漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

【凹凸(おうとつ)】  【凸凹(でこぼこ)】

2016-03-13 19:20:23 | 雑記
 【凹】 と 【凸】。これぞ象形文字という感じで、私の感覚では、「漢字」と言うよりかなり「記号」に近いです。(笑)

 きょうはこの 【凹】 と 【凸】 の読みについて。ちなみにどちらも常用漢字ですね。表題に書いた二つの熟語、 【凹凸(おうとつ】 は普通に音読みですが、【凸凹(でこぼこ)】 は熟字訓です。


【凹】   (「漢検 漢字辞典」初版 P.109/第二版 P.111)
音 : オウ
訓 : くぼ・む  へこ・む  (へこ・ます) 
 「へこ・ます」は、「辞典」初版にはなく第二版で新たに採録された読み。もちろん「漢検要覧」にはもともとありますが、まあ「へこ・む」とは読むが「へこ・ます」とは読まない、なんてことはないですから、余り気にすることでもないですね。 


【凸】   (P.1165/P.1175)
音 : トツ
訓 : でこ



 常用漢字表に採録されているのはどちらの漢字も音読みのみで、上に書いた訓読みはすべて表外読みです。その表外読みまで含めても、 【凸】 に「でこ」の読みはあるものの、【凹】 に「ぼこ」の読みはなく、【凸凹】 を「でこぼこ」と読むのは熟字訓ということになります。【凸凹】 は「辞典」の見出し語ですが、実際にそこでも熟字訓の扱いになっています。「でこ」を訓読みとして認識するなら「ぼこ」もそうすれば良いのにと思ったのですが、それに対する説明が、大修館書店HP内の「漢字文化資料館 漢字Q&A No.444」にちゃんと載っていました。その部分を引用してみましょう。

------------------------------------

「凸凹=でこぼこ」なら、「凸=でこ」「凹=ぼこ」と分解できそうなものですが、話はそう簡単でもないのです。なぜなら、「ぼこ」ということばそのものの存在が、ちょっとアヤシイからです。よく考えてみると、「突き出ている」という意味の「でこ」には「おでこ」などの用例がありますが、「へっこんでいる」という意味の「ぼこ」は、単独で使われることはまずありません。つまり、「でこぼこ」は「でこぼこ」で1つのことばであって、それ以上に分解できるものでない (後略)

------------------------------------

 なるほど納得、ですね。(ただし、上記のQ&Aは、【凸】 の「でこ」も、訓読みとは認識していない立場で書かれています。念のため。)


 この「漢字文化資料館」、本ブログのブックマークの先頭にも載せさせていいただいていますが、以前にもご紹介しました通り、特にこの「Q&A」は読みごたえ十分です。漢検の得点戦略とは別物ですが、ご興味のある方はご一読されてみてはいかがでしょうか。