龍の尾亭<survivalではなくlive>版

いわきFCの応援、ソロキャンプ、それに読書、そしてコペンな日々をメモしています。

トヨタカムリ試乗(補記)

2018年06月04日 20時50分44秒 | クルマ
新型カムリ唯一の違和感のことを書いておく。
このブレーキフィーリングは一体なんだろう?
もちろん知識としては、これが 「回生ブレーキ」ゆえの感触らしいということは知っている。
だが、クルマを運転するということを、トヨタは一体全体どう考えているのだろうか。
もちろん、圧倒的に市場がこの変なブレーキを認めているのだから、私が文句をいう筋合いはない。たが、ヴィッツに電池&モーターを載せたアクアじゃあるまいし、400万円もする自動車のブレーキがこんな感触でいいと思っているのだろうか。おもっているのだろうな、たぶん。
このブレーキの感触では、私はこのクルマを買えないなぁと感じた。
言っておくと、ヴィッツは好きですよ。アクアもいいと思う。街中の短距離を中心とするいわゆるシティコミューターなら、多少のブレーキフィールなんて問題じゃない。
高級車とは言わないが400万もするクルマがこれでいいのかしらん。
踏みしろが短く、かつ急にブレーキが効き始めるのだ。これでは へたっぴいの代名詞「カックンブレーキ」になってしまうではないか。
みんな、もうトヨタのこの回生ブレーキフィーリングには慣れてじったのかなあ?

まあ、スバルでいうとアイサイト制御とCVTの組み合わせが一部のスバルファンからブーイングされ続けているのと、似たようなものかもしれない。

カムリは、もしこのブレーキフィーリングに問題を感じないならば、間違いなく良いクルマだ。、ちょっと偏りが少なくてインパクトが弱いけど、それも個性。

Dレ型ヴォーグ1.6LのGT-Sを試乗してきた。

2018年06月02日 13時42分27秒 | クルマ
そろそろ現行型レヴォーグの最終年次改良版(E型)が予約開始になるとか聞いたけれど、その改良前のレヴォーグ(D型)を二台試乗してきた。

試乗したのは
1.6リッターターボのGT-S

2.0リッターターボのSTI
の二つ。

2014年レヴォーグの発表時に2.0GTを試乗したときには、何よりも足まわりが 「硬い」のに驚いた。カーブの続く山道とかだと楽しそうだが、ちょっとゆったり乗る車ではないな、と思った記憶がある。また、2.0リッターターボエンジンの力は圧倒的で、アクセルを踏むと背中を押されるという感触を味わったのは、友人のランエボを借りた時以来で、こりゃスゴいと思ったものの、55歳過ぎの私には荷が勝ちすぎる。もう少し早く出会いたかった、というのが実感だった。

その二年前にレガシィツーリングワゴン(C型)を購入していたのだが、ゆったり長距離を乗る車としてはレヴォーグよりレガシィツーリングワゴンの方が合っていると思う一方で、やはりどうしてもレガシィは大きくなりすぎた感が否めず、もう少し狭くてもいいし、もう少し機敏でもいい、正直そうも思っていた。

さて、今回試乗したD型1.6LのGT-Sは、私の欲するポイントにピッタリだった。つまりは、出会った、ということになろうか。

2014年初期型レヴォーグほど 「走り」の 「硬さ」は要らない。
同時に、
2012年レガシィツーリングワゴン(C型)ほど 「大人」じゃなくていい。

その両方を満たすのにピッタリの乗り味が2017年レヴォーグ1.6L(D型)だった。

レヴォーグ1.6L(除:STI)は、サスペンションのストロークを伸ばしたり、セッティングを変えて乗りやすくしている、とは聞いていたが、確かに乗り始めた途端に分かるレベルだった。
クルマはそうでなくっちゃね(笑)

決して柔らかくはないがよりしなやかな乗り心地になっている。
1.6リッターの小排気量ターボエンジンも、思いの外扱いやすく、今乗っている自然吸気の2.5リッターと同程度か、それより楽しいぐらいの感触がある。

低速トルクの差を見れば確かに2.0の方がいいが、2.0リッターターボ300馬力はいくらなんでも還暦の私にはオーバースペックだ。それでも 「乗りたい!」と思えば選ばないこともないのだろうが、1.6でもう十分。そして、サスペンションの大きな改変を受けたのは1.6Lのみ。つまり、私のような 「浅く触れ続けるスバルファン」にメーカー側が応えてくれた、ということなのだろう。

アイサイトも進化型が搭載されていて、この手の装備の中ではいちばん こなれていて使いやすい。

安全評価では今(2018年上半期の時点)マツダがスバルアイサイトをちょっとだけ越えている(日産ノートもですね)わけだが、トータルで使いやすいのはアイサイトじゃなかろうかと思う(私が慣れているからなのかもしれないが)。

もちろんレヴォーグD型は発売以来4年目。来年にはプラットフォームの改変があるわけで、急がないなら待つのが吉…………なのだが、 「そんなことを言ってたら年を取っちまう!」のも事実。

結局のところ欲望の度合いによるよね、工業製品の購入って。だって、工業製品に限って言えば、待ってりゃ良くなるに決まってるわけだから。

というわけでした(笑)

CX-8を試乗してきた。すてき!

2018年03月11日 22時39分18秒 | クルマ
日曜日の午後、時間が出来たのでクルマの試乗をしてきた。
いくつか乗ったのだが、印象深かったのはマツダのCX-8だった。

良かった点。
1,驚くべき静粛性

CX-3,CX-5でも言われてきたマツダディーゼルエンジンの 「静かさ」だが、CX-8のエンジンは異次元だ。本当に室内にいるとエンジンをかけた最初から最後まであのディーゼルのエンジン音を聴くことはできず、単純に、室内の高い静粛性に感動した。
外に出て、ボンネット部の近くに立って初めてそれと分かる程度だ。それも、かつてのようなうるささではなく、 「そういえばこれはディーゼルエンジンだったんだ」とようやく分かる程度の音だ。

試乗車の置いてある店舗までCX-3で連れて行ってもらったのだが、これもディーゼルエンジンの音は気にならなかった。これもまた走っている限りガソリンなのかディーゼルなのか正直言われなければ分からないレベルである。だが、CX-8はそれとは違う。繰り返すが、根本的に十分静かなのだ。 

