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「ゼッケン○○○○・・」
マイクアナウンスが聞こえ始める。
【61.5km、カヌー館】
レストステーションに到着。
関門時間も何とか一時間残している。
ボランティア学生から荷物を受け取る。
ゼッケンをコールするマイクアナウンスを聞き逃さず、
準備したランナーの荷物を一人ひとり手渡ししてくれる。
「ありがとう」
味噌汁、バナナ、スポーツドリンクを片手に芝生に向かう。
芝生は青く、リゾート気分が漂う。
疲れ果てたランナーには青い芝生は「天国」のようにも見える。
「天国」は応援の家族・友人が出迎えたり、とても賑やか。
青い芝生では半裸で仰向けに横たわるランナーなどもいる。(天国の正しい過ごし方か・・)
しかし、過去の経験からこの天国での休憩はかなりの時間のロスになる。
大急ぎで着替えを済ませて、荷物の中に手を伸ばす。
栄養ドリンク、エネルギージェルなどを摂取。
胃がムカムカするが、胃薬を荷物に入れ忘れている・・。
結局オニギリは食べられず、急いで出発。
「天国」に背を向けて「地獄」に向かう。
脚が重い・・。
しんどい・・。
【オカリナおじさん】
しばらくすると四万十ウルトラ名物オカリナおじさんが現れる。
神出鬼没のこのおじさん、
毎回オカリナを演奏しながらランナーを応援してくれている。
「ポ~~」という優しい音色が束の間の癒しとなる。
今回は何の曲だろうか?・・、聞き耳をたてる。
「いとしのエリー」
(♪笑ってもっとベイビー~)
「ありがとうございます」(もう苦笑いしかできない)
【65km地点、津大橋】
「西土佐の赤い橋」、正式名称は津大橋。
案外地元民も正式名称を知らない。
ここのエイドも学生ボランティア。
学生ボランティアの働きぶりが気持ちいい。
お腹が重くなり網代休憩所のトイレに駆け込む。
いつも空いているが何故か混雑していて並ぶ。
列の後ろに知り合いランナーが並んだ。
「少し時間がマズいですよね~」
「ギリギリっぽくなってきたね」
大きい方のトイレを済ましトイレットペーパーを引っ張ると、
10cmで無くなった・・。
予備のペーパーの外紙を剥がし、新しくセットする。
上手くセット出来なかったのか回転しない。
もう一度外したところでトイレットペーパーが紙テープのように
足元をクルクルと転がった。
びしょ濡れになったペーパーをある程度引きちぎり、
改めてセットし直した。
トイレで遊んでいる場合ではない・・。
今回も「トイレの神様」に試されている。
走り出す。
【68.6km、岩間沈下橋】
2回目の沈下橋は往復ではなく渡りきり。
目の前を小さな子供達がはしゃぐ。
沈下橋から落ちないのか気になる。
橋を渡った後の少しの上りが走れない。
ついにダラダラと歩き始める。
走ってみようと試みるが体力が全くない。
ガス欠。
体の中のガソリンが全く無い。
給食を摂れなかったツケが疲労と共に現れる。
【70km地点通過】
自分の中の第2チェックポイント。
「70km地点をちゃんと走れているか」
ダメ。走れない。
一度目の疲労のピーク。
ダラダラと歩く。
山際でココブ(アケビのような果実)を探す。
今年は気温が高いせいかココブの実は見当たらない。
【71.5km、茅生(かよう)大橋】
関門所を約30分前に通過。
知り合いボランティアに声を掛けられる、
「おい!大丈夫か!?時間ギリギリじゃないか?」
「いや~動けなくなりました」
ここまでにもうかなり時間を使ってしまった。
もう開き直って自販機で甘いジュースを買う。
歩道に座り込んでジュースを飲む。
腕に書かれた子供達のメッセージを見る。
「イカン・・、こんな事してる場合じゃない・・」
立ち上がり走り出す。
何となく甘いジュースが良かったのか走れ出す。
しかし中半(なかば)地区は長い。
中半A、中半B、に小分けしなといけない。
クネクネと曲がった細い一車線の車道が続く。
車が行き違い困難となりバックしてくる。
ランナーは脚を止めてそれを避ける。
移動応援禁止を謳っているのはこのため。
残念ながら行き違い困難車は県外ナンバーが多い。
少し陽が落ちてきて暗くなる。
リタイアバスが多くのランナーを乗せて通り過ぎる。
【76km、口屋内地区】
久し振りに民家が集う集落に入る。
「旅館せんば」の前は応援がアツい。
「ナイスランです!」
ランナーっぽい若者が声援をくれた。
応援の声は「頑張れ」とか色々あるが、
この「ナイスラン」は褒められているようで素直に嬉しい。
若者「その調子でここからはキロ5分で行きましょうー!」
思わず足を止めて・・、
「無理!」と笑う。
沿道の人達、ボランティアの人達、ランナー同志、
会話をすることで体に力がみなぎる。
声援も脚を動かしてくれるが、
「会話」は脳を直接刺激して体を動かしてくれる。
【復活】
走れる、走れる。
口屋内地区を通りすぎ、久保川地区に入る。
【79.5km、関門所】
以前この脇のトイレで嘔吐下痢をした。
何とか走って通過する。
【80km地点通過】
「11時間2分」。
残り20kmを3時間。
黄色信号は点滅しはじめた。
そしてついに「奴ら」が後ろから現れた・・
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トイレットペーパー事件、はらはらするね。
私もね、30km過ぎで急激な眠気におそわれて、エネルギー切れを自覚。よろよろ歩きよったら、民家の前で応援していたおばちゃん達が、水とバナナくれて復活できたがよー。そこでおしゃべりできたがも良かった。ホント応援は嬉しいねぇ。
おばちゃんパワー有難いね~。
次回最終話はこの後深夜の予定です。
コメントありがとう。
気が付きました?
そう言えば、大会どうなったのかと、ふと気になり、ブログを拝見しました。
はらはらドキドキで拝見していました。
最終話…深夜更新…待ってます(笑)
ブログの応援ありがとうございます。