英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『迷宮捜査』……意図しない“ハチャメチャなストーリー”、頑張り過ぎて大クラッシュ!

2015-05-15 21:08:43 | ドラマ・映画
 意図しない“ハチャメチャなストーリー”と言えばいいのだろうか……
 このドラマが目指していたモノは、番組サイトの“みどころ”によると(なぜ、平仮名なのだろう?)………

 連続発生した一家殺人事件の謎を追うミステリーでありながら、天涯孤独の刑事・名波洋一郎が“家族とは何か”を考えていく人間ドラマでもあります。
 名波は、生き別れた妹・有希子と再会するまで孤独な境遇で育ってきたため、“家族”というものがよくわかりません。心の底で愛情を渇望する彼は、幸せな家庭を残酷に破壊した2つの一家惨殺事件の謎に果敢に挑み、さらに唯一の肉親である妹を守ろうとするがゆえに、運命に翻弄されていきます。
 深い“迷宮”に飲み込まれた名波は、隠された真相にたどり着き、最後に希望を見出すことができるのでしょうか…!? “家族”とは、“愛情”とは何か、さまざまな問題を投げかけるヒューマン・サスペンスが展開していきます!


 ………………ということらしい。
 確かに、頑張っていたとは思うが、頑張り過ぎてカーブを曲がりきれず、スピンして大クラッシュ!してしまった。
 大クラッシュというのは、まず、
①犯人・鷹栖が外道過ぎる
 時の流れに沿って列挙すると
・愛人のいる京都まで通う
・暴力団の抗争に巻き込まれて死亡した(愛人との間にできた)息子の復讐で、銃を乱射し皆殺し
・それを目撃した少年・直純(犯人の次女の幼馴染)の口を封じようと襲い、その結果、マンションの階段(6、7階)から転落
・鷹栖と再会し転落の際失った記憶を取戻し、強請ってきた直純を、品川の一家惨殺事件に似せて殺害する。折悪く帰宅した母親も殺害。その際、アリバイ工作で、病身の長女を利用
・品川のの一家惨殺犯人・九鬼を殺害し、直純、母親殺害の罪を着せる
・真相に近づいた名波を、名波の妹・有希子を拉致した上、有希子の過去をネタに脅迫する
・次女の麻子が、かわいそ過ぎる

②看板倒れのテーマ
「深い“迷宮”に飲み込まれた名波は、隠された真相にたどり着き、最後に希望を見出すことができるのでしょうか…!? “家族”とは、“愛情”とは何か、さまざまな問題を投げかけるヒューマン・サスペンス」
 ドラマの序盤、鷹栖と娘二人の仲睦まじい家庭を描いていたが、上記のような外道な親父で、≪長女には自分の罪を知らせたくない≫と名波を脅すが、アリバイに利用するは、愛人をつくるはで、保身の為としか思えず、同情の余地は全くない。

 「鷹栖が家族の為に已むに已まれぬ事情で罪を犯し、名波がその真相に気づき、葛藤する」というのなら、「“家族”とは、“愛情”とは何か」を描いたことになるが、そんなことは全くなし。


 名波にしても、過去に殺人(正当防衛、あるいは、過失致死)を犯した妹を必死に守ろうとし、遂には週刊誌記者を殺害してしまうが、本当に妹のことを思うのなら、もっと真っ当な対処をすべきであった。
 “殺人者の兄を持つ”という事実は重すぎるし、自分の少年時代に重ね合わせ、一家惨殺で一人きりになってしまった少年を守ることもできなくなってしまった。
 そもそも、この名波の感情も、家族愛というよりも“兄妹愛”と言ったほうが良い。

 さらに、「深い“迷宮”」とか、「その事件には、決して“解いてはならない”不気味な闇が隠されていた…!?」(番組サイトの表現)とか言うが、鷹栖を中心に名波、有希子が迷走していただけで、“深い迷宮”でも“解いてはならない不気味な闇”でもない。そもそも、“解いてはならない闇”ではなく、解き明かさなければならない罪である。