2,トルクフルな中間加速

これもよく言われていることだが、実際メーターで40キロ付近から70キロ付近あたりまでのところでアクセルを踏むと、ストレスなくと言うよりむしろ背中を押すぐらいの力で前に出てくれる。
かつてありがちだったようなディーゼル特有のギクシャクしたトルク持て余し感は微塵もない、上質な加速だ。
CX-5でもアクセラでも、アテンザでもその良さは感じられていたが、本当に違和感なき加速が実現している。
私は2.5リッターNA+CVTのレガシィに普段乗っているのだが、他に比べると比較的躾の良いCVT+水平対向エンジンよりも、よほどリニアでかつ頼りになる加速感だった。
あるいは、ベンツCクラスの小排気量ターボ(ガソリン)と比較しても良い。

それらに比して、CX-8は余計なことを考えずに気持ちよく加速できるのだ。

3,自然な挙動

乗って数分で、手に馴染む感覚。
全てがやりすぎにならない手間、挙動が自然に手の内に納まるという感じがある。

この日他に乗ったのが、メルセデスのC180とスバルのレヴォーグ(いずれも小排気量ガソリンターボ)、そして自分のレガシィNA(CVT)と言うこともあるかもしれないけれど、このCX-8が最も自然な感じがする。

クルマの重さも感じないし、ディーゼルのネガも感じない。見えてくるのは、遠くまで運転したくなる、安心感であり自然に手に馴染む道具感である。
これに比べるとCX-5(これは発表当時の印象です)も何かモノ足りない。
レヴォーグもCクラスも、そしておそらくワーゲンのゴルフなども、少しやり過ぎな感じさえしてくる。

素人がなにを言うか、と言われそうだが、どのみち素人の独断なのだからいわせてもらえば、一番近いのは、アジリテイとか言い出す前のベンツに近いかもしれない。
もちろんマツダだから、スタンスはもっともっと運転手寄りだけれど。

4, ゆったりした上級シートと適切なアレンジ。

インテリアも上質だが、シートの質も良い。試乗したのがLパッケージという上級グレードだったのが(本革シート)、表皮の柔らかさと支えのしっかり感がいいバランスだった。このLパッケージは、2列目が二人乗りで、間にコンソールボックスがある。
三列目はあるので6人乗りということになるが、基本的には4人で乗るのが最適だと感じた。

三列目は倒せばフラットになる。むしろ将来5人乗りを出せばいいのになあ、とすら思った。

この下の中級グレードには、2列目二座と三座がある。もしワンボックスミニバン代わりに7人乗りでつかうなら(8人乗りはありません)!2列目三座のものを選べばよい。
ちなみに中級グレードでも2列目2座のキャプテンシートを選ぶことができます。



5,結論

マツダで今乗るなら、これが断然ベストだと感じた。これ以外なら、ロードスター。マツダ車はこの二択ですね。

マツダだけでなく、ゆったりと3,4人で長距離をやるなら、現段階ではこのクルマがベストだと思う(500万円アンダー)。

ディーゼルターボの方が振る舞いが上品で燃費的にも長距離に優しい。
そしてCX-5のものよりも性能が上がっている。
ゆとりがある、ということは、力があって、かついざという時に無茶をせずにサラリとその力がだせることだと私は思っている。
そういう意味で小排気量ガソリンターボは、300万円以下のクルマ(例えばゴルフ)なら最適解なのだろうけれど、このセグメントでは厳しい。
ガソリンなら2.0ターボ以上がほしくなる。

上級グレードで乗り出し総額はざっくりと450~460万円というところか?(購入をきめてはいないので、価格交渉はしていません)。



2016年型インプレッサを試乗してきた(2016.11.5)

2016年11月05日 17時11分17秒 | クルマ
2016年型インプレッサを試乗してきた(2016.11.5)

新しいスバルグローバルプラットフォームの第1弾、ということでゴルフの乗り味を頭の中で思い浮かべながら試乗してきた。
短い10分ほどの試乗コースで、かつレガシィ&ロードスターに乗っている素人の印象だから、参考程度に。
乗ったのは

2.0i-S EyeSight 259万2,000円


良かった点。
1,内装レベルが高い。
2,エンジンがさらにスムーズ。
3,CVTの悪癖をほぼ感じない。
4,乗り味はタイヤが18インチの割には良い。
5,後席のスペースも十分。


今ひとつだった点。
1,ゴルフの粘るような、吸い付くような地面との接触感は、残念ながら感じられない。
2,レガシィなど、ワンサイズ上からダウンサイジングを誘うほどの吸引力には乏しい。
3,ステアリング周辺と情報表示ディスプレイ周りがいろいろありすぎて落ち着かない。


ポイントは、このクルマに乗ってどんな「楽しさ」「よろこび」を感じられるのかということ。

正直、そこがまだ少しだけ弱いと思う。
ゴルフを購入して満足していても、いったん故障に出会ったら、インプレッサの方がずっと安心できると思う。だが、それは最初からインプレッサを選ぶ理由としては弱い。
アイサイト標準搭載も、本当に大切なことだと思うけれど、それはクルマ自体の走りの魅力とはまたちょっと違った付加価値になる。


200万円~300万円するわけだから、中古の軽自動車を購入する時のように「故障なく走れば良い」というわけにはいかないだろう。
アクセラやゴルフと比べても遜色ない、とは言える。だが、インプレッサにしかない走り、という強いイメージが今ひとつ伝わってこないのである。


まあ、今乗っているレガシィも、納車された瞬間は「失敗したか、これ?」と思った記憶がある。
その翌日、ワインディングを走ってようやく良さを実感できたのも事実。

インプレッサが買って損のないクルマであることは間違いない。

あとはこれにどんな付加価値が付けられていくのか?あるいはどれだけ走りを熟成させていってくれるのか?

シャシーの実力は折り紙付きなのだから、それを100%生かせる乗り味を実現してほしいものだ。でもやっぱり次はエンジン、かな。



XVやフォレスター、レヴォーグ、アウトバックなど、次の展開も楽しみだ。
期待しています!


