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レース当日。
AM3:00起床。
と、いっても、どれだけまともに寝れたのかは分からない。
いつもの事なんで気にしない。
朝食、
おにぎり2個、餅、梅干し、栄養ドリンク。
大体毎回こんなもん。
脚にテーピングして体にワセリンを塗る。
今年はクルブシ痛に随分と悩まされた。
ほとんど直ったが、レース後半に痛み出すのは想像できる。
しっかりとテーピングで保護する。
スタート会場に向けて出発する。
嫁の同僚キクちゃん(初対面)が車で送ってくれる。
ビックリするくらいの可愛娘ちゃんで、完全に目が覚める。
「コレ使ってください!」
差し出されたのは細い蛍光スティックの束。
繋ぎ合わせるとネックレスになった。
「パキパキ折ると光りますよ~」
こんなオッサンが光る首輪をぶら下げていいものだろうか・・
「あ、ありがとう・・」
四万十市街地からスタート会場は約9㎞。
10分足らずで到着する。
「頑張ってくださいね~!」
黄色い声援が素直に嬉しい・・
橋の上は巡回バスから降りてきたランナー達が列をなす。
例年、鶏達がバタバタと騒ぐ鶏小屋が今年は静か。
そういえば自分もやけに落ち着いている。
スタート会場は蕨岡中学校のグラウンド。
仮設トイレには行列が出来る。
市長が一生懸命喋っているが、
周りがザワザワしていてそれどころじゃない。
携帯電話の着信が鳴る。
去年寝坊してレースを断念した知り合いランナーから。
「あの~、スミマセン、今起きましたぁ~」
「えーっ!今5時やん!絶対間に合わんでー!」
「ハハハ、ウソウソ、コッチコッチ、見えますか~!」
すぐ向こうで携帯片手に悪戯な笑みを浮かべている大柄ランナー。
今回はこの寝坊ランナーとスタート地点に向かう。
一条太鼓が鳴り始めると急に辺りに雰囲気が醸し出される。
例年タイマツの炎で暖をとるランナー達がいるが、今回は少ない。
「今日は暑さとの勝負にもなるか・・」
早めに手荷物を預けたせいで、随分前の方に並んでしまった。
スタートゲートがやけに近い。
前から逆走するようにカメラマンが撮りながらスリ抜けてくる。
「ハイ、スタート前の写真撮りま~す!いい顔してくださ~い!」
マイクアナウンスで有力選手が紹介される度に拍手が沸き起こる。
「スタート1分前!」
「パンッ!!」
光のように眩しいフラッシュの中をスタートする。
ゲートを潜り抜ける。スタートロスは全く気にならない。
コース右端を走る。
沿道の人達がハイタッチで出迎えてくれる。
松明(タイマツ)ボランティアの友人を見つける。
「おーい!行ってくるぞ~!」
「おう!今年はちゃんと帰って来いよー!」
松明班はスタートのランナーを見送った後、
夕方にゴール地点に移動して、同じく松明の炎で迎え入れてくれる。
前の方に並んだせいで、周りのランナー達が速い。
キロ6分弱。
想定ペースよりも30秒も速いが、しんどくもない。
このまま行くか・・
すぐに知り合いランナーに追い付かれる。
飛脚Tシャツを作ってくれた50代のSさん。
「おお~、こんな前におったんやね~」
「コレ見てください、光る首輪ですわ、どう思います?」
「ハハハ、目立っていいやんっ!」
Sさんは笑顔で前に進んで行った。
空はまだ真っ暗。
光る首輪が首元で跳ねて、顔にバチバチと当たって痛い。
あまりに顔に当たって邪魔になり始めたんで、
沿道の声援に小さな子供の姿を探す。
子供は光るものが大好きだろう。
すると前からキクちゃんがハイタッチで現れた。
「ハー―イ!」
(危ない危ない・・、さっさと誰かにあげてしまうところやった・・)
明るくなるまで「顔にバチバチ」と勝負することを決めた。
2km地点、
明かりは松明の炎からキャンドルに変わる。
内川地区恒例のキャンドルによるライトアップ。
キャンドルの炎が一定の間隔で並び、幻想的に揺れる。
まるで夜の飛行場の滑走路のよう・・。
やはり雰囲気は抜群。
「100kmの部」ならではの暗闇ランを楽しむ。
5km手前に早くも給水所。
「コーラありますよ~」
朝の5時台にコーラなんか飲むとお腹によくないだろう・・、
魔法の水はもっと後でのお楽しみ。
ボランティアスタッフが自家用車で暗い道を照らしてくれる。
自家用車の横に立ちっぱなしのスタッフが、
「頑張って下さーい!」と声まで掛けてくれる。
「ありがとうございます!」
出来る限りお礼を言うようにする。
2車線の道が1車線になり山道に突入する。
もうかなり夜は明けて、回りの風景もよく見える。
道は少し上り気味になる。
縦長に伸びるランナーの列が前方に蛇行している。
クネクネと細い道が多い。
8km地点のエイド、
もう完全に明るい。
これから上るのでしっかりと給水をとる。
すぐに竹屋敷地区の集落。
山道ばかり走っていると、小さな集落でも都会的に感じる。
昔はたくさんの応援がもらえた竹屋敷。
過疎化が進んでいるのか、人が少ない。
9km地点からは脚に負担がかかる程度に上り始める。
試走で走っており、何の不安もない。
13km地点、
徐々に峠に突入する。
「堂ヶ森の峠」(標高600m)。
序盤の難関に差し掛かる。
17km地点、
ついに傾斜がキツくなり、峠と格闘することになる。
序盤から徐々に登ってきた脚は相当に疲労を蓄積していて、
歩いて登るランナーをゆっくりと抜く感じになる。
でも決して歩かない。
20km地点、
靴紐に装着したチップが計測され、通過がWebにアップされる。
「2時間14分」
自分の走力では毎回こんなもん。
21km地点、峠の頂上に辿り着く。
最初のオニギリエイド。
やっと上りが終わった安堵感が辺りに広がる。
天気にも恵まれ、頂上は気持ちがいい。
~つづく~
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