英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

“危険運転致死傷罪”の適用要件の明確化は重要だが……

2024-11-15 11:16:20 | 時事
【以下は、NHK『NEWS WEB』の「“危険運転”適用要件見直しで素案まとまる どんな方策が?」から抜粋】

故意に危険な運転をして人を死傷させたドライバーを処罰するために設けられた「危険運転致死傷罪」。
飲酒運転や猛スピードでの運転など、危険で悪質な場合でも適用されないケースが少なくないとして、法務省の検討会が適用する要件の見直しを議論し、報告書の素案をまとめました。

対象となるのは
▽「アルコールまたは薬物の影響で正常な運転が困難な状態」など
▽制御困難な高速度での走行
▽赤信号の無視
▽あおり運転のような「妨害行為」など

この要件の中で「高速度での運転」についての意見が気になった箇所(後述)
「一定の速度以上で車両を走行させる行為を、一律に対象とすることが考えられるとし、こちらも、規定された最高速度の2倍や1.5倍を数値基準とする意見も検討会の中で出されたことをあわせて記しています」




……これまでの判例を見る
《県道を時速194キロで車を運転して死亡事故を起こした件》
検察が最初は「走行を制御できていて、危険運転にはあたらない」と判断し過失運転致死の罪で在宅起訴
《酒気帯び運転の車がパトカーから追跡を受けて軽乗用車に衝突し、男女2人を死傷させた事故》
 検察がドライバーを危険運転致死傷などの罪で起訴し、「時速105キロまで加速していた」などとして懲役10年を求刑したのに対し、福井地方裁判所は「運転の制御が困難な高速度だったのか合理的な疑いが残る」として過失運転にあたると判断

 ……裁判所では、「時速190kmで暴走」や、「酒気帯び運転でパトカーから逃走」という“危険極まりない運転”が、《危険運転》としての判断材料にはならず、《走行を制御できている》かどうかが判断の基準となるようだ。
 今回、“危険運転致死傷罪”の適用要件の明確化は大いに支持できる(遅過ぎである!)

 さて、気になったのは、今回の検討会
「高速度での運転」に関して、一定の速度以上で車両を走行させる行為を、一律に対象とすることが考えられるとし、こちらも、規定された最高速度の2倍や1.5倍を数値基準とする意見も検討会の中で出された
 という記述。

 (もちろん、細案の時点で、もっと深く考えるとは思うが)
《規定された最高速度の2倍や1.5倍を数値基準》が適切なのか?
 ……一般道で法定速度が時速40kmの区間は多いと思う。その区間で(法定速度40㎞/hを認知せず)60㎞/hで走行してしまうということは、大いにあり得る。
 この場合、60㎞/h走行は“危険運転”に該当してしまう。基準を1.75倍にしたとしても、70㎞/hで該当する。

 法定速度を認知し、それを遵守することが第一であるのは言うまでもないが、「法務省は2月に検討会を設置し、危険運転致死罪を適用する要件について見直しが必要か議論を進めていた」というが、その報告書に記す内容がこれでは呆れてしまう。

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