やまだもる あきのかりいほに おくつゆは いなおほせどりの なみだなりけり
山田もる 秋のかりいほに 置く露は いなおほせどりの 涙なりけり
壬生忠岑
山田を守る秋の仮小屋に置く露は、いなおほせどりの涙なのだなあ。
古今三鳥の一つ、「いなおほせどり」が 0208 に続いての登場。歌合せの場での詠進とのことですので、想像で詠んだものか、あるいは過去にそこに居合わせたことのある情景でしょうか。収穫の時期を迎え、仮小屋で山田を守るちょうどその時節の頃、いなおほせどりの来訪があるのでしょう。
それにしても古今三鳥(いなおほせどり、よぶこどり、ももちどり)がいずれも具体的にどの鳥のことなのか明確にはわからないというのは、ちょっと不思議な気がしますね。古今伝授自体が秘伝とされたためもあるのでしょうか。
8月も今日でお仕舞。一日一首の古今和歌集も、始めてからちょうど10か月になりました。地道に続けていきたいと思いますので、気の向かれた際にはどうぞご来訪ください。