漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

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西加奈子著「ふる」女性のいのちを正直に生きる

2016-03-12 | 
キーワードは、
人それぞれが纏う白いもの(それは主人公「花しす」と猫にしか見えない)と女性器と新田人生。

白いものはふわっとしているようで、ずっしり重みもあるらしい
それは何でしょう?いのちの「気」みたいなもんでしょうか。
介護している寝たきりの祖母の女性器から白いふわふわしたものが出てきたとき、花しすは確信したのではないでしょうか。代々、ここからつながっている女たちの「いのち」を生きることの意味を。
西さんは、イメージを少しずつ文章にしていくうちにやがて「いのち」を書きたかったんだ気付いたのだそう。


主人公の28歳「花しす(かしす)」の過去や今のいろいろな出来事は、
その都度何か結果が出るわけでもなく混沌としているけど、
彼女の感性は細やかで、だけどわりと事なかれ主義で、あるある的に共感してしまう。

そして彼女の人生の年代ごとに登場するいろいろな「新田人生」という人物。
いちいち彼の登場はやたらと心騒いで、面白いです。

物語の後半、畳み掛けるようにさまざまな声が。
過去や今の、花しすの周りの人の声、そして花しすの心の声、正直ないろんな声。

私的に反応したのは、
どう思われようと、避難されようとも、愛している人たちには自分の思いをはっきり言葉で伝えるべき、というところかな。
最もできないことだものね。
混沌としているけど印象に残る作品。

西加奈子 1977年生まれ イラン ・テヘラン生まれ エジプト・大阪府育ち


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2 コメント

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Unknown (けん)
2016-03-13 09:24:40
俺も読みました~。
こういう他愛もないお話って、文章力や登場人物に魅力がないと全然面白くなくなっちゃいますよね。
西加奈子ってすごいなって思います。
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けんさんへ (やく)
2016-03-14 15:21:39
ほんと、西さんうまいなあと感じる作品でした。
「ぼくらには西加奈子がいる」と又吉さんの書評の言葉が
西さんの文庫本(どれだったか?)の帯についていたのが心に残っています。
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