漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

【繆】

2015-01-11 09:23:49 | 意味によって音読みが変わる漢字
 「漢検 漢字辞典」の第二版で、初版からいくつかの改訂がなされているのをこのブログでも何度かご報告していますが、改訂事項の一つに、意味による音読みの読み分けの記載が大幅に増えている点があります。きょうはそんな漢字の一つ、 【繆】 のご紹介です。

【繆】
<初版> P.1289
 音読み  ビュウ、リョウ、ボク
 訓読み  (なし)
<第二版> P.1302
 音読み  ビュウ、リョウ、ボク、キュウ
 訓読み  あやま・る、たが・う、もと・る、いつわ・る、まつ・わる

 上記の通り、第二版では音読み「キュウ」と、5つの訓読みが追加されています(いずれも、「要覧」にはもともとあって、「辞典」初版には記載のない読みでした)。またそれに加えて、4つの音読みの意味の違いが明確に記載されています。


ビュウ
 まとう。からみつく。 ⇒ 【綢繆(ちゅうびゅう)】
 誤る。まちがえる。 ⇒ 【繆説(びゅうせつ)】  こちらは「謬」と類義ですね。
 たがう。もとる。
 いつわる。いつわり。

リョウ
 まつわる。めぐらす。 ⇒ 【繆繞(りょうじょう)】  こちらは「繚」と類義。 【繚繞】 も辞典にあります。(初版 P.1566/第二版 P.1582)

ボク
 やわらぐ。おだやか。  ⇒ 「穆」と類義。「辞典」に用例はなく、「大漢和」でも人名がほとんどですが、 【繆繆(ぼくぼく)】 (やわらいで美しい意) というのがありました。

キュウ
 まじわる。
 ひもを巻きつけて絞める。
   ⇒  これも「辞典」には用例なし。「大漢和」には 【繆纏(きゅうてん)】 (まつわりつく意) とあります。 


 辞書が改訂されて解説が詳しくなるのはもちろん良いことですが、音読みが4つもあってそれぞれ意味も違うとなると、しっかり区別して覚えるのは難儀ですね。実際の漢検という点では 「ビュウ」 と 「リョウ」 だけ押さえておけば良いかな?


【阨】

2013-07-02 19:36:57 | 意味によって音読みが変わる漢字

 【阨】 も、意味によって音読みを読み分けるようです。

 ① 「ふさがる」 「行きづまる」 意味では 【ヤク】   阨困(やくこん) 
 ② 「せまい」 意味では 【アイ】   阨狭(あいきょう)


<「漢検・漢字辞典 初版」の記載ページ>

 【阨】 P.4





 上に書いたことは今回の出題とは関係ありませんが、少しずつ25-1の振り返りをしています。本格的には標準回答が到着してからにしようと思いますが、とりあえず確認しただけで、(一)の読み問題で-6点。(二)の書き取りで-10点。もうこれだけで合格など覚束ないですね。(汗)

 しっかり点検して、次につなげたいところです。


【藐】

2013-05-16 06:40:36 | 意味によって音読みが変わる漢字
 前回ご紹介(意味によって音読みが変わる漢字)したもののようには、「漢検 漢字辞典」に明確には記載されていませんが、【藐】 も使われる意味によって音読みを読み分けるようです。

 1 はるか、かすかという意味のときは「ばく」      藐然(ばくぜん)、藐焉(ばくえん)
 2 かろんじる、さげすむという意味のときは「びょう」  藐視(びょうし)

 個人的には、「藐焉」を「びょうえん」と読んでしまいそう・・・
 しっかり覚えたいですね。


<「漢検・漢字辞典 初版」の記載ページ>

 【藐】  P.1298

意味によって音読みが変わる漢字

2013-04-29 08:14:59 | 意味によって音読みが変わる漢字
 同じ漢字でも、意味の違いによって訓読みが変わるのは当たり前ですが、音読みが変わる漢字がいくつかありますね。


【耆】
 1 老いる、という意味のときは「き」   : 耆徳(きとく)、耆宿(きしゅく)
 2 たしなむ、好むという意味のときは「し」: 耆欲(しよく)


【愒】
 1 おどす、という意味のときは「かつ」  : 恫愒(どうかつ)
 2 むさぼる、という意味のときは「かい」 : 玩愒(がんかい)


【圜】
 1 まるい、という意味のときは「えん」  : 圜冠(えんかん) 
 2 めぐる、という意味のときは「かん」  : 圜繞(かんじょう)、圜流(かんりゅう)



 他にもまだあったと思いますが、また気づいたらアップしますね。




<「漢検・漢字辞典 初版」の記載ページ>

 【耆】  P.266
 【愒】  P.176
 【圜】  P.243