わづらひて、人にえあはであるに
いとどとふ ひともなきかな こよひもや とりさへなきて われはかへらむ
いとどとふ 人もなきかな 今宵もや 鳥さへ鳴きて われは帰らむ
人に逢うことができず困惑して
今宵は逢えないまま、朝になって鳥が鳴くまでになったので私はもう帰ろうか。こうして、ここには訪ねて来る人もいなくなるのであるよ。
逢瀬を拒否され、とうとう朝まで入れてもらえなかった男の立場での、いささか皮肉を込めた歌ですね。
わづらひて、人にえあはであるに
いとどとふ ひともなきかな こよひもや とりさへなきて われはかへらむ
いとどとふ 人もなきかな 今宵もや 鳥さへ鳴きて われは帰らむ
人に逢うことができず困惑して
今宵は逢えないまま、朝になって鳥が鳴くまでになったので私はもう帰ろうか。こうして、ここには訪ねて来る人もいなくなるのであるよ。
逢瀬を拒否され、とうとう朝まで入れてもらえなかった男の立場での、いささか皮肉を込めた歌ですね。
旅人の衣うつ声を聞きたる
くさまくら ゆふかぜさむく なりぬるを ころもうつなる やどやからまし
草枕 夕風寒く なりぬるを 衣うつなる 宿やからまし
衣を打つ音を旅人が聞いている
旅のさなか、夕風が寒くなってきたとき、衣を打つ音が聞こえてくる。その家に一夜の宿を借りられないものか。
遠い地にいる夫を偲んで衣を打つ音に、旅人もまた故郷に思いをはせている情景ですね。
この歌は、新古今和歌集(巻第十「羈旅」 第905番)に入集しています。