英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

叡王戦(2023年) 第4局 藤井聡太叡王 対 菅井竜也八段 その2【修正あり】

2023-05-30 22:17:47 | 将棋
【局面図が1図抜けており、修正しました】

 指し直し局。第1図は、先手の藤井叡王が▲7一銀と後手の穴熊玉に迫った手に対し、菅井八段が△7三銀打と受けたところ。以下、▲8二銀成△同銀▲7一銀△7三銀打▲8二銀成という手順が繰り返され、同一局面が4回出現し、千日手が成立した。これで、休憩を挟み、3回目の第4局が指されることとなった。
 ただし、図の△7三銀打では△6一歩で後手が有望だと言われており、局後、菅井九段も「これ千日手にしたあと死ぬほど後悔しました」と吐露している

 2度目の指し直し局(3回目の第4局)

 この図の3手前の藤井叡王の△5六歩が優位を確定させた好手。図は苦しい菅井八段が▲1五歩と端攻めに紛れを求めた局面。
 持ち歩もないのに端攻め……苦肉の策だが、穴熊の使い手の菅井八段は、端にアヤをつけておいて、後手が攻めてくれば駒が入り、カウンターを狙っている。端にアヤがあれば、読みも分散されミスも生じやすいという経験則もあるのだろう。
 しかし、藤井叡王の応手は、“苦肉の策”を逆手に取る△1五同角。指されてみれば、なるほどである。歩切れの先手に歩を渡さず、端を逆襲すれば、先手は受け手に窮する。渡した角も、端攻めに対する防御力はゼロに等しい。


 “苦肉の策”……敵をあざむくために、自分の肉体を痛めつけて行うはかりごと
 だが、その策を逆用。傷ついた箇所を刀でえぐるような責めだ。



 適当な受けがない菅井八段は、▲6五角と攻めに活路を見出そうとするが、ここで、藤井叡王は腰を落として読みを入れる。
 《歩切れだよねえ》と△1六香と精神的にも痛めつける手を指したくなるが、じっと△1六歩(最善手)。
 さらに▲4三角成と金を取らせる間に、端を攻める。詰めろを逃れる▲1八歩(第4図)


 ここで満を持して△4八とと金を取り、▲同銀に△2九龍!……まさに“一閃”!


 ▲2九同玉に△3七桂▲同銀と捨て、玉の逃げ道を封鎖しておき、△1八成香と突進。▲同玉となった第6図での後手の持駒は金銀香に歩が4枚。


 ちょっと心もとない手駒だが、《藤井くんだから、詰むのだろう》
 図から△1七歩▲同玉△1六歩▲同玉までは誰でも読める。
 そのあと《王手をしていけば、詰むだろう》と…………(投了図の)△1五銀ではなく、△1五歩と打ってしまい……▲2六玉とかわされ………
 《ん?かわす手があるのか? でも、△2四香と打てば……あれ、▲1七玉△1六歩▲同玉で…詰まない……》(△1五歩にすぐ▲1七玉は、△1六歩▲同玉に△1五銀とやり直せば詰む)
 △1五歩▲2六玉に他の筋も詰まない。



 △2九龍~△3七桂の筋はすぐ見えるが、そこで詰みが見えるのか?……惜しげもなく駒を捨てていく不利感が強く、最後の△1五銀も見えにくい。
 藤井叡王は第3図から△1六歩と指す時に12分考えているが、この時、投了図まで読み切っていたのだろう。いや、△1五同角と指す時に、既に、投了図が見えていたのかもしれない。
 強過ぎる!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする