龍の尾亭<survivalではなくlive>版

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ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引書』がスゴい。

2019年10月04日 08時44分22秒 | 今日の日記
今朝から
ルシア・ベルリンのアンソロジー
『掃除婦のための手引書』
を読み始めた。
まだ2編しか読んでいないが、既にその世界に引き込まれている。
乏しい経験しかないのだが、アメリカの短編は、なんだかよむのが難しいということがある。
かかれている立場や状況や時代が分からないからなのか、描き方に慣れていないからなのか、何かもどかしい感じが残ったりする。アメリカじゃなくてもそれは同じなのだろうが、しかし、短編についてはアメリカのものが要警戒、、そんな印象があった。

しかし、ルシア・ベルリンの小説は違う。
分かる分からないではなく、刺さってくる。
リディア・デイヴィスの序文では「むき出しの電線のように」と表現されている。
そう、それは分かるのではなく、皮膚の表面が痛む、のだ。
「痛い小説」というのとは少し違う。もっと表面的だ。つまり表現的だ。むしろだからこそ、その向こう側の「深さ」を味わいたくなる。

そして、
『物語こそがすべて』
というこのアンソロジーの元の本の題名から、ルシア・ベルリンの「物語」の意味について考えてみたくなる。

「トニーは目を開けなかった。他人の苦しみがよくわかるなどと言う人間はみんな阿呆だからだ」P13

そう言うことだ。

おすすめです。その「痛み」、その「帯電」を知るすべての「大人」に強くお勧めします。

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