英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

鎌倉殿の13人 第20話「帰ってきた義経」

2022-05-24 17:11:12 | ドラマ・映画
今回、この記事を書くにあたって、番組のホームページを閲覧(これまでも閲覧していたが、ここ2,3回はさぼっていた)して、気がついたことを少々。
 番組サイトには各話のあらすじのページに「略年譜」という項がある。第20話のあらすじの解説(略年譜)では第19話「果たせぬ凱旋」から第20話「帰ってきた義経」までの主な出来事が綴られている。
 その中で、《10月、源義経が堀川で頼朝の刺客に襲われる》とある……えっ?あれは義経の妻・里の仕業ではなかったのか??

★義経襲撃の真相
 義経を襲撃した土佐坊昌俊についてのWikipediaの記事では「頼朝は京にいる義経を誅するべく御家人達を召集したが、名乗り出る者がいなかった。その折、昌俊が進んで引き受けて頼朝を喜ばせた」とある。Wikipediaを鵜呑みにしてはいけないので、他の記事を探すと…『歴史めぐり源頼朝』~土佐坊昌俊の義経襲撃~という記事がヒット。ここでも「頼朝が昌俊を刺客として差し向けた」とある。

 まあ、ドラマなので、多少の脚色はありなのだろう。ただし、この襲撃事件は頼朝と義経の確執の真相を左右する大きな事件なので、脚本の三谷氏が敢えて通説を曲げたのは、氏の意思を強く感じた。
 義経は、襲撃が静御前を憎く思った妻・里の仕業であることを聞き、激情に駆られて里を殺めた。
 この激情であるが……
①襲撃が兄の意思でないと知っていたのなら、挙兵をしなかったのに!という口惜しさ(里への怒り)
②行家の讒言を鵜呑みにし、兄・頼朝を信じなかったことや、真相を見抜けなかった自分の愚かさに対する後悔
③静御前を亡き者にしようとした里への怒り
④里に凶行へ至らしめた、自分の愚かさへの悔い
……などなど、いろいろ考えられ、それらの感情が一気に湧き上がったと考えられる。

 三谷氏が敢えて、義経襲撃を里の仕業としたのは、《義経が頼朝に討たれたのは、兄弟が心から憎しみ合って、あるいは、頼朝が一方的に義経の戦の才を恐れたからではなく。悲運な行き違いから悲劇が起こってしまった》としたかったのかもしれない。



★義経が平泉に戻った真意
 前話の義時の忠告「奥州の藤原秀衡のもとに行けば、戦の種になる(だから行くな)」を聞かなかったわけだが、他に頼るものがいなかったからなのか、秀衡の力を借りて、頼朝を討とうとしたのかは、私にはわからなかった。
 元百姓の善児によると、「義経は百姓の手をしていた」と言う(元百姓の暗殺者って…)。これが、頼朝の目を欺くための偽装生活なのか、野望や恨みなどを捨てていたのかは、微妙。
 「頼朝が平泉を攻めるなら、本気で叩く(攻めてこなければ戦わない)」(←意訳)という言葉は偽りはないように感じた。
 義時の計略(頼朝の意思)……《頼朝の命によって静御前の赤子を殺害したことを知らせ、義経の怒りを煽った》《泰衝、国衝を仲たがいするよう仕向けた》《義経を討つよう泰衡に強いた》……を義経は悟った。
 しかし、本気で抵抗しようとはしなかった。おそらく、義経襲撃(堀川夜討)の真相を聞き、鎌倉と戦う意志がなくなったのだろう。
 ただし、真相を知ったのが土壇場だった。平泉での義経討伐の計略を悟った時点では、義経はどのような意思をもっていたのだろうか?…



★サブタイトルの意味
今話の終盤、首となって戻ってきた義経と対峙し、兄としての言葉を掛ける頼朝……悲しい。
サブタイトル「帰ってきた義経」の意味が、このシーンだった……不覚にも、このシーンを見るまで気づかなかった。

 

第1話「大いなる小競り合い」
第2話「佐殿の腹」
第3話「挙兵は慎重に」
第4話「矢のゆくえ」
第5話「兄との約束」
第6話「悪い知らせ」
第7話「敵か、あるいは」
第8話「いざ、鎌倉」
第9話「決戦前夜」
第10話「根拠なき自信」
第11話「許されざる嘘」
第12話「亀の前事件」
第13話「幼なじみの絆」
第14話「都の義仲」
第15話「足固めの儀式」
第16話「伝説の幕開け」
第17話「助命と宿命」
第18話「壇ノ浦で舞った男」
第19話「果たせぬ凱旋」

【ストーリー】番組サイトより
京を離れ、奥州へ逃れた源義経(菅田将暉)。しかし、温かく迎え入れてくれた奥州の覇者・藤原秀衡(田中泯)が程なく死去。これを知った義時(小栗旬)は、状況を探るため平泉行きを志願するが、義経の才を恐れる源頼朝(大泉洋)は、藤原国衡(平山祐介)・泰衡(山本浩司)兄弟の仲の悪さにつけ込み義経を討つように冷たく命じる。八重(新垣結衣)に見送られ、平泉へと発たつ義時。一方、捕らわれた静御前(石橋静河)は鎌倉で……

脚本:三谷幸喜
コメント (2)
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