風月庵だより

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自死防止策

2014-09-03 20:16:24 | Weblog

9月3日(水)晴れ 【自死防止策】

E・キューブラー・ロスの『「死ぬ瞬間」と死後の生』を読んでいて、自殺しそうな患者さんについての言及の箇所がありました。そこで、突然、私は自分の過去に訪れた危機を思い出したのです。

昨日は、出家した自分について、この道にあることの感謝を書きましたが、そうです、思い出してみれば、幾度かの危機を経験して、今のかなり平穏な状態にあるのだということ。最初から平穏な尼僧では決してないことを書いておきましょう。

或る時、とても信頼していた方がいたのですが、その人に全く裏切られていたと分かったとき、それから十日間以上寝込んでしまって起きることができませんでした。気持ちが傷つくということは、理屈を超えて、身体的なダメージさえ受けた、ということを思いだしました。しかし、もし、あの時、動くことができていたら、もしかしたら、自死に誘われていたかもしれません。動けなくなったことは幸いだったのだと思います。

また、ある時、これも信頼していた友人に、全く騙されていたと知った時、、それからしばらくため息ばかりつき続けました。あの時ほどため息をついたことはありません。ため息というよりも呻きに近かったかもしれません。理屈抜きに嘆きのため息が止まりませんでした。もし、嘆きのため息がでないで、嘆きが内に籠っていたならば、やはり自死に誘われたかもしれません。

また、一日中、五体投地の御拝をし続けて、やっと苦しみから抜け出すことができたこともあります。

自死に誘われるような状態に入り込んでしまったら、抜け出すことは大変でしょう。そうなる前に、身体的なはけ口を見出すことは、自死を防ぐためのかなり抑止力になるのではないでしょうか。

人によっていろいろな方法があるでしょう。心のもやもやを、もやもやと内に籠らせないで、大きな声で叫ぶのも効果があるかもしれません。私のように呻いたり、嘆いたり、御拝し続けたり、何かして発散することは、自死に向かうエネルギーにブレーキをかけることができるかもしれません。心の苦しみを身体的な発散をしてやわらげる方法を、是非お勧めしたいです。

精神論や命の大事なことを、自死に向かいたいほどのダメージを受けてしまう前に、常日頃から、心奥にすり込んでおくことは、もっとよい防止なるでしょう。

私も尼僧として、静かな海にいるような現在の状態ですが、思い返してみれば、何度も危機を味わってきたことを、昨日のブログ記事の続きとして書いておきましょう。

出家してからも、在家の世界でもこれほどひどいことはないだろう、という経験もしましたが、良き友人たちのお蔭で乗り越えることもできました。尼僧堂時代の親友がいてくれたことは、有難いことでした。その一人はすでに旅立ってしまいました。與木淳恵さんという方です。すでにこの世にいらっしゃらないので、個人のお名前ですが、書かせていただきました。この人ほど、人のよいという表現がぴたりの人は、私の出会った人のなかにはいません。

裏切る人(と自分が感じるわけですが)もいれば、助けてくれる人もいたり、人生は決して一方ではないでしょう。もし全ての人が自分に対して、「ひどい」と感じても、絶対に見捨てない目のあることを信じてほしいと思います。

ありますよ、見捨てない、大いなる目が。

自分で死ななくても、いつの日か、必ず誰にでも死は訪れるのですから、なんとしても生きてみてほしいです。

そうして、ああ、あの時、死なないでよかった、という日が、必ず訪れると言いたいです。

なんと、あらためて驚きます、私も七十歳という大台が目前です。我がことながら驚きます。何度も危機を乗り越えてきて、生きていて、やっぱりよかった、と、思っています。

もし、一人でも、自死の誘惑に負けそうな方が、このブログをお読みになり、尼僧さんでも、そんな時があるのか、と、なんだか、思い返していただけたら、有難いと思う次第です。きっと、その方の苦しみは、私の経験などをはるかに越えて辛いものかもしれませんが。

今夜も虫がよく鳴いています。こおろぎでしょうか。

*付け加えますが、私自身も人の信頼を裏切ったこともありますし、人から見れば鼻持ちならないことも多いはずです。自分と全く同じ価値観や、考えを持っている人がいるとすれば、それは自分自身しかありえません。二人の自分がいるはずがないので、そんなことはないのですから、他人に対しては、時に違和感ももち、批判的な考えも起こり、裏切られてと思うようなことも起こったりするわけです。自分以外は、まぎれもない別人なのですから。それが、天地のなせる綾模様、人間を含め、一切の生物をあらしめている不思議なるエネルギーの芸術的手腕のなせるところです。

*この地球のある「太陽系がある天の川銀河(銀河系)は、約10万個の銀河から成り、直径が約5億光年の「超銀河団」の端に位置する可能性が高い」( 時事通信)と書かれていました。地球のように人間のような生物が住む天体は、間違いなく他にもたくさんありそうです。

争いばかりしている地球人類の愚かしさに、皆さんもほとほと嫌気がさしてはいないでしょうか。中国が、9月3日を「抗日戦争勝利の日」と制定したとか、何とも言いようがありません。