風月庵だより

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人身事故

2007-01-09 23:13:19 | Weblog
1月9日(火)晴れ【人身事故】

当『風月庵だより』を書き始めてより一年以上がたちました。一年続けばよいとの予定で始めましたが、お読みくださる皆様のお陰でもう少し続けられそうです。しかしどうしても夜遅くなってしまうので、今年からは週末だけの管理人になる予定でした。本日はログを書かない予定でしたが、どうしても書きたいことがありました。

勤めから帰りの電車で、また人身事故の影響による大幅な遅れと大変な混雑にぶつかってしまったのです。これほどの混みようならたとえ具合が悪くなって気を失っても倒れることはないだろうと思うほどでした。

この二年間電車通勤をするようになって、年中人身事故による電車の遅れや混雑にぶつかります。人身事故のほとんどは自殺と思われます。自殺自体もなんとかやめられないかと願いますが、電車への飛び込み自殺のような死に方もやめた方がよいと思います。

一昨日観た『長い散歩』について、あれはファンタジーだと今朝思いました。幼児の虐待も、自分の生き方を貫いた後の老年の贖罪も、若者の自殺も、シリアスに突き詰めればいくらでもシリアスになる問題をファンタジーにしている、と思いました。しかしそれでよいのではなかろうかと、次に思いました。

奥田が演じる刑事の言葉に、「みんな生きることに行き詰まっている」というような言葉がありました。行き詰まって、自らを追いつめて、その果てに自殺してしまう、そこまで追い込まないで、もう少し一歩下がって全てをファンタジーのようにとらえてしまったらどうだろう。(児童虐待の問題については、そのようには言えない別の問題であろう)

  「都会では自殺する/若者が増えている
   今朝来た新聞の/片隅に書いていた
   だけども問題は今日の雨
   傘がない
   行かなくちゃ
   君に会いに行かなくちゃ」
 
と井上陽水が歌ったのはだいぶ以前のことだった。あれからずっと自殺する人が増え続けているのだろう。(1972年の作品だそうだ)

自殺して、それも電車でバラバラになって自らの人生を終わりにしてしまうなんて、あまりに悲しすぎやしないだろうか。この私にしても仏教に出会わなければ、果たして今のように生きてはいられなかったかもしれない。仏教を学び、坐禅生活を送り、本師に出会えて、ようやく安心した生き方ができるようになったのであって、そうでなければ私もある日の人身事故を起こした一人であったかもしれない。

今の日本なんとか食べていくことはできるのではなかろうか。それだけで生きるのに充分なのだから、後はあんまり思い詰めないで、自分を追いつめないで、深呼吸をして、「傘がない」でも歌って、もう少し生きてみよう。生き続けてみたら、自殺するほどの事はなかった、とそれぞれ思えるときが必ず来るのだから。せっかく貰ったこの命、自由になにをしてもよいのだから。

どうぞ、電車の人身事故が減りますように。