英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season18 元日スペシャル 第11話「ブラックアウト」 【補足あり】

2020-01-05 20:47:53 | ドラマ・映画
二転三転するストーリーで面白かったと言えなくはない……(どっちなんだ?)
 ……暴力団の構成員・溝口(蛍雪次朗)、真鍋克彦(川口力哉)らトンネル崩落事故の被害者たち、入江良文(河合我聞)そして、雨宮紗耶香(瀧本美織)……それぞれの目的(計画)が絡み合っていた…

 ただし、その複雑な事件の展開を成り立たせる為に、入江にいろいろ行動させたが、不可解なモノになってしまった

事件の構造の整理
1.暴力団の構成員・溝口(蛍雪次朗)
 暴対法で暴力団の構成員たち(溝口は“家族”と考えていた)がバラバラになってしまった。その暴対法の法制化を進めた蓮見恭一郎(長谷川初範)に恨みをいだいており、その復讐を兼ねて恭一郎を監禁し、組長の釈放を要求した。

2.真鍋克彦(川口力哉)らトンネル崩落事故の被害者たち
 トンネル崩落事故の時、恭一郎が詐病で自分の救出を優先させたため、身内が命を落としてしまった(レスキュー隊員だった真鍋は、恭一郎を優先させたことを激しく後悔)。
 今回、崩落事故を再現し、恭一郎の本性を暴こうとした(その映像をネットに暴露)

3.入江良文(河合我聞)
 崩落事故の被害者・奥村を装い、真鍋らを扇動。一方で、溝口をけし掛け、監禁事件を実行させた。
 蓮見誠司(浅香航大)が過去に誤射して、一般市民を射殺したことの隠蔽を脅迫、10億円を振り込ませることに成功。
 溝口を引き込んだのは、溝口の組長釈放要求目的の監禁騒動で、トンネル崩落の時の恭一郎の詐病と本性を暴くという目的をカモフラージュするため。
 暴力団員の弁護も引き受ける人権派の弁護士の下で働いており、崩落事故の被害者や溝口の情報を知り得ていた。“金の為に動く男”というその弁護士の入江評。

[溝口が入江を撃ったふりをした理由]
 監禁した者に対する脅しと死亡したと見せかけることで、動きがフリーになり、蓮見の会社を脅迫(交渉相手は恭一郎の会社の常務の佐分利)。
 溝口の犯行声明を出したのも入江だろう。

4.雨宮紗耶香(瀧本美織)
 恋人を蓮見誠司に射殺された。その真相をはっきりさせるために、入江に依頼し今回の事件を仕組んだ。
 入江の脅迫で蓮見親子に揺さぶりをかけ、盗聴で尻尾を掴み、誠司を入江の隠れ場所に誘導し、誠司が入江を射殺するかどうか、見極めようとし、そして糾弾。
 
 
 
【不可解すぎる入江の行動】
細かく事件を追うと、実は入江は実は“いい人”だったような気がして仕方がない
①取引が完了したのは、明石が本性を現した直後。「塩素ガスを発生させるぞ」「防毒マスクは要らないか?」など恭一郎の本性を暴こうと脅かしたのはサービス?(逃亡後のメリーゴーランドのシーンにつき合ったのもサービス?)
②入江は本気で有毒ガスを発生させるつもりだったのだろうか?殺人罪を上乗せするのはリスクが大きい。現場の状況がネットに流されていたのは承知されていたはず
③監禁事件の黒幕的存在であることを明かすのも損
④クライマックス(メリーゴーランドのシーン)で誠司を撃つ必要もない

 事件を複雑にするには、入江のような脚本家にとって便利なキャラが必要だったのだろうが、先にも書いたように、“実はいい人”に思えてしまう。


紗耶香の行動も少し不可解
 最後に、入江の銃口から誠司を庇った紗耶香……
 「紗耶香が不可解」というより、「女心が不可解」と言った方が良いかもしれない。

【右京&冠城語録?】
ラストで、紗耶香と真鍋ら崩落事故の被災者たちがすれ違い、頭を下げる紗耶香に対し、目線を合わせて僅かに頷く彼ら……
「復讐に苦しんだ人にしか分からない気持ちってのが、きっとあるんでしょうね」
「我々は常に事件を追いかけていますが、そこで明らかになることなど、ほんの氷山の一角。
 人の心というのは、もっと深くて複雑なものです」
「俺が思うに、お互いが生き直すことを誓ったんじゃないですか」
「前向きですね。きみのそういうところ、嫌いじゃありませんよ」


細かい推理は見事
・《腕時計をした手でナイフを握っていた》《被害者の特定》《状況を分析し、犯人の意図を推察》など細かい推理は見事だった
・多少、こじつけ気味に感じたが

その他いろいろ
・“上級国民と暴力団構成員の対比”が裏テーマかも
・警官が若い男を撃った冒頭のシーンで、今回の犯人の真の狙いが推測できてしまうが、これを見せないと“後出しジャンケン”になってしまうので、難しいところだ。
・刑事部長の無事を確認した参事官の嬉しそうな顔
・右京は勿論、冠城も頭が切れすぎていた
・右京の被弾の仕方は“かすり傷”にしか見えなかった(至近距離の真横から左腕を直撃というのに)
・右京は床に放置された拳銃を放置し過ぎ
・関係ないのに地下駐車場を爆破されたゴルフ場のクラブハウスは気の毒だ
・蛍雪次朗さんはゲストではないのか?

