英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

叡王戦(2023年) 第4局 藤井聡太叡王 対 菅井竜也八段

2023-05-29 17:31:34 | 将棋
 昨日はいろいろ所用があり、断片的にしか観戦できなかった。
 中継を繋げた時(11時過ぎ)は、対局が始まっていなくて、《ん?午後から対局開始?……ああ、千日手ね》
 指し直し局は、終盤の入り口で、菅井八段が優位に立っているようだが、まだ先が長く、勝負はこれからと見ていた。
 その後、角打ちの筋を見て、一旦、藤井叡王の飛車を叩く△2三歩が有力だったが、菅井八段は先手穴熊に働きかける手を選択し、形勢接近。
 でも、穴熊党としては、本譜の先手穴熊を削るのは当然の選択かもしれない。

 藤井叡王は穴熊は弱体したものの、菅井八段の攻勢のの間隙をぬって、駒損も厭わず後手の穴熊に絡みつく。
 それが功を奏し、千日手に持ち込んだ。後手は千日手を回避して優勢に持ち込む手段があったが、その順は、後手が穴熊から引きずり出されるモノ。穴熊党としては選びにくかった。

 2度の千日手で、3局目に突入。解説の阿久津八段と井出五段は、辟易した顔で終局が遅くなると不平を言っていたが、これはリップサービスだろう。(解説料は1局分なのだろう。時間給でもなさそうだ)
 3局目は序盤は観戦できず、観始めたのは終盤になっていた。やはり、相穴熊戦で互いに龍と“と金”が敵陣にいるが、先手の菅井玉の方が切迫している。金取りに桂を打たれ、その金を“と金”にぶつけたが、非常手段ぽい。
 藤井叡王は、すぐに金を取らず、”と金”の尻に歩を打って攻めを貯める。

 苦しい菅井八段は、持ち歩がないのにも関わらず、▲1五歩と端攻めに活路を求める。
 手抜きして攻め合っても勝てそうだし、△同歩でもよさそう。
 ここでAIが示す最善手は△1五同角。
 「AIは△1五同角を推奨しています。なるほど、▲1五同香△同歩と進むと、歩切れの先手は困っています。でも、人間は指せない」
 阿久津八段がと言って間もなく……△1五同角!


 その後も藤井叡王は着実に防衛に近づいていく。
 あとは、《どうやって先手玉に必至を掛けるか?》という状況だ。
ところが……
   ………△2九龍!

 《飛車を渡しても大丈夫?》 《足掛かりの強力な龍を切っても寄せられるの?》
 ……更に、△3七桂と捨てる。
 「なるほど、桂を捨てて蓋をして端から迫って詰んでいるのか」と阿久津八段も感嘆。

 ちなみに、△2九龍を決行した時、AIもこの詰め筋を発見してはいなかった。(△2九龍が指されて、初めて評価値が99%になった)

………強過ぎる!(1日3局目の終盤でこの切れ味)
コメント
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