60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

WFP ウォーク・ザ・ワールド

2012年05月29日 17時12分06秒 | 散歩(1)

 27日日曜日、ファミリーマートに勤める友人に誘われて、WFP ウォ-ク・ザ・ワールドというイベントに参加してきた。ファミリーマートは特別協賛企業なのだそうである。WFPとはWorld Food Programme 国連世界食糧計画という非営利団体の食糧支援機関である。〈地球の飢餓を救え〉というキャンペーンの一環で毎年横浜でウオーキングイベントをやっているらしい。コースは10kmコースと5kmコースがあり、申込金1500円を払うと、地図やブルーの帽子やドリンクをくれる。

 集まった人は約3000人、特に主催者側から挨拶があるわけでもなく、AM10:00に横浜臨海パークをスタートした。先導者は旗を持って先頭を歩く。そしてコースのとことどころにも旗を持って誘導員が立っている。我々は先頭付近を歩いていたが、そのスピードは予想外に速く、少し気を抜いて歩いたり写真を撮ったりしていると、あっという間に距離が開いてしまう。スピードを競うわけではなく、思い思いの歩調で歩くわけだから、先頭と後続とはしだいに間延びしていき、長い長い行列になっていった。

 コースは赤レンガ倉庫、山下公園、港の見える丘公園、外人墓地、山手通り、と横浜の観光スポットをぐるっと回るコースである。しかし皆が脇目も振らずに歩いていると、私だけ止まって見学するわけにも行かず、結局横目でそれ見ながら歩きとおすことになった。ゴールに着いたのは12:15分である。写真を撮りながら10kmを2時間15分で歩いたことになる。

 このようなイベントには初めて参加したがその感想は、あれだけの素敵なコースをひたすら歩いているだけではもったいない気がした。少人数で気の向くままに歩き、気に入ったところに立ち寄ってゆっくりと見学する。そして疲れたら「こじゃれた」カフェに入って一服。そんなのんびりしたウオーキングの方が私には性に合っているように思った。
     
      
                              臨海パーク

      
                              臨海パーク

      

      
                             スタート準備

      
                           AM10:00スタート

      
                           列は次第に長くなっていく

      

      
                             赤レンガ倉庫

      

      
                             プロムナード

      
                              山下公園

      
                               氷川丸

      
                     ところどころに旗を持った誘導員が立っている

      

      

      
                            港の見える丘公園

      
                              イギリス館

      
                              外人墓地

      
                              山手資料館

      

      
                               山手234

      

      
                               エリスマン邸

                

      
                             山手カトリック教会

      
                            旧内田邸 外交官の家

      

      
                             横浜スタジアム

      
                              歴史博物館

      
                               汽車道

      
                           横浜ランドマークタワー

      

      
                               日本丸

      

      
                            ゴール 12:15分

散歩(寄居町)

2011年09月30日 08時20分24秒 | 散歩(1)
                             荒川

 駅からの散歩 No.321       埼玉県大里郡寄居町          9月24日

台風15号が猛烈な勢いで首都圏を駆け抜け、夏の空気を一掃し秋の空気に入れ変えてしまった。
秋になれば、やはり散歩は郊外が良い。今日は東武東上線を使って寄居まで行ってみることにする。
朝は少し肌寒く半袖では心もとないので長袖のTシャツを着て出かける。西武新宿線で本川越まで、
そこから歩いて東武線の川越市駅へ、そこで乗り換え小川まで、そこからさらに乗り継いで寄居まで、
所沢からたっぷり2時間を要した。

駅を降りると、客待ちのタクシーが並んでいるが誰も利用する人はいない。駅に隣接してライフと言う
スーパーがあり、自転車で来た買い物客が一人、店の前に自転車を止めようとしていた。閑散とした
駅前の風景、ひっそりとした地方都市独特の雰囲気を醸し出している。駅前の観光案内所で地元の
地図をもらい歩きはじめる。駅から20分も歩くと荒川にぶつかる。鉢形城跡など見て、右岸を上流に
向って歩く、まばらに人家があるが、人とはほとんど出くわさない。長閑としたこの空気、時の流れが
スローダウンしたようにさえ感じる。

荒川に添って歩くうちに、この景色いつか見たような気がしてくる。今まで色々な所を歩いているから
似たような雰囲気の所もあるのだろう、これも一つのデジャブだろうか?そう思いながら歩いていた。
しばらく歩くと右手に宗像神社がある。神社の前に池があり、真ん中に噴水がある。この神社やはり
見たことがあるのではないか?少し自分の記憶を手繰ってみることにする。しかしもう何百回の散歩
の中で、参拝した神社仏閣は何千の数になるだろう。この神社、自分の頭の中の検索システムでは
記憶のファイルから見つけ出すことはできなかった。

