました。

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「意外」なのか「やはり」なのか? GDP1次速報で年率1.6%減少

2014年11月17日 12時42分56秒 | 社会・経済

 今日、内閣府から2014年7~9月期の国内総生産(GDP)の1次速報が発表されました。

 街角の様子などから、おそらくゼロかマイナスではないかと予想していたのですが、4~6月期よりも0.4%の減少となりました。年率に換算するとマイナス1.6%です。2四半期連続のマイナスという結果です。

 朝日新聞社のサイトの記事では「予想外の」と書かれていましたが、むしろ「想定内の」というところではないでしょうか。具体的な名前などはあげませんが、アベノミクスは失敗するという論調を見かけました(たしか、雑誌「世界」でも特集を組んでいたはずです)。

 少し細かく見ていくと、次のようになっているとのことです。なお、増減は全て前期比です。

 個人消費:プラス0.4%

 公共投資:プラス2.2%

 輸出:プラス1.3%

 住宅投資:マイナス6.7%

 企業の設備投資:マイナス0.2%

 なお、4~6月期の実質成長率も修正されています(マイナス7.1%→マイナス7.3%)。

 これにより、2015年10月に予定されていた消費税・地方消費税の税率引き上げも1年半延期される可能性が高くなった、ということでしょう。

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佐藤滋・古市将人『租税抵抗の財政学 信頼と合意に基づく社会へ』

2014年11月16日 00時59分40秒 | 本と雑誌

 昨日(11月15日)、青葉台へ行きました。主な目的はフィリアホールで行われた森麻季さんのコンサートですが、ブックファーストに寄ってみたところ、佐藤滋・古市将人『租税抵抗の財政学 信頼と合意に基づく社会へ』(岩波書店)を見つけ、題名に興味が湧いたので、買ってみました。〈現代経済の展望〉というシリーズの第3回という本で、先月に刊行されたばかりです。

 まだ途中までしか読んでいないのですが、「なるほど」と思える箇所がいくつかありました。たとえば、47頁で「日本の社会保障制度は、人々の連帯を生み出すどころか、それがあることによってかえって分断を進めていってしまう」と指摘されていますし、48頁では「戦後に成立した皆保険制度は、これをただ被用者以外の者にも外延的に拡大させていったにすぎず、保険料や給付率などさまざまな格差を伴ったものであった」とも述べられています。社会保障制度の本来の意味から乖離したところに、日本の制度が存在する、ということでしょうか。

 それ以上に印象づけられたのは、57頁にある「受益者負担論の基礎には、受益者と非受益者とを区分し、対立させたうえで、『公平』の観点からサービスの価格を受益者から徴収するところにある」という論述です。ここで問題となるのは「公平」の意味でしょう。1960年代の動きに関する箇所にあるので、具体的な意味などについては書かれていませんが、抽象的な概念であることからくる多義性のために、論者によって正反対の内容を持ちうるはずです。

 社会保障制度が貧困を促進する、などということがあってはならないはずです。そもそも語義矛盾であるからです。しかし、それが実際のものとなっているところに、日本の問題がある、というところでしょう。さらに読み進めていきたいと考えています。

 全く関係のないことですが、森麻季さんのコンサートで日本の歌を聴いて、単に声が、というだけでなく、日本語が美しいと感じました。とくに「からたちの花」で強く思ったことです。今、J-POPなどで、どれだけ日本語を美しく発音できる歌手がいるでしょうか。

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やはり、先送りを認める条項を改正するか

2014年11月15日 00時03分47秒 | 国際・政治

 11月14日11時44分09秒付で「衆議院解散→消費税率引き上げ判断先送りの影響」を掲載しましたが、その続編というべき内容です。

 先程、時事通信社のサイトを見たら、「『景気条項』削除を検討=消費再増税先送りで-政府」(http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2014111400952)という、11月14日20時37分付の記事が目に付きました。政府が、今日、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」中にある「景気条項」を「削除する方向で検討に入った」とのことです。

 記事には詳しく書かれていませんが、この「景気条項」というのが附則第18条第3項です。再び紹介しましょう。

 「この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第二条及び第三条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前二項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。」(下線および太字は、私によるものです。)

 さすがに、ただ引き上げを延期する—時事通信社は、明確に「来年10月の消費税10%への引き上げを1年半延期するのに合わせ」と記しています—というのでは、金融市場に財政健全化を放棄したと思われかねないからでしょう。国債の金利が上昇し、国債が暴落するという事態に陥る危険性も存在します。