ということで、個人的にはレガシィからのダウンサイジングを踏みとどまった試乗体験でした。



デミオのガソリンAWDを代車で乗った。

2016年02月20日 23時48分48秒 | クルマ
ロードスターの修理中、デミオのガソリンAWDを代車で乗った。

新世代のスカイアクティブ&マツダAWDに期待したのたが、実際に乗ってみると、ガソリンエンジンならデミオはFFがいいと思った。

逆にいえばデミオのAWDに乗るならディーゼルがオススメだろう。

ポイントは車重かな。

雪道になるといいのかもしれないけれど、ドライな路面の場合は軽快さを欠く印象である。

そのためアクセルを多めに踏み込むことになり、結果としてギアがギクシャクしてしまう。アクセルを踏まないときの出来は抜群なだけに、残念さが際立つ。

家の家族が乗っているガソリンFF のデミオは一世代前だが、もっと 「軽い」感じがあって加速はむしろ自然かつ快適だ。

そういう意味で、デミオのAWDはやはりトルクフルなディーゼルがいいのではないか。

雪上の挙動ではマツダの新世代AWDが自然な挙動だと評判だが、だからといってどれでもいいというわけでもないだろう。そして実は、AWDは雪道だけのため、というわけでもない。

結果としてはレガシィとロードスターの良さを改めて実感することになった。




新型ロードスターに試乗した(1)

2015年05月30日 17時32分30秒 | クルマ




新型ロードスターを試乗してきた。
7年前に購入したNCロードスター(リトラクタブルハードトップの6速AT)の三度目の車検を通し、車検シールが届いたというので、そのついでに新型のロードスターに乗せてもらおうと思ったのである。

しかし。

すぐ乗れるかと思ったら、驚くべきことに(人気からいえば当然?)なんと試乗が4人待ちである。

クルマ屋さんで市場に一時間待ち、とか経験したことがないのでビックリ。

まあ、他の車種なら試乗せずに商談ってこともあるのかもしれないけれど、ロードスターは乗ってみてナンボのクルマだから当然といえば当然かもしれない。
とにかくその人気はかなりのものだ、と実感。

お店の人に聞いたところ、お客さんの層としては、40代~50代の男性が中心だが、それ以外では若い女性が一人での試乗が多いそうである。

というわけで、一時間待ちをして試乗した感想を以下に書きます。

1、女性(や、お年寄り)にこそ乗ってほしい。

掌の中にクルマがすっぽりと収まる感覚、とでもいえばいいだろうか。
クルマに乗る、というより、自分がクルマになる、といった方が適切な感じだ。

たぶんモータースポーツ好きの人は

「ライトウエイトスポーツカーの原点回帰」

とかレトロなことをいうのだろう。だが、それは単なる理念に過ぎない。マツダの看板としては、そうなのかもしれないけれど、全くクルマに関心のない、しかし自分の感覚に正直な人が乗って

「あれ、なんだ、おかしいな、これは楽しいよ」

と思えるクルマに仕上がっている、と私は強く感じた。

余計な馬力はなく、全てが自分のコントロールの範囲にあるから、本当にクルマと一体になれる。適度に小さいから、大きなマシンを動かすストレスも感じない。

もちろんライトウエイトウエイトFRオープンスポーツの魅力を、現時点で世界一凝縮したマツダ渾身の作品だ。

だからこそ、特にクルマ好き、というのではない、むしろ自分の感覚を信じることのできる女性にこそ、乗ってほしいと思う。

たとえ既婚者でも、家族で車に乗るときには、旦那にワゴン車を買わせておけばいいじゃないか(笑)

キッズ一人なら、隣にだって乗せられる。

子育てを終えた中年の男や、まだ子どものおじさんは、もっと大きなクルマに喜んで乗っていればいいのだ。BMWのZ4でもベンツのSLKでも、ポルシェのボクスターでも(ボクスターはちょっと乗ってみててもいいかも(笑))。

これはおじいちゃんおばあちゃんや女性が(そして実はそんなにバリバリのクルマ好きでわないような若い男の子も)、カジュアルに乗るのによく似合ってしかもカッコイいクルマだ。

本当に「気軽に」クルマと一体化して楽しむには、今このクルマ以上のものは世界中にないんじゃないかな。

2速ギアで、扱いやすく回転の上がりの良いエンジンを回しているだけで幸せになれます。


2、マニュアルミッションが最高!

もちろんATでも十分に魅力を堪能できると思う。

現に私はこの前の型のロードスターを6速ATで乗っているが、日常でもワインディングでも、すこぶる楽しい。

でも、もし気持ちに余裕があるなら、MTも試乗してみてほしい。

まず、クラッチのミートが難しくない。ここが素人には大切。日頃オートマオンリーの人でも、すぐに慣れる。そして、慣れてしまえばこれほど楽しい「ギア」はない、と実感できるはずだ。

トルクがあるからなのか、新設計のギアのおかげなのか、クラッチの設定なのかわからないけれど、まったく気を使わずにスムーズなギアチェンジができる。

マニュアルミッションはどうしても車の動き出しに気を使うものだが、このロードスターは、1速でも2速でもスルスルと(場合によったら3速でもなんとか)発進してくれる。気を使わずにマニュアルミッションの醍醐味を味わうことができるのだ。

マニュアルで2速を引っ張りながら加速していくと、自分で運転している感が漲(みなぎ)ってきてとても楽しい。

そして、マニュアルミッションは、なんといってもエンジンの力を自分で直接伝えているダイレクト感を味わえる。

ぜひ、尻込みせずに乗ってみることをお勧めしておきます。


ロードスターが帰ってきた。

2012年10月16日 00時25分34秒 | クルマ
3週間ほど知り合いに貸し出していたロードスターが戻ってきた。

その間レガシィだけを乗っていた。
その時はむしろ、ロードスターよりもゆったり乗れて疲れないし、これで充分かとも思った。

しかし、ロードスターが戻ってくると、こちらのほうに乗りたくなる。運転していては面倒も多いし疲れると言えば疲れる。
何せレガシーはアイサイトで前の車に追随してくれるし、危なくなればブレーキも踏んでくれる。無論、過信は禁物だが、楽ちんなこと甚だしい。

でも。
その疲れると言えば疲れる運転がまたしたくなるのがロードスターなのである。

運転してきていちにちが終わり、車を車庫に入れて扉を閉じた途端また乗りたくなる。
ロードスターはそーゆー車だ。
車はガタピシいうし、燃費も悪い。足回りも8万キロを走っていささかへたってきた。

