△4四金(第7図)に羽生九段が長考に沈んでいる。
△4四金が着手されたのが午後5時43分。夕食休憩(18:00~18:40)を挟んでの長考になるという予想通り、そのまま夕休に。
ちなみにABEMA画面が示す最善手は▲4四同飛で勝率評価値?は50%、次善手が▲6六桂で48%(この評価値は対局再開直前でも変化しなかった)。この2手は飯島七段が△6七とを決めなかった故、有力となった手である。
午後6時40分、対局再開されたが、羽生九段はすぐには指さない。夕食休憩中も考える時間があり(羽生九段が夕食休憩中に考えるタイプなのかは知りません)、対局再開後に改めて読みを入れるとしても、10分ぐらいで指すだろうと見ていたが、体を前後に揺らしながらも盤上を凝視し、一向に指す気配がない。
《▲4四同飛か▲6六桂で指し手に迷っている(どちらも有力)》…いや、これだけ考えるということは《▲4四同飛も▲6六桂も思わしくなく、苦慮している。他の手段を探しているのかもしれない》……
7時、7時15分……時間が過ぎていくが考え続ける(考慮時間もどんどん減っていく)
……《苦しんでいる?》…と嫌な予感がどんどん大きくなる。
7時26分、ようやく羽生九段の手が動いて、▲4四同飛。この手の考慮時間が63分で、残り時間が26分になってしまった。残り時間が豊富にあるのなら、1時間の長考はよくあるし、読みを入れるという行為は戦略的にも妥当だ。また、持ち時間が少なくなっても勝ちを読み切れるのなら、これも妥当な時間の使い方である。
この羽生九段の時間の使い方が後者に合致すれば良いのだけれど、
《ここ数年の羽生九段の夕食休憩を挟んでの長考はロクなことがない》というのが私のイメージだ。
なので、最善手とされている▲4四同飛(この時点での▲4四同飛の評価勝率も50%)が指された時は嬉しかった。目処が立たないままの指し手の可能性もあるが、《夕休後で互角なら、相手が飯島七段なら何とかなるだろう》と……(飯島先生、ごめんなさい)
しかし……その安堵も、△4四同歩に25秒で指された▲4二角で吹っ飛んでしまった。
この▲4二角では▲3二角や▲6六桂が有力と見られていた。
ただ、この▲4二角(▲5三金の詰めろ)も厳しそうで、受けが難しく見える。
この手に対しては、一見受けになっていないような手が正着。はたして、その手とは?