竹
としごとに おひそふたけの よよをへて たえせぬいろを たれどかはみむ
年ごとに おひそふ竹の よよをへて たえせぬ色を たれとかは見む
年ごとに生えて来る竹の、世を経ても絶えることのない色を、どなたのお姿として見ましょうか。お変わりのないあなたさまのお姿にほかなりません。
188 からの宇多法皇六十歳祝賀の歌はここまで。貫之集第二巻ものこり二十首ほどとなりました。
竹
としごとに おひそふたけの よよをへて たえせぬいろを たれどかはみむ
年ごとに おひそふ竹の よよをへて たえせぬ色を たれとかは見む
年ごとに生えて来る竹の、世を経ても絶えることのない色を、どなたのお姿として見ましょうか。お変わりのないあなたさまのお姿にほかなりません。
188 からの宇多法皇六十歳祝賀の歌はここまで。貫之集第二巻ものこり二十首ほどとなりました。
きくのはな したゆくみづに かげみれば さらになみなく おいにけるかな
菊の花 下行く水に 影見れば さらに波なく 老いにけるかな
菊の花の下を流れる水に映る影を見ると、まったく波がたっていない。そんな水面と同じように顔に皺も寄らずに歳を重ねているのですね。
菊の花が持つという長寿の効用を、少し違う角度から詠んだ歌ですね。
菊
いかでなほ きみがちとせを きくの花 をりつつつゆに ぬれむとぞおもふ
いかでなほ 君が千歳を 菊の花 折りつつ露に ぬれむとぞ思ふ
菊
なんとかあなたさまのご長寿を聞こうと、菊の花を折ってはその露に濡れようと思います。
第三句「きく」は「聞く」と「菊」の掛詞になっていますね。菊に長寿の効用があるという、貫之集でもたびたび出て来るモチーフの詠歌です。
鶴の群れゐたるところ
かのみゆる たづのむらどり きみにこそ おのがよはひを まかすべらなれ
かの見ゆる 田鶴の群鳥 君にこそ おのがよはひを まかすべらなれ
鶴が群れているところ
あそこに見えるたくさんの鶴たちは、あなたさまに自分たちと同じ長寿を与えようというのでしょう。
「おのがよはひ」、つまりは千年の長寿ということでしょうか。「鶴は千年」という言葉は当時からあったのかな?