それでも屋根を開けてハンドルをいちど切れば、それだけで楽しいドライブが始まるのだ。

正直疲れているとシンドい。安楽な車が恋しくなる。
でも、翌朝にはこっちに目が行ってしまうのだ。

アウディとボクスターに乗ったつもりで、廉価版のレガシィとロードスターに乗るんだ、と自虐めかして言ったりするけれど、実はそういうものでもない。

工業製品なのに愛が芽生えてしまう不思議さ。

それは単なる物神化ではなく、道具が生きることの相棒にもなるということかも知れない。


現行C型レガシィNAの走行距離が2万キロ超えた。

2012年10月16日 00時09分10秒 | クルマ
レガシィの走行距離が2万キロ超えた。
(ツーリングワゴンC型NA2.5リッターのノーマル足です。)

トータル燃費は12.8km/l。
なかなか悪くない数字である。かつてのレガシィから見たら夢のような高燃費だ(笑)。

しかし、先日急ぎの用があって少々スピードをあげて、いわき-福島間を走行した。
目一杯とまではいかないが、かなり飛ばした。
すると高速で伸びるはずの燃費が10km/l程度。

普段燃費に気を遣って高速を走ると13.5km/lはくだらない。
うまくいけば15km/l位は出る。
そうやって高燃費の走りを心がけてきたわけだが、走り方によって燃費は簡単に変わる。

当たり前のことだが改めてそう気がついた。

そういえば、先日プリウスを持っている友達と酒を飲んだ。
乗り心地はよくないし、走行音もうるさい。
しかし。遠出をしたときに燃費が25km/lも行くとなると、リッター15キロ程度の車にはなかなか乗り換えられないそうだ。

それもそうだろうと思う。

私がレガシィツーリングワゴンを選んだのは燃費の面からではなく、当然のことながら四駆であり、荷物が積め、長距離走行に向いていると考えたからだ。
ロングツーリングの足としては、申し分ない。ビルシュタイン足はだんだん欲しくなってきましたが(笑)。
福島ー京都往復とか、福島ー青森往復とかしても、疲れはロードスターよりずっと少ないし、燃費もいい。

無論コストパフォーマンスを考えれば、軽自動車が1番に決まっているが、遠出はしんどかろう。
220万円~230万円あれば、アクアかフィットハイブリッドが新車で買える。
そしてこれらなら200~300kmのドライブは軽くいける。
だが、1000kmとなるとどうか。
ベンツCやBMW3は初期投資も高いし、維持コストは嵩む。

要は用途と優先順位の問題だ。

同僚のプリウスαは320万円。
レガシィ2.5NAは290万円。差額の30万円を燃費換算すると、まあ結構乗れるともいえる。

車体が大きいのは、人を載せて真っ直ぐ遠くまで走るにはむしろいい。
ベンツに比べて足回りが繊細な感じがしてしまうのが唯一不満といえば不満。あのドッシリとした高速の安定感は、少し羨ましい。
でも、AWDの安心感はむしろ上。
結局、技術を意識させない「自然さ」まではいまひとつ。

そこがまたスバルらしいといえばらしいのかな。
いささか信念をもって?技術的にやりすぎてる感触とでもいえばいいか。
今レガシィに足りないのは明らかに「動物性」だろう。

一方、レガシィファンには怒られるかもしれないが、走りはロードスターの方が動物的でずっと楽しい。
私は個人的にそこはマツダロードスターで補完するからいいのだけれど。
でも、インプレッサがいい感じだし、BRZもでたし、「動物性」はそこで確保すればいいということか。
でもなあ。それはもっと大きな会社のやり方じゃないかしら。レガシィは作りすぎの感じも。

まあ、なんだかんだいってもレガシィに乗るとロードスターにのりたくなり、ロードスターを乗っているとレガシィにのりたくなる。
ロードスターもゆったり乗るし、レガシィもゆったり乗るんだけど、リラックスの場所が違うから面白い。

技術における人間性と動物性について考える上でも。


レガシィツーリングワゴン2.5NA(C型)の平均燃費

2012年06月04日 23時29分12秒 | クルマ
レガシィツーリングワゴン2.5LNA B-SPORTS Gパッケージ(2012年3月納車のC型)の平均燃費。

総走行距離 8605km
平均燃費は 13.1km/l(満タン計測)
燃費計表示 13.5km/l(単純平均)

距離にすると7割近くが遠出です。

最高燃費が16.2km/l(竜飛岬から福島県までの750km)
最低燃費が9.8km/l(通勤および市内走行のみ444km)

思ったよりずっと燃費がいいのにびっくりでです。

なにせ、ほぼ同じ乗り方をしているロードスターの8万キロの総平均燃費が11.1km/lですから。

私の乗り方&環境では、ほぼ最低でも10km/lは下らないというのも安心材料。
じわじわ良さが分かってくるタイプですね。
これでAWDかつレギュラーガソリンってのがまたうれしい。

ただし、同時期納車のプリウスαは18km/l、フィットシャトルハイブリッドは20km/l行ってるみたいです(笑)。


レガシィの評価、スバルの評価。

2012年04月24日 23時13分58秒 | クルマ
スバルの評価で面白い記事を見つけたのでメモしておきます。
JBPressというWeb雑誌のコラムです。

「信じられるクルマ」であることがスバルの証し
日本車が元気になるための処方箋(富士重工業篇)
2011.08.29(月) 両角 岳彦

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/20205?page=1

ちょっと引用。
(引用開始)
その中で、「スバルのブランドアイデンティティーは『シンメトリカルAWD(水平対向エンジンを縦に置いて前輪と後輪を駆動する動力機構の基本構成。上から見るとほぼ左右対称になっている)』です」などという、本末転倒のフレーズを、宣伝だけでなく商品企画部門までが掲げるようになった。

 そうした人々に対して私は、「そんなことを言って、(スバル360、スバル1000の開発を指揮した名技術者)百瀬晋六氏に顔向けできるの?」と、何度となく問いかけたものである。水平対向エンジンを縦置きした前輪駆動機構は、「最良のクルマ」を希求した結果の一形態であって、それ自体が価値を生むものではない。
(引用終了)

この両角岳彦という人は、自動車ジャーナリストの経験もある自動車工学の研究者のようですが、とても深く納得しました。

あくまで工業製品として「最良のクルマ」をどう追求していくかという道しか21世紀のクルマの生き残りはありえないという徹底した視線と、あくまで乗って体で体感する「動質」という概念で、クルマの「良さ」の本質を語ってもいます。

