12月28日(日)晴れ【映画『禅ZEN』を観て】
映画『禅ZEN』の試写会があり、観せて頂きました。
この映画は、曹洞宗の宗祖道元禅師を主人公にしています。この映画のように、実在の人物、それも一宗の宗祖を描くことは、なかなか難しいと思いました。
同じ映画を観ましても、宗祖道元禅師に対して抱いている、それぞれのイメージがあると思います。それぞれの思いに叶うことは至難のことでしょう。
かつて、弘法大師、親鸞聖人などを主人公とした映画を観ましたが、それぞれ監督の持っている弘法大師像、親鸞像であったろうと思いました。その宗派でその教えと取り組んでいる人が観たら、自分の抱いていた宗祖像とは違うという感じを抱いたのではないでしょうか。
また一宗の宗祖を主人公としたならば、一に要求されることは、感動的に描くことでしょう。また道元禅師の教えを監督も脚本家も咀嚼し、深く理解しなくては、決して描くことはできません。一朝一夕にできることではありません。もし、1+1=2のように理解できることであれば、何年も何十年も坐禅し続け、何年も何十年も宗祖の著作と取り組む必要はないことになります。
その点、今回、監督・脚本を手がけましたのは、高橋伴明という監督で、仏教の教えを若い頃から、真剣に学んできた人物ですから、かなりの理解を示してくれたと思います。
しかし、やはりそれぞれ、理解は違いますから、映画という作品になりましたら、映画という作品として味わうという鑑賞眼が必要とされるでしょう。それぞれが持っている宗祖観はさておき、映画『禅ZEN』を楽しむという目で観るのがよいかと思いました。
中村勘太郎さんが、道元禅師を演じています。他に 内田有紀さんという女優さんが、監督のイメージから生み出された「おりん」という役を演じています。それぞれに好演でした。他のキャストもなかなか好演でした。個人的には寂円を演じたテイ龍進さんという役者が味があったと思いました。
監督のメッセージは、混迷し、混濁し、方向性を失った現代に、こんな爽やかな人間が750年前の日本にいたのですよ、と、いうことかと推察します。そしていかに清く、誠実に生き、そして道を求めて生きたか、ということかと推察します。
勿論、監督だけではなく、「禅 ZEN」製作委員会(多くの曹洞宗の僧侶の応援と願いがあると思います)の願いは、現代に清涼なる風を吹かせたいのではないでしょうか。
1月10日封切りです。私ももう一度観てみようと思っています。皆さんも是非ご覧くださいませ。そしてそれぞれの思いが湧くと思いますが、機会があれば、この映画について語り合いたいと思います。ご覧になってから、コメントいただけますと幸甚です。
よいお年でありますように。
*『禅ZEN』パンフレット冒頭の言葉:
「喜びも苦しみも涙も…。あるがままに。
乱世の鎌倉時代ー凛とした姿。揺るぎない孤高の精神。
清冽な生涯をおくった道元禅師の知られざる物語が、
750年の時を超え、今、甦る!」
監督・脚本: 高橋伴明
原作: 大谷哲夫
キャスト:中村勘太郎・内田有紀・藤原竜也・村上淳・哀川翔・勝村政信・笹野高史・西村雅彦・高橋惠子
製作年:2008年/製作国:日本/製作:「禅 ZEN」製作委員会
配給:角川映画/(C):「禅 ZEN」製作委員会
カラー/2時間7分/ビスタサイズ
*本棚を探しましたら、弘法大師を描いた『MANDARA曼陀羅ー若き日の弘法大師・空海』(1991年、日中国交正常化20周年記念、監督:滕文驥、脚本:原源一、空海:永島敏行)と、『親鸞 白い道』(1987年、原作・監督・脚本:三國連太郎、親鸞:森山潤久、恵信:大楠道代)のパンフレットがありました。後者はかなり三國親鸞の感じがしたことを思い出しました。前者は中国長安の青龍寺(実際の撮影は五台山の菩薩長寺)でのシーンや、恵果阿闍梨から灌頂を受けるシーンは17年前の映画ですが今でも鮮明に覚えています。感動的な映画でした。
『空海』のパンフレット冒頭の言葉。
「この世に、
無駄なもの、
生きるに値しない
無意味な人生など
