アジア都市シリーズ その4 台北

2005年10月30日 | 
私は、台北の街を、何の目的もなくあるくのが好きだ。
何度となく足を運んだ所為かもしれないが、
普段着の心で、ただめぐりあるくのが好きだ。

そんな歩き方をしている時、ふと入った店で食べた料理が
とても美味しかったりすると、とても幸せな気持ちになる。
そして、そこで出会う人たちとのひと時が、楽しい。

ある繁華街の端の店のオヤジさん。
年のころなら50代半ばだろうか。
台湾語で啖呵を切って客を呼び込む。
となりの店では、外国人相手に英語や日本語のメニューを並べているが
ここのオヤジさんは、決してそんなことはしない。
あくまでも台湾語。
だから当然、客に外国人なんか私以外にほとんどいない。
かくいう私だって、台湾語なんてほとんどわからない。
私の拙い華語と、オヤジさんの、これまた訛りに訛った華語で
なんとか注文をこなしてもらう。
私はこんな店が大好きだ。

朝、寺の前を歩いていたら、日本語で話し掛けられた。
声を掛けたのは、年老いた高山族系の人であった。
彼らは、日據時代には日本語教育を受け、育った。
山岳地域では、民族が異なると言葉も異なるため、
華語をうまく使え(わ)ない彼らは未だに、民族間や家族内での会話に
日本語を用いることがあるらしい。
彼らの話す日本語には、日本語独特の美しさがしっかりと残されている。

都心の高層ビル。
西洋人たちと相席のランチタイム。
彼らとなぜか、英語ではなく中国語で会話を交わす。
黒人が話す中国語に、不思議な気持ちになる。
自分がどこにいるのか、一瞬わからなくなる。
ニューヨークか?

夜、師大近くのPUB。
日本人(私)、香港人、台湾人、韓国人という、珍妙なグループで飲む。
母国語が違うアジア人が、よくこれだけ集まったものだ。
ここまでくると、意地でもタイ人やフィリピン人などを探し出してみたくなる。
残念ながら、我々以外の客は全員西洋人だった。

台北という街は、まったく不思議な場所である。
コメント (8)
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