そのあたりの指摘通り、5代目レガシィは「絶賛迷走中」の製品だったと言えるでしょう(笑)。

こちらは私が価格.comにアップしたレビュー。

「じっくり付き合いたいクルマです。」
レガシィ ツーリングワゴン 2009年モデル2.5i EyeSight B-SPORT G Package
(2011年11月22日発売)

http://review.kakaku.com/review/K0000287215/GradeID=19505/

工業製品としての迷走という両角氏の視点のシビアさから比べると、メルセデスやマツダがスバルよりもちゃんとしてるみたいにもとれる単純比較になっちゃってるところが今ひとつでした。


以下は蛇足。

マツダロードスターにおけるライトウェイトオープンツーシータースポーツという設計の思想や、ベンツのCワゴンに見られるような重いものをしっかりと制御して疲れずに安全に乗員を移動させるというクルマ文化の方が、新型レガシィの、awdだから、アイサイトだから、広いから、という、クルマの「動質」という根本的な魅力とのつながりが弱い技術先行の「売り」と比較するとしっかりしてるんじゃないのかな、という印象を抱いたことは間違いありません。

「自己の中に働く力能が、どこで世界の根本原因と繋がっているのか、をきちんと問い続けられるかどうか問題」
と言い換えてもいいです。「倫理」の問題ですね。

一見突拍子もない方向性であっても構わない。
どこまで徹底し、透徹した「初期衝動」=「根本原因」の共鳴を信じうるか、が問われているように思います。
その上で、それをどう実現していくのか。

難しいことだけれど、たかだかクルマを乗り比べて購入する時にも、ユーザーだって意識的か無意識的か、を別にして、そんなことを考えながら選択していくものなのですよね、やっぱり。
だから作り手にも、いや作り手だからこそ、その「表現」に「神様」が宿るところに手を届かせてほしい……。

勝手な欲望なのかもしれません。
でも。

人間が動物と違って、他者の中に「表現」を見いだした何万年も前から、私達は「動物的」な次元、「想像的」な次元、そして「表現的」な次元の多層性をずっとずっと生きてきたのです。

手近に「村の神様」を想定して、その絵図面通りに生きるわけにはいかないことが、原発事故以降、分かってきてしまいました。
それでもなお、電気やガスや水道や道路などのインフラを使って、電化製品や自動車や現代的な家の設備などの便利さを享受し続けようとするならそこに、自分のスタイルに対する自覚的姿勢が必要になると私は考えています。

哲学といっても思想といっても文化といってもいいのだけれど、「姿勢」であり「表現」であるという意味では、それはやっぱり「倫理(エチカ)」という表現が一番ふさわしい。

「クルマ」における「エチカ」、なんて「哲学ヲタ&クルマヲタ」カテゴリーに過ぎない、かな(苦笑)。
いや、対象はなんであってもいいのです。「棲み家」における「エチカ」であっても、「食」における「エチカ」であっても、「職」における「エチカ」であってもいい。
「エチカ」の大増殖、歓迎!

問われているのは、生きること全体に、全面的に関わってくる「スタイル」の問題だから。

この項、結論なく、また後ほど続けます。






宮城県沿岸部をドライブしてきた。

2012年04月06日 03時23分48秒 | クルマ
塩竃→松島→志津川→気仙沼→陸前高田

と、宮城県沿岸部を先週末、クルマで北上した。
大変な状況でした。

志津川町の病院跡


こちらは有名な防災無線を最後まで発していた建物。



陸前高田では、こんな風にまだ道路脇に巨大な船が置いてありました。



こうして写真に撮ると、それだけが凄い状態みたいですけれど、石巻から北の南三陸にかけては、沿岸部の町は本当に大きな被害を受けているのが分かりました。
志津川町も、気仙沼も、陸前高田も。
そして海に面した町には、人の居住は難しい面もあって、住宅も病院もお店も役場も、高台に避難したまま仮設のプレハブやアリーナでなんとかやりくりしている状況が続いています。
志津川町はそれでも、役場機能や病院の機能が、4/1から仮設から少し広い専用の建屋(仮住まいに変わりはないのでしょうが)に移転する、というお話でした。
陸前高田は瓦礫の撤去が志津川や気仙沼よりも進んでいる印象で、それだけに沿岸部の市街地がいっそう「がらん」とした感じを受けました。

とにかく、私がクルマで走った沿岸部数十キロに限っても、南三陸鉄道はほとんど波にやられて寸断状態ですし、海に面したところはほとんど全てにおいて人間の営みが無に帰してしまっていました。

旧に復することはほとんど不可能に近いかもしれない、そんな想いさえ抱きます。
復興は町の再現ではあり得ない。
また津波が来るかも知れないというリスクを無視して、それはできるはずもありますまい。
では、どうすればいいのか。
復興の計画は進んでいるのでしょうが、1年経って、ようやく主な瓦礫の片付けができた、という程度の進捗状況です。

プレスもかけていないのに潰れた自動車の置き場が町にはまだ何カ所も残っていますし、コンクリートや鉄骨の建物はそのまま崩れるにまかせたままです。写真にある大きな船などは道路にそのまま横たわっています。

私が復興ファンドに出資した気仙沼のお店跡にも立ち寄りましたが、きれいに片付けられていました。
果たしてどこにお店が出せるのか、それも分からないです。

私自身、福島はそれに加えて原子力発電所の事故があるから、また別の話だ、と無意識にこの一年考えてしまっていたところがあったかもしれない。

確かに「同じ」ではない。

でも、比較できないほど、それぞれに甚大な被害をうけた深刻な状態である、ということにおいては変わりないし、その衝撃についていえば、
「人為の裂け目」
が延々と海岸線沿いに続くこの光景は、原発事故とはある意味正反対でありながら、人の営みの「裂け目」を示してしまった、という意味では、その表層において通底している。

見たことも聞いたこともない津波に備えることの難しさを改めて思う。

被災地ツアー(びっくりしましたが志津川の現地にはそういうのがあるんです!)の語り部の方の話によると、志津川町では津波の発生は不可避だと認識し、一〇年以上前から5メートル級の津波に備えた町作りをしてきたのだそうだ。
写真の防災センターもそれに備えたものだったとか。
しかし、実際に届いた波の高さは15メートルにも達した。