【補足】marumoriさんからご指摘があり、尤もだと思ったので、ご紹介します。
①入江は催涙スプレーをどこに隠し持っていたのか?右京さんが地下駐車場で入江を確保し身体検査をした時には持っていなかったと言っていましたよね?
②恭一郎の暴言を隠し撮りし動画にアップした真鍋。でも、この時は入江によって妨害電波が発信されていたはず。一時的に妨害電波を止めたのでしょうか?
③誠司が紗耶香のメールで呼び出されて捜査本部を抜け出したときはまだ真昼間だったのに、遊園地についたときは真っ暗。そんなに時間がかかったのでしょうか?
④そもそも紗耶香は自分の恋人を撃った警察官が誠司だということをどうやって知ったのでしょうか?警察内部の人しか知りえない情報のはずでは?
⑤紗耶香と入江がどういう経緯で繋がったのか,
⑥なぜ社長室に盗聴器が仕掛けられていることが分かったか、紗耶香が黒幕だということにどいやってたどり着いたのか


これらに対する私の見解
①……まだ、仲間(黒幕)がいることをほのめかした言葉ですが、駐車場にいた者がスプレーを手渡すのは難しそう。なので、警察内部に協力者がいるのかと思ったら、そうではなかった。
②……妨害電波は奥村(偽者)が裏切り者(暗躍者)であることの“前振り”だと思いますが、要らない設定だと思う
③……確かに。まあ、(ドラマでは)よくある事である。
④……事件現場の付近の交番勤務の警官というのは分かっていたと思うので、そこから辿るのは可能かも
⑤……これは完全に省略されていた。尺の関係かもしれないが、今回の脚本の出来だと、失念していたのでは?と疑いたくなる。
⑥……右京は①のスプレーを渡した人物を推理した。協力者を地下駐車場内にいた人物と限定し、消去法で残ったのが紗耶香だった。紗耶香だとすると、盗聴器を仕掛けた可能性が高い。黒幕(協力者)の推理は、《射殺された男が路上画家でガーベラを描いていた》、《紗耶香はガーベラが好き》ということで繋がった。



……複雑にしようとして、あちこちで破綻してしまった脚本だった。

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【ストーリー】番組サイトより
警視庁震撼の監禁籠城事件が発生!!
人質となった右京は無事脱出できるのか!?


 年の瀬。右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、山奥のゴルフコースで開かれる警視庁主催の親睦ゴルフコンペに、“準備係”として駆り出される。コンペには、副総監の衣笠(杉本哲太)をはじめとする警視庁上層部のほか、警察庁OBの蓮見恭一郎(長谷川初範)や、その息子で組織犯罪対策3課の係長・蓮見誠司(浅香航大)らが参加していた。
 コンペ終了後、参加者たちがそれぞれ帰路につこうとした矢先、ゴルフ場の地下駐車場で大爆発が発生! 出入り口が完全に塞がり、居合わせた人間が、地下空間に閉じ込められてしまう。
 さらに、爆発に巻き込まれたと思われた“被害者”の一人が突如、持っていた拳銃を発砲!! 男は、暴力団の構成員で、その場にいた人々を人質に、「収監されている会長と7人の組員を釈放しろ!」という要求を突きつけてくる。

 人質になったのは、右京と恭一郎のほか、恭一郎の秘書を務める雨宮紗耶香(瀧本美織)ら計8人。男は、この時点ですでに、指示に従わなかった人質の一人を射殺しており、状況は切迫していた。いっぽう、地上では、亘をはじめ警視庁の面々が、人質救出に向けて動き始めていた。
 そんな中、地下に閉じ込められている人数と人質の人数が合わないという、不可解な状況が判明。人質の中に犯人の仲間がいるのではないかという疑惑が浮上してくる。そうこうするうち、右京は今回の一件と、5年前に起きたある事故の符合に気づき…!?

5年前の事故と現在の爆破事件に奇妙な符合が!?
殺人も辞さない凶悪犯に監禁された右京たちの運命は?
警察OBを巻き込んだ想定外の人質籠城事件は、やがて思いも寄らない驚がくの事実へと繋がっていく!!


ゲスト:瀧本美織 浅香航大 長谷川初範

脚本:神森万里江
監督:橋本一
コメント (2)
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