平成湘南日記...一語一絵

あせらずゆっくりのんびりと
花とニャンコとクッキング
時々俳句とデジ散歩
自称カメラ小僧の気まぐれ風まかせ日記

DVDと原作

2009-05-09 11:01:05 | 映画・DVD観賞
昨日TSUTAYAで半年ぶりでDVDをレンタルしました。
驚いたことに私はシニア割引(半額)の対象者となっていました。
一瞬戸惑い次にそういうシステムがあったことを思い出し、若干違和感があったものの直ぐに“こりゃあいい”と受け入れ納得。
借りたDVDはこれ。

<天と地と>&<山桜>

二作とも原作を読んだことのあるもので、その原作をなぞりながら鑑賞。
期せずして二作はある意味、正反対の映画であることを発見。

「天と地と/海音寺潮五郎」は文庫本にして上中下3冊からなる長編。
原作は、後年上杉謙信となる長尾景虎が生まれてから三十二才になるまでの、あとがきにもあるように人間の成長過程を、そして川中島の合戦も越後の側に立って描いた作品。
映画は成人してからの武田信玄との戦いを中心とし、家臣宇佐美定行の娘乃美との関わりにもちょっと触れている程度で、原作への忠実さはあまり感じられません。

「山桜/藤沢周平」は「時雨みち/同」中の20数ページの短編。
原作は再嫁した家と馴染めない主人公野江が、剣の達人である藩士手塚弥一郎と出会い、手塚の刃傷事件を機に回り道をしてきた自分に気づき新しい人生を歩みだすという、主人公の心理描写と美しい風景描写が心に沁みる逸品。
短編小説を映画化にする際、当然原作にないシチュエーションを作り出さなければならないと思うが、その場面をどう感じるかによってその映画が良いかそうでないか評価が分かれるのだと思います。


最初に正反対の映画と言ったのは、一方は30年以上に渡る期間を描いた長編を2時間にしたもの、もう一方は20頁そこそこの短編を99分の映画にしたもの、と言うことでした。
既に小説として一定の評価を受けた作品を映画化する難しさもありますが、時間的なギャップをどう省略したり付け加えたりする制作側の手腕が問われるのだろうな、と感じさせる二作でした。

以上はさておき
「天と地と」は、上杉勢の黒に対して武田勢の赤という色の対照が非常にハッキリしていたのと、スタントを一切排除したという合戦シーンはカナダ・カルガリーでの大規模ロケということで、すごい映像美となっていたと思います。
そして榎木孝明の謙信も目力があって良かったが、新潟出身ということで当初予定されていた渡辺謙の謙信も見てみたかった。

「山桜」は田中麗奈、東山紀之共に最初は原作でイメージしなかったキャスティングでしたが、品の良さと凛々しさが感じられました。
農家の小さな子どもに手塚(東山)がおむすびをあげる場面は原作にはなかったがこれはこの映画の一つのポイントになるところだと思いますが、良かったのではないでしょうか。
また主題の山桜をとても綺麗に撮っていたのも良かったと思います。