こういう種類のものは、コントロールや対処が非常に難しい。
というか、この震災以前には、仮に予想する人がいたとしても、1000年に一度の規模の災害は、果たしてコストの計算や予測において人々を説得する材料になり得たのかどうか。

原発においてはコストが優先された。
最も危険な原発すらそうなのだから、経験論的な「想定」の域を超えていると見るべき「事件」だったといえそうだ。
だからしょうがない、とは無論思わない。
しかし、この一年後の状況を目の当たりにすれば、1000年に一度の地震や津波がコントロール可能だ、とたやすく信じることもまた、到底不可能だろう。

難しい。きわめて難しい。
できるのは、これからどうするか、を考えて行動する、ことに尽きる。

不完全な情報の中でゲームのプレイヤーとして振る舞わねばならない神ならぬ身の私達は、「それでも海端に住む」、というような究極の選択をも含めて、「開かれた」=「裂け目の中に示された自然」と向き合って行く以外にない。

快適に整備されたインフラに守られ、ライフラインを無条件に共有されて生活する、ということが当たり前ではなくなったこれらの「町」の実質的中心である沿岸部は失われてしまった。
原発事故で住めなくなった「町」と同様、そのある種「架空の町」を、意識の中だけでなくどう保持し、更新しつづけていけるのか。

答えの見つからない問いが、いつまでもアタマの中をグルグルとかけめぐっている。



レガシィの魅力(納車1000キロでの暫定的結論として)

2012年04月04日 22時27分53秒 | クルマ
昨夜、暴風と雨の中、ロードスターを久しぶりに乗ってみたら、面白いことが分かった。

今度はロードスターの乗り方を忘れてしまっていたのだ(笑)。

いや、屋根さえ開ければすぐ思い出します。露天風呂のの如くユルイ楽しさを。
しかしゆうべは暴風雨。それは叶わない。

で、屋根を閉じたクーペ状態で濡れたカーブに突入したら、
「あれれ?」
レガシィを乗ったときの、カーブを予想以上の高速を維持したままスッとフラットに曲がってしまうアノ感じとは全く違うのである。

油断をしているとどんな風に回るか分からない感じなのだ。
自分でどう曲がるか、どう走るかをいつも考え、クルマの反応を感じながら、そして風も友達にしながらドライブを楽しむのがロードスター流だった。

レガシィはそれとは明確に異なる。
クルマの高いポテンシャルによってコーナーを抜群の安定感で駆け抜けてしまうのである。
普通のクルマとは、コーナー速度があきらかに違う。
それは、ドライバーに伝わってくる安定感・安心感が違う、ということだ。

確かに、ロードスターを初めて乗ったときも「これほどコーナーが曲がりやすいクルマは初めてだ!」と感じた。
だがそれは、自分で操作する楽しさ、自分の力量に応じて楽しむタイプの「曲がりやすさ」だったのかもしれない。

ディーラーから借りた試乗では、こういった違いはなかなか分からない。

今日はレガシィを乗り出して、夕方から山沿いのカーブが楽しい道を小一時間走ってきた。
今度はちゃんと特性が分かっていて、使い分けをしながら走ることができた。

楽しい。抜群に楽しい。
運転が上手くなったように錯覚する。

でも、昨夜の雨の日のロードスターの時のびびり具合を考えれば、腕ではなく、クルマの力量と路面コンディションの関係だ、と分かる。
ドライならロードスターも少々無理が利くけれど、濡れたときはびびっておくべきクルマだ(すくなくても素人の私の運転の場合)。

私の貧しい力量では、レガシィの方が間違いなく(緊張せずに)中速カーブを速くクリアできる。
そしてそれは、頼もしいし、悦ばしい。
スポーツパッケージの足回りはどんな風なのだろう、と想像してみたくなる瞬間でもある。

また細かいことを言えば、ロードスターはコーナーに入った(ハンドルを切る)瞬間すでにもう楽しいけれど、レガシィはそのプロセス全体が結果として楽しいみたいな感じとでも言えばいいだろうか。


レガシィの燃費は、1000キロ弱走ったところで、
トータル12.7km/l
高速14km/l強、
通勤のみ10km/l強、
郊外の信号のない道をスムーズに走っている状態で12km/l弱
といったところ。

排気量2000ccのロードスターが8万キロ乗ったアベレージで、
トータル11.0km
高速13キロ程度
通勤9キロ程度、
郊外10キロぐらい
だったので、燃費は2500ccのレガシィの方が2km/l弱よろしい。
(ただし今のところ全てiモードのみ)

普段は静かで滑らか。ゆったりと走る長距離を得意とする。
が、雨の時の安定感は抜群。
さらに実は「曲がる」と懐が深く、コーナリングの安定感は抜群で速度も速く、実に気持ちが良い。
燃費もスポーツカーよりはいい(笑)。
レガシィは今のところ、そういう印象のクルマである。

細かいことを気にしていると、本質を見誤ることがある。ある程度時間をかけてみて、初めて良さが沁みるように感じられてくる。
そういう個性もあるのだ。ドアを開けた瞬間から、ハンドルを握るとすぐに、エンジンをかけたとたん、タイヤが半転がりしたらもう虜……レガシィはそういうタイプのクルマではなかった。

現行レガシィの良さは、長く乗れば分かる。
個人的には(ワゴンに限ってだが)アテンザよりもベンツよりも好印象を持った。

なるほど、街乗りしていても運転が楽しいという意味ではアテンザの方が足回りの「走りのテイスト」は際立っていて分かりやすい。
高速のどっしり感と、疲れずに目的地までエスコートしてくれるもてなし感は10年落ちのベンツに「文化」を感じる。