 今後の国会の状況にもよるのですが、異常なほどの財政赤字を放置する訳にもいきません。野党は、消費税・地方消費税の税率引き上げに反対するのであれば、現実的かつ有効な税制改正の案を示さなければなりません(それに留まらず、財政支出の抑制策を全体像として示す必要もあります。とかく非現実的な主張ばかりが繰り返されたりしてきた訳ですが、それではいつまで経っても政権に即くことはできません)。

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おしらせです(2014年11月14日)

2014年11月14日 21時31分00秒 | 本と雑誌

 管理人の権限を利用して、お知らせです。

 11月14日付で、TKCローライブラリーの「新・判例解説Watch」に、私が担当した「同族会社による株式譲渡損失の損金算入の否認(日本IBM事件)」(租税法No.111)が掲載されました。これは、東京地方裁判所平成26年5月9日判決の解説です。

 御一読をいただければ幸いです。

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衆議院解散→消費税率引き上げ判断先送りの影響

2014年11月14日 11時44分09秒 | 国際・政治

 今月に入ってから俄に吹き荒れた解散風ですが、来週にも行われそうです。それとともに、今年度中になされるはずであった消費税(消費税+地方消費税)の税率引き上げの判断が先送りされる、または税率引き上げの延期が決断されることとなるようです。内閣改造があの通りの結果で、どう見ても失敗だったことは明らかですから(しかも、辞任などの理由が第一次安倍内閣の時と同質というか何というか……)、今開かれている第187回国会(臨時会)も、突然のように審議が進まなくなり、様々な意味で重要な法律案が廃案になりかねない状態となっています。行き詰まっていることは明らかでしょう。

 昨日(11月13日)の朝日新聞朝刊1面14版トップ記事が「来月総選挙へ 消費増税 先送り検討 安倍政権 『14日投開票』軸に調整」というもので、あくまでも調整の方向ということですが12月2日に公示、14日に投開票という案、または12月9日に公示、21日に投開票という案が出ているというのです。その記事にも「政権は、来年10月に予定されている消費税の税率10%への再引き上げを1年半先送りすることを検討している」と書かれており、これが真実か否かを別にしても、12月に予定されていた判断が先送りされることは確実でしょう。衆議院の解散中に判断するというのは、ありえない話ではないとしても筋としては通らないでしょうし、戦略的な問題も絡むでしょう。11月17日に発表される7~9月期のGDP一次速報も、良い結果を示すものになっていないのではないかと考えられます。

 今日(11月14日)の日本経済新聞朝刊1面14版トップ記事「消費税10%  延期へ 『17年4月』が有力 軽減英率導入も検討 首相、来週決断」を読んでみると、やはり基本的内容は昨日の朝日新聞朝刊トップ記事と同様です。日経記事に掲載されている表には、11月18日に「消費増税の影響に関する点検会合最終回、首相が今年度補正予算編成を指示→増税延期・衆院解散判断」、19日あたりに衆議院解散、と出ています。

 こうなると、これまで進められた様々な政策が結局のところ何だったのか、というような疑問が出されることとなります。そもそも、消費増税は「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」(平成24年8月22日法律第68条)および「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律」(平成24年8月22日法律第69号)に基づくものです。前者(法律第68号のほう)の第1条は、次のような規定です。

 「この法律は、世代間及び世代内の公平性が確保された社会保障制度を構築することが我が国の直面する重要な課題であることに鑑み、社会保障制度の改革とともに不断に行政改革を推進することに一段と注力しつつ経済状況を好転させることを条件として行う税制の抜本的な改革の一環として、社会保障の安定財源の確保及び財政の健全化を同時に達成することを目指す観点から消費税の使途の明確化及び税率の引上げを行うため、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)の一部を改正するとともに、その他の税制の抜本的な改革及び関連する諸施策に関する措置について定めるものとする。」

 実は両法律が制定される際に三党合意があり、様々な経緯があったのですが、それはここで触れません(後に参考として条文を紹介しておきます)。今年の4月に実施された引き上げは、昨年の10月1日に内閣総理大臣の決断として発表されました。根拠は、法律第68号の附則第18条第3項、同第1条(いずれも、下の方で紹介しておきました)、本則の第2条および第3条です。

