漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

変体仮名

2018-01-27 09:02:32 | 雑記
 このところは、首都圏でも連日の氷点下。今年の冬はホントに寒いですね。インフルエンザも猛威を振るっているようですし、体調の維持管理に気を付けたいと思います。

 さて今日は変体仮名について。昨年、大学院で「日本史史料論」という科目を履修したときに少し接していたのですが、先日から古今和歌集の通読を始めた(もちろん普通の活字で、です!)のをきっかけに、変体仮名も改めて少しずつでも読めるように、と思い立って手掛けています。と言ってもやはり相当の難物。少しご紹介しましょう。



 まずはこれ。一番左上は一目瞭然で「あ」ですけれど、この13文字、実は全部「あ」なのです。もとになっている漢字がいくつもあって、その崩し方がまたそれぞれ何種類もあるので、同じ一つの音を表す変体仮名がたくさんある、ということになります。なので、「あ」はこの13文字ですべて、というわけですらないのでしょう。


 これは「う」。わかりやすいですね。


 これも「う」・・・かと思いきや「か」です。「可」を崩した、と言われてそう思って見ればそうとも見えますが、上の「う」との区別は???  手書きであることも考えると、実際には字体をどう区別するかというより、文脈で読み分けるのでしょうね。


 「れ」にしか見えませんが「な」。元の漢字は「那」です。



 「ふ」かと思いましたが、これも「な」。「奈」を崩したもの。



 これも「ふ」かと思いました。「に」です。元は「尓」。


 「えーっ??」と思いながらこんなものを眺めているだけで今は楽しいですが、本当にいつかは読めるようになるんでしょうかね。(笑) 先日記事でご紹介した古今和歌集の文庫本の表紙を再掲します。



 この右下の和歌、読めますか? これは小野小町の名歌で、全部ひらがなで書けば、「おもいつつ ぬればやひとの みえつらむ ゆめとしりせば さめざらましを」。この歌自体は知っていましたが、それでも今はとても全部は読めません。でも、まがりなりにでも読めるようになったら、また一つ世界が広がるような気がしますね。


 ついでですがこの変体仮名、昨年6月に代表的な285文字が Unicode にも追加されています。



 ご興味の向き(いらっしゃるのかな? ^^;;;)はこちらで。

Unicode 10.0 Character Code Charts

 一番右の列の「East Asian Scripts」の中にある「Kana Supplement」と「Kana Extended-A」がこれです。



 日本語の世界は本当に奥深いですね。 ^^



2018-01-22 19:52:36 | 雑記



 関東は、4年前のことを思い出させるような本格的な雪。自宅近くの公園もこんな状態です。これからご帰宅の皆さん、どうぞお気をつけて。明日の朝も大変そうです。。。

古今和歌集

2018-01-21 09:09:43 | 和歌

『新版 古今和歌集』 高田祐彦 訳注  角川ソフィア文庫


 もともとは、和歌というものに人並以上の関心があったわけではなかったのですが、言葉や日本語とその周辺を学習していく中で接する機会が増え、一度それなりにきちんと触れてみたいなと思うようになっていました。特に最近は、日本語にある無数の言葉の中でも、漢語よりもやまとことばに魅かれる思いが強くなっていて、高校時代に「やまとうたは 人の心を種として・・・」とさわりを習った古今和歌集仮名序を思い出してもいました。

 ということで、入っていきやすそうに見えた書籍を購入しました。1,100首を超える歌とその解説・現代語訳、読み通せるかどうか、正直あまり自信はない(汗)のですが、少しずつでも、じっくり味わってみたいと思います。




「古今和歌集 仮名序」(冒頭部分)

 やまとうたは、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける。世の中にある人、ことわざしげきものなれば、心に思ふことを、見るもの聞くものにつけて言い出せるなり。花に鳴く鶯、水に住むかはずの声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける。力をも入れずして天地(あめつち)を動かし、目に見える鬼神(おにがみ)をもあはれと思はせ、男女の仲をもやはらげ、たけき武士(もののふ)の心をもなぐさむるは歌なり。 

試験

2018-01-20 14:02:57 | 雑記
 きょうは大学院の後期試験でした。今期は履修を一科目だけにしていましたので負担も大きくなく、その分落ち着いて履修できた感覚がありました。科目は、以前このブログでもご報告した「国文学研究法」。国文学への興味というより、「学問研究とは何か」「論文執筆の要諦」といったことを学べる、との要綱に惹かれての履修でしたが、ご担当の先生(島内裕子教授)の、ご自身の研究テーマに対するあくなき探求心といったものが随所に感じられる授業で、非常に楽しめましたし、もちろん勉強にもなりました。

 試験が終わりましたので、大学院は4月までの長い春休みになります。来期の授業を楽しみにしつつ、これまで受講した授業の復習などに勤しみたいと思います。

漢字6万文字の国際規格化が完了

2018-01-14 20:18:15 | 雑記
 2年ほど前、世界中にありとあらゆる文字をコード化した「Unicode」をこのブログでご紹介しました。今現在実際に使われている各言語のアルファベットはもちろん、古代エジプトのヒエログリフや楔形文字までコード化されているのを知って驚いたものです。

 これに関して昨年末、漢字のコードが大幅に拡充され、約6万字(正確には 58,861 文字)のコード化が完了したとのニュースがありました。これまで統一的なコード化がなされていたのは、JIS 第1~第4水準の約1万字でしたから本当に格段の充実ですし、かの「大漢和辞典」収録の漢字が約5万字であることを考えると、まさに「網羅された」と言って良いのでしょう。国際規格として確定されたこのコードが順次コンピュータに搭載されていくでしょうから、「パソコンで出な~い」とか「出てくるけど機種依存文字だ~」などということがなくなって、すべての漢字がコンピュータ画面上に正しく表示されるようになりますね。素晴らしいことです。



 ご興味の向きはこちらで。


独立行政法人情報処理推進機構 プレス発表
https://www.ipa.go.jp/about/press/20171225.html


漢検協会「漢字カフェ」 掲載記事
http://www.kanjicafe.jp/detail/7798.html


規格そのものを見たい方
 ISO(国際標準化機構)の該当HP(http://standards.iso.org/ittf/PubliclyAvailableStandards/) からダウンロードできます。ファイル名は「ISO/IEC 10646:2017」です。