でも、コーナーのあのフラットな安定感は間違いなくレガシィの「技術」でしょう。
まっすぐ走っている時には想像もできない魅力、ではあるけれど(笑)。

楽しみ方は一つじゃない。
それぞれの間口があって、適切にそこから入っていけば、それぞれのクルマが適切にもてなしてくれるものなのだ。


レガシィ納車!(その4)ロングツーリングで知ったレガシィの凄さ

2012年04月03日 00時11分37秒 | クルマ
ようやく分かってきた現行レガシィの魅力。

2日目の夜は、南三陸のホテルに泊まる。
翌朝から一日、陸前高田まで数十キロ海沿いにドライブしながら観た光景を、私は一生忘れないだろう。

クルマの乗り心地とか、そういう話をしてられないほど、めちゃめちゃ大変な状況だ。
なるほどテレビの映像や新聞の記事で、宮城県沿岸部の被災の深刻さは教えられていた。
でも、それは「点」の印象でしかなかった。
何十キロにも渡って(私が見た限りで、の話です。実際は沿岸部何百キロも被害区域は広がっているのでしょう)海沿いのドライブに最適な道路を走り続け、右側に海が見えるたびに、海沿いに走る南三陸鉄道が寸断され、家屋が土台だけになっており、橋が落ち、撤去しきれないビルが半壊状態で焼け野原の後のように残っている……そんな情景が続いているのだ。

いわき市でも、津波の被害の大きかった豊間や薄磯の状況は目の当たりにしていた。
それと同じ状況が、志津川の町でも、気仙沼の町でも、陸前高田の町でも、その間の入り江も、奥に行くほど高くなった陸地も、20メートル近くにまで上がった水にのみ込まれてしまったその惨状を彷彿とさせる状態で残されているのだ。
瓦礫の撤去は陸前高田が一番進んでいる印象を受けたが、いずれにしても、ものすごい情景が延々と続く。
そのことについては項を改めて書くが、週末「被災地ツアー」などと軽口を叩いていた自分の浅はかさを痛感した。

と同時に、志津川では「被災見学ツアー」にも参加したのだが、案内をしてくれた地元の人は、

「この状況をきちんと観て欲しい、そしてこれから復興する未来をまた見に来て欲しい」

という。
個人的な印象に過ぎないが、津波前の街はもう戻らないだろうと思う。
第一、海沿いに民家を建てることは事実上困難だからだ。
また、瓦礫撤去さえ終わっていない状態では、まだ先が見通せない状況が続くだろう。

津波を無視して同じ街を再建することはナンセンスでしかない。
かといって、15mもの高さの津波を「想定」した街並の再建など、素人の私には残念ながら想像もつかない。

それでも、ホテルの窓から見える南三陸の海では、早朝からずっと、海藻の養殖だろうか、海の中の仕掛けのようなもののところで作業を続けている漁船が何艘か見えた。水産加工場も、居住しないという条件で許可が出て、再建が始まったところも出てきている。

自分自身がいわきで被災する前は「災害地にいくべきはボランティアの人だけで、物見遊山などもってのほかだろう」とてっきり思い込んでいた。

そうではないのだ。

むしろ、物見遊山で結構、被災地観光ツアーで結構。
どんどん観に行くべきだ。

自分の瞳に焼き付けるほど見れば、人間の物の見方考え方は、確実に変わる。

人の心配をしている場合ではないのだが、私のようなものでさえ、南三陸の人達の「絶望」と、それでもそこに踏みとどまって生きようとする「思い」とが絡み合った「解けないパズル」のような複雑な思いのミニチュアを胸の奥に抱えて還ってきたのだから。

閑話休題。

レガシィに話を戻す。
海沿いの、ゆるいアップダウンのあるカーブの道を走っていると、昨日はあんなに戸惑っていたのに、「意外にいいじゃない?」という感じに感触が変わってきた。

インパネのびびり音も、立て付けそれ自体ではなく、ディーラーオプションのナビの液晶角度と取り付けの樹脂フレームが微妙に干渉していただけのようで、角度を変えたらあっさり音は消えてしまった。

あくまでも静かに、あくまでも滑らかに道を「滑走」してくそのテイストは、駐車場で切り返しをつい必要とする体躯の大きさはまだ慣れないにしても、他のクルマでは味わえない感触かもしれない、と思うようになっていった。

印象が決定的に変わったのは、陸前高田から種山が原へと向かう気仙川沿いの道を、山に向かって登り始めてからだった。
ゆるめのカーブが続く山道を登ったり降りたりすると、車体の大きさや車高の高さを感じさせない、地面に四つの車輪がぴたっとすいつくように曲がっていく感触が、運転者の重心に加わるGの心地よさとして伝わってくる。

これがおそらくスバルAWDならではの制御なのだろう。4つの車輪がきちんと分担して仕事をしているのは当然なのだが、そこに濃密な統一感があって、それはやっぱり力の制御が緊密で、運転者の身体と響き合ってくるのだ。

ロードスターが基本ウェイトを極力軽くした上で、中心に重量物を集約し、運転者自身の体内に重心をもってきて身体の重心とクルマの重心を重ねていった軽量回転系の点的G制御だとすれば、レガシィは水平対向エンジンという低重心エンジンの特性と4輪駆動という分散型のトラクションコントロールによって、平面の四隅に分散させ、その上でその力を合成してあくまでもフラットな「回転円盤系」の面的G制御を果たしているといった印象だ。

これは、今までどんなクルマでも味わったことのない、このクルマならではの「個性」だった。

ロードスターがライトウェイトオープン2シータースポーツという設計文化オリエンテッドなクルマだとすれば、レガシィは水平対向エンジンと四輪駆動形式という技術思想オリエンテッドなクルマ、といってもいい。
考えてみれば、どちらも、日本が世界に誇る、独自ジャンルを切り開きあるいは再興させた歴史を持つクルマだった。

種山が原の道の駅「ポラン」でふきのとうと鶏ハラミを購入し、水沢I.C.まで降りてくる頃までには、大きくなってゆったりと穏やかに乗るクルマという印象の陰に隠れている足回りの魅力を、しっかりと「肌身」に感じられるようになっていた。

AWDというカタログのお話ではなく、アイサイトのCM効果ではなく、今までのレガシィがどうか、でもなく、昨日まで乗っていたロードスターの魅力との比較ではなく、間違いなくレガシィは日本で200万円台で乗り出せる唯一の、「ロングツアラー」と呼ぶのにふさわしいステーションワゴンだと分かりました。

高速をアイサイトでゆったりと疲れ知らずで走り、いったん高速を降りたらワインディングロードを気持ちよく走る。雨でも雪でもドンとこい。荷物も乗るし、同乗の家族や仲間も楽しい。そして、きちんとその魅力の文法をわきまえれば、ドライバーも十分に楽しめるクルマになっていました。

なるほど、ガッツンガッツンとマニュアルで変速して、ターボで加速して「操作」を楽しむクルマの方向性とは全く正反対だ。
でも、いわゆるちょっと乗ると「快適」だけれど、長距離を乗るとつまらなかったり腰が疲れたりするタイプのクルマでは全くない。