 時が進めば事情も変わるのが世の常ですが、法律の第1条に示されている「世代間及び世代内の公平性が確保された社会保障制度を構築すること」は、実際にどこまで実現されているでしょうか。また、経済事情はどこまで好転しているでしょうか。今日も1ドル=116円台と円安傾向が続いており、東証の日経平均株価も高いようですが、これらが本当に経済状況の好転につながっているかどうかは疑問である、というところでしょう。

 そればかりでなく、税率引き上げ(の判断の)先送りが他の方面にも影響を与えているようです。今日の朝日新聞朝刊1面14版トップ記事「与党税制協『休眠』■日銀、緩和直後で戸惑い 消費増税先送り論 波紋」には、13日午後の与党税制協議会の様子が記されています。今月中に衆議院が解散されたら、総選挙で新たに議員が選出されるまで衆議院議員はいない訳ですから、通常ならば12月にまとめるべき税制改正大綱をまとめようがないのです(総選挙の結果を見ないうちにまとめることも可能ではありますが、仮に政権交代が起これば意味のない作業になりかねません)。

 このブログでも11月5日23時49分39秒付で「ゴルフ場利用税廃止論議」という記事を載せましたが、勿論これだけでなく、大きなところとしては法人税の実効税率引き下げの議論があります。国税としての法人税はもとより、地方税としての都道府県法人住民税、市町村法人住民税、法人事業税などの改正も絡んできます。また、地方税については、第186回国会でも議論された自動車取得税の廃止などという課題もあります。全て、消費税・地方消費税の税率引き上げと関連する話ですから、消費税・地方消費税に関する判断が先送りされるならば、または税率引き上げが見送られるならば、もう一度前提から検討しなければならなくなります。

 日本銀行の金融政策にも影響が出ます。消費税・地方消費税の税率引き上げを前提としているからです。二段階の税率引き上げが消費など国民経済全体に負の影響を与えることは否定できないので、賛成しかねるのですが、それでも財政再建の必要性も否定できません。先進国はもとより、世界的に見ても異常な財政赤字を抱え続ける日本です。国債の金利が上昇すれば、大変なことになります。金融緩和の意味がなくなるでしょう。

 また、本来、消費税・地方消費税の税率引き上げの目的とされていた社会保障関係についても、多大な問題が生じてくるでしょう。財源をどうするか、という厄介な問題が現れてくるからです。

 もう一つ、昨日の朝日新聞朝刊トップ記事にも書かれていましたが、仮に引き上げの時期を先送りするならば、法律の改正が必要となります(単に判断の時期を先送りするだけならば、その時期の設定によっては法律を改正する必要はないのですが)。法律第68号の第1条第3号は、8%→10%という変更の時期を2015(平成27)年10月1日と明記しているからです。1年半も延ばす、つまり2017年4月1日に延ばすのであれば、現在の第187回国会に改正案を提出し、審議の上で改正するのが筋ですが、衆議院が解散されるとなれば無理ですから、次の第188回国会か第189回国会に提出、ということになるのでしょうか。

 本日はこの程度としておきますが、今後の展開が気になるところです。 

★★★★★★★★★★

 上記の「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」ですが、国会に提出された当初の案では「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律」となっておりました。もう一度、並べて記しますので、よく見比べて下さい。

 当初案:「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律」

 現行法:「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」

 次に、当初案の第1条を紹介します。取り消し線(打ち消し線)が引かれている部分は、修正案により削除された部分です。

 「この法律は、世代間及び世代内の公平性が確保された社会保障制度を構築することにより支え合う社会を回復することが我が国が直面する重要な課題であることに鑑み、社会保障制度の改革とともに不断に行政改革を推進することに一段と注力しつつ経済状況を好転させることを条件として行う税制の抜本的な改革の一環として、社会保障の安定財源の確保及び財政の健全化を同時に達成することを目指す観点から消費税の使途の明確化及び税率の引上げを行うとともに、所得、消費及び資産にわたる税体系全体の再分配機能を回復しつつ、世代間の早期の資産移転を促進する観点から所得税の最高税率の引上げ及び相続税の基礎控除の引下げ並びに相続時精算課税制度の拡充を行うため、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)、相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)及び租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を改正するとともに、その他の税制の抜本的な改革及び関連する諸施策に関する措置について定めるものとする。」

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 もう一つ、参考までに、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」の附則から、第1条および第18条を紹介しておきます。