 この他にも、突っ込みどころが多々あるが、もう面倒なので、箇条書きに留めます。
・あれだけ派手に銃を乱射したのだから、捕まってもいいはずだ
・直純少年転落事件もきちんと捜査したのだろうか?
・この二つの事件が報じられていた新聞を見て、「“刑事の勘”が働いた」と呟いて、視聴者を納得させようとするなんて……
・息子を亡くした愛人は放ったらかしなのか
・殺人を犯した?妹ととは言え、そのことで名前を変える必要があるのか?ピアニストという身分(職業)はそのままだし
・2つの惨殺事件が、政治的圧力から、合同捜査本部を立てないことになったが、何のために誰が、政治的圧力を立てたのだろう?
・フィットネスクラブ銃乱射現場に急行するのに、タクシーの方が早い(速い)のか?
 いつタクシーを捕まえたのか?タクシーを降りた時、名波は足の悪い鷹栖をどうしたら見失えるのか?
・あれだけ非道な鷹栖を見逃して自殺させるなんて。しっかり逮捕しないと駄目である。
・「名波、俺はもう何も言わん。その代り、麻子(次女)を頼む」って、そんな偉そうなことを言える立場か?
 「はい」って、名波も名波だ。しかも、名波も殺人を犯してしまい、約束を果たせず。

脚本の西岡琢也氏は、『出入禁止の女〜事件記者クロガネ〜』で私の中で“要注意脚本家”の仲間入りをした脚本家であった。

【ストーリー】番組サイトより
 東京・品川の閑静な住宅街で一家3人が惨殺される事件が起きた。現場に急行した御殿山署の刑事・名波洋一郎(反町隆史)は、奥のクローゼットに隠れ、ただひとり刃を逃れた5歳の次男・長原耕次を発見し、保護する。7歳のとき火事で両親を失い、妹・有希子(貫地谷しほり)とも生き別れとなった過去を持つ名波は、わずか5歳で突然、両親と兄を奪われた耕次のことを気にかける。
 すぐに捜査本部が発足し、名波は捜査一課三係係長・鷹栖誠司(高橋克実)から、三係主任・香川崇(八嶋智人)とコンビを組むよう命じられる。三係は親分肌の警部・鷹栖が統率しており、通称“鷹軍団”とよばれる強者ぞろいの集団だった。名波と香川は、動物虐待を繰り返している近所の男・九鬼祐太(竜星涼)を疑うものの、明らかな目撃証言もなく、彼の存在はいつしか捜査線上から消えていた。
 1年後――。名波は鷹栖に引き抜かれて捜査一課三係の一員となっていたが、品川一家3人殺害事件の有力な手掛かりは未だつかめず、捜査は難航していた。
 ところが、その矢先、大田区蒲田の住宅で母親・沢松優子と息子・直純(山口大地)が惨殺される事件が発生! 現場には品川の一家3人殺人事件の遺留品と同じタオルが残されていたほか、同サイズ、同メーカーの下足痕が検出されるなど、すべての証拠が同一犯であることを示唆していた。
 だが、政治的圧力から、管理官の真壁繁樹(大杉漣)は合同捜査本部を立てないことを宣言。名波ら現場の刑事たちは反発する。その直後、名波は、殺された直純が鷹栖の次女・麻子(夏菜)の知り合いだったことを知るが…!?
 そんな中、名波は有希子の周囲を、週刊誌記者・柿崎功(でんでん)がかぎまわっていることに気づく。ピアニストとしてヨーロッパで成功し、華々しく凱旋帰国を遂げた有希子は、ある理由から“中里美沙”と名を変えて生きていたが、柿崎はその事実をかぎつけて強請ろうとしていたのだ。名波は妹を守ろうと、柿崎と対峙するのだが…!?

脚本:西岡琢也
監督:藤田明二
コメント (2)
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