この「快適」さはけっして「楽しさ」を潰した結果得られたものではないことを、2泊3日800キロのドライブで再確認しました。

加えて、無段変速のCVTは、本当に秀逸。一部のレビューでかつてこのチェーン駆動型CVT固有の高周波音が気になると指摘されていたが、耳を澄ませてみても、それらしい音には未だ出会えていない。
一つだけ付け加えておくと、気のせいなのか個体差なのかも分からない程度ではあるのだけれど、回転を落としたときに、プログラム側の問題なのかハード的なものなのか(挙措はあきらかにプログラムの迷い、と見えるのだが)、回転をひたすら落とすだけではない逡巡の動作を見せる一瞬が、速度を下げる時に特に感じられたことを指摘しておきたい。でも、それはほとんど気にならないレベルの話だ。お任せで、良い感じに仕事をしてくれます。

聞けば、レガシィは20年ぶりの新エンジンを2012年(今年)夏には搭載してマイナーチェンジをするとか。
家族や仲間と、あるいは遊び道具を積み込み、長距離運転をして遊びに出かけ、そして運転の楽しさも味わいたい、という人にとっての「道具」として、これ以上のものはたぶんないんじゃないかな。

レガシィはとっても高度な技術で、こちらの運転技術を越えた「上手」さを与えてくれるクルマです。
へたくそな私でも、確実にコーナリング速度が人生史上もっとも高くなりました。

クルマの「力」によって、高いスピードでフラットに曲がれてしまうこの感覚は、たぶんレガシィだけじゃないかなあ。
クルマをいじるにも、緩さよりはストイックさをクルマが求めてくるような気がします。

ロードスターも、初めて乗ったときは「こんなに曲がれるクルマは乗ったことがない」と感激しました。
がむしろ、ライトウェイトスポーツという側面でいえば、運転者の力量に応じて楽しませてくれるクルマ、というべきでしょう。
自分でおもちゃをいじって遊ぶ感覚、かな。

個性と出会うことは、それがたとえクルマであっても、哲学者のテキストを読むのと全く同じように大切なのだ、とつくづく思います。
いや、哲学者のテキストであってさえ、クルマの快楽と同じように大切なのだ、と逆に言うべきでしょうか。

いずれにしても、「楽しさ」に到るまでには、いろいろと迂路をウロウロしてああでもないこうでもない、と迷ってみることも大切だ、ということかもしれません。

最後にちょっと文句を一つ。

北米向けの大きなキャビンサイズとか、燃費重視の機構(燃費計とか平均燃費表示とか、SIクルーズとかも実はスポーツ走行をチョイスできる、というより、かつてはスポーツ走行一辺倒だったレガシィから、燃費に配慮できる「遅い」モードも加えました、ということだと私は思います)とか、レガシィの走り=個性を支えていた部分を「ネガ」として潰した結果、骨格の個性はきちんと消えてはいないのに、ドライバーにまっすぐメッセージとしてその「個性」が伝わらなくなってしまった恨みがやっぱりあるのではないでしょうか。

2泊3日のドライブで、その表層と深層の両方をようやく味わうことができてホッとしています。

と同時に、やっぱりクルマ自体が、かなり快適側というかDセグメント生き残り側に振った設定になってしまっていて、足回りの良さというかクルマを操作する魅力は、かなり意識して運転しないと素性を明らかにしてくれない、ということが、不安を増大させた原因だと感じます。

ツンデレじゃないけど、しっかりその素性を確かめて味わえば、新型レガシィ、なかなか、です。
っていうか、かなり「いい感じ」だと思います。

洗練された元フレンチシェフの、定食屋さんセットメニューのごときレガシイ2.5i。

腕は勿体ないほどだが、やはり旨い。
ここにこんな値段で店出してていいのか、でもコストパフォーマンスがいい。
このトンカツに謎のソースのこだわり。
つじつまあってるみたいなあってないみたいな、庶民的みたいな高級みたいな、みたいなみたいな、ね。



レガシィ納車!(その3)レガシィの楽しさはどこにある?

2012年04月02日 23時00分47秒 | クルマ
Fun To Driveはどこへいった?

今朝、フィットシャトルハイブリッドが3月下旬に納車になったばかりの同僚が

「なんだか楽しくないんだよね、運転が。結局これって、普通のクルマなんですよね」

と呟いていた。

我が意を得たり、と思った。

彼はMR-Sを下取りに出してフィットシャトルハイブリッドを購入したのだが、MR-Sに乗っていた10年間は、それが当たり前だと思っていた、というのですね。

屋根が開いて、軽くて小さくて、クルマを「操縦」する楽しさに溢れている。
でも、それは当たり前にどのクルマにも付いてくるものじゃあなかった。

私も、レガシィに求めたのは、ロードスターに求めるものではないもの、むしろ正反対のロングツーリングの安心感とか、疲れない感じとか、AWDがもたらす全天候対応の足回りの確かさとかだったはずだ。

でも、それでもついつい「クルマを運転する楽しさ」という贅沢に身体がなじんでしまっていて、「あれ?あれ?」と思ってしまうのだ。

31日の日曜日、松島観光をして、志津川に到着するまでは、その違和感が続いてような気がする。

その現行レガシィにロードスターを求める勘違いから脱して、その魅力に気づくためには、やっぱりワインディングを走らねばならなかった。

p.s.
旧レガシィファンが、新型発表時に口を極めて罵っていた(ちょっと言い過ぎかもしれませんが、そんな感じでしたものね。実際の営業はそんなに悪くなかったと思うけれど)気持ちが、とてもよく分かるようになりました。

このレガシィは良いクルマなんです。

でも、あの「運転の楽しさはどこにいっちまったの?」と言いたくなる。
「スカイラインもアコードもアテンザもどんどん大きく欧米仕様になっていった。レガシィよ、お前もか?!」と嘆きたくなる。

ロングツアラーとして、大きいことはいいことなんじゃない?ゆったり乗れるならそんなにタイトな乗り心地じゃなくても、いいでしょう。ジェントル志向結構。Dセグメントを意識した?結構……なんて思っていた私でさえ、実際長距離をやってみると「あれれ?」と思うのだから、これは無理のないところだったのだと思います。