私の散歩のコンセプトは「未知の町を味あう」である。定番の散歩コースを歩くのではなく、できれば
全く歩いたことのない町を歩いて見たい。そこにも人々の暮らしがある。家並みがあり、学校があり、
公園があり神社仏閣がある。そしてそこには今の景色になるまでの長~い歴史があったはずである。
以前ある女流画家(池口史子?)がこんなことを言っていた。ヨーロッパの田舎を旅していて、イタリア
にはイタリアの風景があり、フランスにはフランスの風景があることを思い知った。自然の中に暮らし、
何を残し何を変えていくのか?そこにそれぞれ民族の美意識がある。どの森を残し、どの木を残し、
どんな畑を作り、どんな家を建てるのか?自然を取捨選択してきた結果が今の風景を作っている。
確かそのような内容だったと思う。

日本の各町にもその町の成り立ちや歴史がある。そこで暮らして来た人々の生活がありその事情や
都合が折り重なって行き、その町特有の雰囲気と風景を作ってきたのであろう。同じ中央線の隣の
街でも中野と高円寺とは雰囲気が違う。さらに西へ進んで、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪と微妙に肌合い
が違っている。白金や代官山を歩けば、自分が異物のように思え、疎外感を感じて落ち着かない。
歴史のある地方都市に行けば品格を感じ、田舎町を歩けば時間のゆるやかな流れにほっとする。
街を歩きながら、そんな空気感を味あうのは、珈琲好きが色んな香りや味を楽しんでいるのに似て
いるかもしれない。

宗像神社を過ぎると単線をまたぐ踏切がある。線路は廃線になったかのように草が生い茂っていた。
「この踏切渡ったことがある」、もはやデジャブや空似ではなく、この道を歩くのは2度目であることが
確かなことだと思わざるを得ない。「寄居町」その名は何度も聞いたことがあり、一度は行って見ようと
思っていた。以前西武線の東飯能から八高線で寄居に向かったことがある。しかしあまりの乗り継ぎ
の悪さで、途中から引き返したことがあった。だから寄居町には行ったことは無いと思い込んでいた。
何かキツネにつままれたような感覚である。それからは歩くほどに記憶はよみがえって来て、自分の
記憶の不甲斐なさが情けなくなってくる。

翌週月曜日、会社でパソコンに保存している過去の写真ファイルを探して見た。2007年8月4日、
4年前に確かに寄居町に行っていた。その時は西武秩父経由で秩父鉄道に乗り換えて行っている。
持って行った案内書が違うから、駅から歩いたコースが多少違っていた。導入部が違っていたから
直には思い出さなかったのだろう。そう自分自身に言い訳をしてみるものの、以前茨城県古河市でも
まったく同じことがあった。これで2度目である。自分の記憶に陰りが見え始めた。これがだんだんと
進行して行って、しだいに直近のことも思い出せなくなるのかもしれない。そう思うと少し不安である。


      
                             寄居駅
                   東武線、八高線、秩父鉄道の3線が交わる

     
                           駅前観光案内所
             各種案内地図やレンタル自転車など地元観光に力が入っている

     
                             西念寺

     
                            鉢形城跡

     
                         鉢形城跡 右手は荒川
     鉢形城は戦国時代の城跡である。現在は国の史跡に指定され往時の姿が残っている

     
                        正喜橋から荒川を見る

     
                          荒川 玉淀河原

     
                            宗像神社

               
                               八高線
                  1時間に1本の八高線は線路に草が生い茂る

     
                              正龍寺

     
                              正龍寺
                         線香鉢の上に梵鐘がある

     

           

     
                              善導寺

     
                              善導寺

     
                             秩父鉄道

     

     

     
                               少林寺

               
                少林寺の背後から五百羅漢の山道が伸びている。
           文政(1816年~  )人々の浄財で完成した羅漢は536体ある。

     
                             五百羅漢

     

               

               

     

               
                           この顔誰かに似ている

               
                          円良田湖(つぶらたこ)
      周囲4km、円良田湖の周囲には1500本の桜が植えられ春には花見でにぎあう

     
                       円良田湖から荒川までの用水路
                     
      

     

     

     

     
                          秩父鉄道 波久礼駅

     
                            空はすっかり秋

散歩 谷中・根津・千駄木 (谷根千)

2011年09月16日 08時26分45秒 | 散歩(1)
駅からの散歩

No.320   谷中・根津・千駄木 (谷根千)                 9月11日

土曜日の夜、チャンネルを回していたら、テレビ東京のアド街ック天国という番組で台東区の
「根津」を取り上げていた。見覚えのある風景や建物が時々出てくる。さすがプロが撮る映像、
である、通称「谷根千(やねせん)」と呼ばれるこの谷中、根津、千駄木一帯の下町の情感を
上手くとらえて構成されていた。この地域は山手線内側にありながら、戦災をあまり受けずに、
また大規模開発を免れたため、一昔前の街並みが残っていると言われている。この谷根千は
下町ブームのきっかけとなった街の一つでもあり、今や人気の観光スポットでもある。
この地は以前に何度か歩いたことがあるのだが、番組では知らない通りや建物が出て来た。
毎週、「何処を歩こうか?」と行き先に苦労している身にとって、これは一つの切っ掛けになる。
翌日の日曜日、早速歩いてみることにした。