存在しないのだ。」
映画『禅ZEN』の試写会があり、観せて頂きました。
この映画は、曹洞宗の宗祖道元禅師を主人公にしています。この映画のように、実在の人物、それも一宗の宗祖を描くことは、なかなか難しいと思いました。
同じ映画を観ましても、宗祖道元禅師に対して抱いている、それぞれのイメージがあると思います。それぞれの思いに叶うことは至難のことでしょう。
かつて、弘法大師、親鸞聖人などを主人公とした映画を観ましたが、それぞれ監督の持っている弘法大師像、親鸞像であったろうと思いました。その宗派でその教えと取り組んでいる人が観たら、自分の抱いていた宗祖像とは違うという感じを抱いたのではないでしょうか。
また一宗の宗祖を主人公としたならば、一に要求されることは、感動的に描くことでしょう。また道元禅師の教えを監督も脚本家も咀嚼し、深く理解しなくては、決して描くことはできません。一朝一夕にできることではありません。もし、1+1=2のように理解できることであれば、何年も何十年も坐禅し続け、何年も何十年も宗祖の著作と取り組む必要はないことになります。
その点、今回、監督・脚本を手がけましたのは、高橋伴明という監督で、仏教の教えを若い頃から、真剣に学んできた人物ですから、かなりの理解を示してくれたと思います。
しかし、やはりそれぞれ、理解は違いますから、映画という作品になりましたら、映画という作品として味わうという鑑賞眼が必要とされるでしょう。それぞれが持っている宗祖観はさておき、映画『禅ZEN』を楽しむという目で観るのがよいかと思いました。
中村勘太郎さんが、道元禅師を演じています。他に 内田有紀さんという女優さんが、監督のイメージから生み出された「おりん」という役を演じています。それぞれに好演でした。他のキャストもなかなか好演でした。個人的には寂円を演じたテイ龍進さんという役者が味があったと思いました。
監督のメッセージは、混迷し、混濁し、方向性を失った現代に、こんな爽やかな人間が750年前の日本にいたのですよ、と、いうことかと推察します。そしていかに清く、誠実に生き、そして道を求めて生きたか、ということかと推察します。
勿論、監督だけではなく、「禅 ZEN」製作委員会(多くの曹洞宗の僧侶の応援と願いがあると思います)の願いは、現代に清涼なる風を吹かせたいのではないでしょうか。
1月10日封切りです。私ももう一度観てみようと思っています。皆さんも是非ご覧くださいませ。そしてそれぞれの思いが湧くと思いますが、機会があれば、この映画について語り合いたいと思います。ご覧になってから、コメントいただけますと幸甚です。
よいお年でありますように。
*『禅ZEN』パンフレット冒頭の言葉:
「喜びも苦しみも涙も…。あるがままに。
乱世の鎌倉時代ー凛とした姿。揺るぎない孤高の精神。
清冽な生涯をおくった道元禅師の知られざる物語が、
750年の時を超え、今、甦る!」
監督・脚本: 高橋伴明
原作: 大谷哲夫
キャスト:中村勘太郎・内田有紀・藤原竜也・村上淳・哀川翔・勝村政信・笹野高史・西村雅彦・高橋惠子
製作年:2008年/製作国:日本/製作:「禅 ZEN」製作委員会
配給:角川映画/(C):「禅 ZEN」製作委員会
カラー/2時間7分/ビスタサイズ
*本棚を探しましたら、弘法大師を描いた『MANDARA曼陀羅ー若き日の弘法大師・空海』(1991年、日中国交正常化20周年記念、監督:滕文驥、脚本:原源一、空海:永島敏行)と、『親鸞 白い道』(1987年、原作・監督・脚本:三國連太郎、親鸞:森山潤久、恵信:大楠道代)のパンフレットがありました。後者はかなり三國親鸞の感じがしたことを思い出しました。前者は中国長安の青龍寺(実際の撮影は五台山の菩薩長寺)でのシーンや、恵果阿闍梨から灌頂を受けるシーンは17年前の映画ですが今でも鮮明に覚えています。感動的な映画でした。
『空海』のパンフレット冒頭の言葉。
「この世に、
無駄なもの、
生きるに値しない
無意味な人生など
存在しないのだ。」