としのうちに はるはきにけり ひととせを こぞとやいはむ ことしとやいはむ
年のうちに 春は来にけり 一年を 去年とやいはむ 今年とやいはむ
在原元方
暦のいたずらで12月のうちに立春が来てしまった。さてこの一年を去年と言おうか今年と言おうか。
古今和歌集の巻頭、一番の歌がこれ。意味は分かりやすいですね。まあどうでも良いと言えばどうでも良いことを歌にした感じですが、言葉遊びと言うかささやかな機智と言うか、私個人的には決して嫌いではないです。しか~し・・・かの正岡子規に言わせれば「実に呆れ返った無趣味の歌に有之候」ということとなり、これでも足りずに「日本人と外国人の合の子を日本人とや申さん外国人とや申さんとしゃれたると同じ事にて、しゃれにもならぬつまらぬ歌に候」とまでこき下ろします。さて皆さんはどのように感じられますでしょうか。
作者の在原元方(ありわらのもとかた)は在原業平(ありわらのなりひら)の孫で、中古三十六歌仙の一人。古今和歌集の14首を始め、多くの歌が勅撰和歌集に入集しています。
・・・半年以上も放置していたブログに急に記事をアップしたかと思えば突然の古今和歌集。大胆にも記事タイトルに「0001」などと書いたからには、古今和歌集の全1100首をひとつずつ記事に?? などという悲壮な決意で書いたわけではありません。続ける自信があるわけでもなく、ひょっとして「0002」を書くのはまた半年後、なんてこともあるかもしれません(汗)が、とにかくまあ始めて見ました。おつきあいいただければ幸いです。