ひとしれず きつるところに ときしもあれ つきのあかくも てりわたるかな
人しれず 来つるところに ときしもあれ 月のあかくも 照りわたるかな
人知れず来たところに、折しも月があかあかと照り渡っているよ。
下二句が 247 とよく似ていますが、歌全体のおもむきはまったく違いますね。わずか三十一文字のうち後半十四字が酷似しているにもかかわらずこれだけ表現の幅を持たせられるのが、和歌のすばらしいところですね。 ^^
ひとしれず きつるところに ときしもあれ つきのあかくも てりわたるかな
人しれず 来つるところに ときしもあれ 月のあかくも 照りわたるかな
人知れず来たところに、折しも月があかあかと照り渡っているよ。
下二句が 247 とよく似ていますが、歌全体のおもむきはまったく違いますね。わずか三十一文字のうち後半十四字が酷似しているにもかかわらずこれだけ表現の幅を持たせられるのが、和歌のすばらしいところですね。 ^^
ふくかぜの しるくもあるかな をぎのはの そよぐなかにぞ あきはきにける
吹く風の しるくもあるかな 荻の葉の そよぐなかにぞ 秋はきにける
吹く風ではっきりとわかる。荻の葉が風にそよぐ音の中に、秋はやって来たのだ。
萩に吹く風に秋を感じるという歌は、100、378 にも出てきましたね。貫之が好んだモチーフなのでしょう。
をぎのはの そよぐおとこそ あきかぜの ひとにしらるる はじめなりけれ
荻の葉の そよぐ音こそ 秋風の 人に知らるる はじめなりけれ
(100)
いつもきく かぜをばきけど をぎのはの そよぐおとにぞ あきはきにける
いつも聞く 風をば聞けど 荻の葉の そよぐ音にぞ 秋は来にける
(378)
あしひきの やまだをうゑて いなづまの ともにあきには あはむとぞおもふ
あしひきの 山田を植えて いなづまの ともに秋には あはむとぞ思ふ
山田を植えて、秋になったら稲妻の光で実るという稲を、妻とともに見ようと思う。
稲が稲妻の光を受けて実るという俗信があったとのこと。「あしひきの」は「山」にかかる枕詞で、また、「稲妻」の「妻」には作者の「妻」の意が掛かっています。