 まず、第1条です。「施行期日」という見出しの下に、次のように定められています。

 「この法律は、平成二十六年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 第一条及び第七条の規定並びに附則第十八条の規定 公布の日

 二 第四条から第六条までの規定及び附則第十九条から第二十五条までの規定 平成二十七年一月一日

 三 第三条の規定並びに附則第十五条及び第十六条の規定 平成二十七年十月一日」

 次に第18条を紹介します。「消費税率の引上げに当たっての措置」という見出しの下に、次のように定められています。

 第1項:「消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成二十三年度から平成三十二年度までの平均において名目の経済成長率で三パーセント程度かつ実質の経済成長率で二パーセント程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。」

 第2項:「税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。」

 第3項:「この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第二条及び第三条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前二項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。」

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ドイツ連邦共和国基本法の第87e条

2014年11月13日 22時19分44秒 | 法律学

 ドイツ連邦共和国基本法の第87e条の試訳です。

 同条は、「連邦交通行政」(Eisenbahnverkehrsverwaltung)として、次のように規定しています。

 (1) Die Einsenbahnverkehrsverwaltung für Eisenbahnen des Bundes wird in bundeseigener Verwaltung geführt. Durch Bundesgesetz können Aufgaben der Eisenbahnverkehrsverwaltung den Ländern als eigene Angelegenheiten übertragen werden.

 第1項:「連邦の鉄道のための鉄道交通行政は、連邦固有の行政において執行される。連邦法律によって、鉄道交通行政の任務は州に固有の案件として委任されうる。」

  (2) Der Bund nimmt die über den Bereich der Eisenbahnen des Bundes hinausgehenden Aufgaben der Eisenbahnverkehrsverwaltung wahr, die ihm durch Bundesgesetz übertragen werden.

 第2項:「連邦は、連邦の鉄道の領域を超える、連邦法律によって連邦に委任される鉄道交通行政の任務を執行する。」

  (3) Eisenbahnen des Bundes werden als Wirtschaftsunternehmen in privatrechtlicher Form geführt. Diese stehen im Eigentum des Bundes, soweit die Tätigkeit des Wirtschaftsunternehmens den Bau, die Unterhaltung und das Betreiben von Schienenwegen umfaßt. Die Veräußerung von Anteilen des Bundes an den Unternehmen nach Satz 2 erfolgt aufgrund eines Gesetzes; die Mehrheit der Anteile an diesen Unternehmen verbleibt beim Bund. Das Nähere wird durch Bundesgesetz geregelt.

 第3項:「連邦の鉄道は、私法上の形態における経済的企業体として執行される。この経済的企業体が連邦の所有に服するのは、経済的企業体の活動が鉄路(Schienenwegen)の建設、維持および経営を包括する限りにおいてである。第2文による企業体への連邦の持ち分の売却は、法律に基づいて行われる。この企業体への持ち分の多数は連邦に残る。詳細は連邦法律によって規律される。」

  (4) Der Bund gewährleistet, daß dem Wohl der Allgemeinheit, insbesondere den Verkehrsbedürfnissen, beim Ausbau und Erhalt des Schienennetzes der Eisenbahnen des Bundes sowie bei deren Verkehrsangeboten aud diesem Schienennetz, soweit diese nicht den Schienenpersonennahverkehr betreffen, Rechnung getragen wird. Das Nähere wird durch Bundesgesetz geregelt.

 第4項:「連邦は、連邦の鉄道の路線網の拡張および維持ならびにこの路線網への交通供給(Verkehrsangeboten)に際して、鉄道の人的近距離交通に関わらない限りにおいて、公共の福祉(Wohl der Allgemeinheit)に、とりわけ交通の需要が斟酌されることを保障する。詳細は連邦法律によって定められる。」

  (5) Gesetze aufgrund der Absätze 1 bis 4 bedürfen der Zustimmung des Bundesrates. Der Zustimmung des Bundesrates bedürfen ferner Gesetze, die die Auflösung, die Übertragung von Schienenwegen der Eisenbahnen des Bundes an Dritte sowie die Stillegung von Schienenpersonennahverkehr haben.

 第5項:「第1項ないし第4項に基づく法律は、連邦参議院の同意を必要とする。さらに、連邦参議院の同意を、連邦の鉄道企業体の解散、合併および分割、第三者に対する連邦の鉄道の路線網の委譲、ならびに連邦の鉄道の路線網の遮断を規律し、または鉄道の人的近距離交通への効果を有する法律は必要とする。」

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