英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

いつもの敗局より5倍悔しい……2023王位リーグ 羽生九段-永瀬王座

2023-05-02 22:14:36 | 将棋
 大逆転と言っていいだろう。
 “大逆転負け”なので、通常の敗局より悔しいのは当たり前だが、いつもの逆転負けより5倍悔しさを感じる。
 悔しさをもう少し詳しく言うと、“がっかり”とか“残念”というモノより、“腹立たしさ”に近い感情だ。

 (これについては後述します。おそらく、「その2」になると思いますが、一晩経って冷静になり、「その2」を書かないかもしれません。でも、この際だからと書いてしまうかもしれません)

 将棋は、羽生九段の強気な指し手が功を奏し、どんどん玉が敵陣に突進。単騎の入玉なので、勝ちにもっていくまでは、まだまだ、険しい道のりだ。

 図は、7五の桂を成ったところ。狙いは金の入手。図で後手に金があれば1手詰。▲8七同金△同角成▲7二玉と素直に応じたのはどうだったか?確かに、先手は銀+桂と後手は金のみの駒得。それに、先手玉のにとって脅威の銀も排除できるので、理に適った指し方ではある。しかし、1手詰はともかく、後手が金を入手すると先手玉の危険度が一気に増すので、道が少し険しくなったようで、嫌な予感が少し……
 図では、▲8九金(金を与えない)も有力だったが、▲6三歩(変化図1)が良かったように思う。

 放置すれば▲7二玉と銀が取れる。かと言って、①△6三同角だと▲8七金で桂がタダ。また、②△6三同銀だと先手玉が安全になる(以下▲9一玉△8八成桂には▲9四桂と味良く桂を活用)。③7一歩には、先手も▲6二金と手厚く指すか、▲7一玉と図々しく指すか、▲8九金と手堅く指すか……いずれも良さそう。

 実戦は、第1図以下▲8七同金△同角成▲7二玉(▲7一金が正着かも)△5四馬▲6三歩△7一歩▲同玉△6三馬(△5三角が正着かも)と進んだ(第2図)。

 正確に指せば、先手の勝ちらしいが、先手玉は相当心もとない。
 飛車を打って凌ぐのが良いようだが、8二から打つのか、7二から打つのか……
 おそらく、7二から打った方が良かったようだが、▲8二飛も大きく形勢を損ねる手ではない。ただし、△8一歩(第3図)が非常に嫌味。

 羽生九段、残り17分から12分考えて、▲6二金(第4図)。


……悪手だった。大優勢から一気に互角に。残り時間は5分。
 △5三角と指された局面。互角でも、勝ちやすさ(負けやすさ)が先手と後手とでは大差。▲6二金は実質的敗着。

 第4図の正着は▲7四銀(一瞬、タダかと思ったが、桂の紐が付いている)。
 ▲6二金も▲7四銀も馬取りを掛けながら先手玉周辺の勢力を強めようとする手であるが、この2手には大きな違いがあった。

 それが、《△5三角が成立するかしないか》の違い。▲7四銀にも△5三角とすると、一瞬で先手の勝ちになる。………反則勝ちだ。
 ▲7四銀に後手は①△5三馬、②8二歩、③5四馬、④7四同馬などが考えられるが、①は▲8一玉、②は6三銀不成、③は▲8三飛成、④は▲4二飛成△同金▲7四桂で、先は長いが勝勢に近い。

 非常に残念な敗局。入玉将棋での嗅覚が鈍っていたのか……ここ数局、中盤で時間の使い過ぎの傾向が……それでも、勝ち切っていたので、復活の機運が強くなっているように思ったが、やはり、もう少し終盤の時間を残してほしい。
 今回の一局で、入玉将棋の勘も戻ったはず。リーグ最終局の豊島戦に期待したい。
コメント
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