歩いてみて感じることは、以前と比べて観光客が多くなったことである。特に若い人が目立つ。
新しいオシャレな店が多く出来ていていたり、何軒かのそば屋やカフェでは店頭にお客さんが、
ズラリと並んでいる。最近この地区一帯の家賃が値上がりしていて、新たな商売はやりにくく
なったと聞いたことがある。以前からの地元住民相手の商売と、新しい観光客目当ての商売
とは明らかに毛色が違う。異質な商売や観光客の流入、地元に戸惑いがあるようにも見える。
この地が好きで静かに暮らしてきた人は、このブームを苦々しく思っている人も、少なくはない
のだろうと思ってしまう。

観光スポットからすこし離れ谷中を歩く。このあたりは坂が多くまた多くの寺院が点在している。
最盛期には100ほどの寺院があり、今でも60ほどの寺院があると言われる。古い山門を潜り
お寺に入ると、そこは周りとは隔絶された静寂の世界がある。本堂を囲む苔むした庭、静かに
咲く季節の花、奥まった先には木々に囲まれひっそりとお墓が並ぶ。私はそんな空間に浸って
いると、なぜか心が落ち着いてくる。木蔭に腰掛け、バックからペットボトルを出して水を飲む。


     
                          JR日暮里駅
        京成線の日暮里ホーム改装と合わせ、JRも改装になり駅は綺麗になった。

     

     
          夕焼けが綺麗に見えるということで「夕焼けだんだん」との呼び名

     
                          谷中銀座商店街

     
                      外国のTVクルーが入っていた。

     
                   自転車にいっぱいバックをぶら下げて販売

             
                            へび道

             
             昔はくねくねとした川が流れていた。そこを埋めての道

     
                           根津神社

                
                     幾重にも重なる1000本鳥居
    
     
                           根津神社

     
                            芋甚
      大正時代から家族で営んできた昔ながらの甘味処、一番人気はアイスモナカ

             
        オーダーを受けてからアイスクリームを詰めるから皮はパリッとしている。

     
       下町は家の前で道路にはみ出して草木を育てるのが公認のようである。

     

                 
                            猫町カフェ
                5匹のスタッフ猫(?)がいるというカフェレスラン
            
     
             左手に小さなパン屋がある三叉路、真ん中の樹はヒマラヤスギ

     

             

             
                    境内には季節の花が咲いている。

             

     
                           一乗寺

             
                           一乗寺

     
                    台東区のミニバス「めぐりん」

     
                          旧吉田酒店

     
                          旧吉田酒店

     
                           カバヤ珈琲
                大正5年に建てられた出桁造り2階建ての町屋喫茶

     
                          東京芸術大学
  「赤レンガ1号館」「赤レンガ2号館」「陳列館」など歴史的に価値の高い建造物が残っている。

              
                            はん亭
      明治の時代に建てられた木造3階建ての日本家屋を利用した串揚げ処と茶房

     
                            はん亭

     
                      弥生美術館と竹久夢二美術館

                       
             
     
                        竹久夢二美術館 館内

     
                            不忍池

     
                            不忍池

             
                      蓮の葉の上に沢山のスズメ
        

散歩(横浜市青葉区)

2011年09月02日 08時40分00秒 | 散歩(1)
子供の頃の一番楽しかった思い出は、毎年春休みと夏休みに母の実家に遊びに行ったことだろう。
蒸気機関車に引かれた鈍行列車は瀬戸内海を右に見ながらひた走る。乗って30分も経つと、顔が
青ざめて吐き気がしてくる。乗り物酔いは何時ものことで、母は用意してきた新聞紙を渡してくれる。
トンネルを入る寸前に汽笛がなり、その合図で乗客は一斉に窓を閉める。しかし、列車の連結部や
窓の隙間から容赦なく煙が入り、車内に充満してくる。トンネルに入る度に息を止めて耐えていた。
私にとっては苦闘の3時間であったが、それでも田舎に行くことの嬉しさには格別のものがあった。

山陽線の富田という駅に降りる。歩くにつれて空気にワラの臭いが漂ってくる。車1台通るのが
やっとの細い道の脇に水路が走り、その石垣に大きなはさみを持った真っ赤なカニが沢山いて、
私達が近づく気配を感じ、いっせいに穴に逃げ込んで行く。実家に近づくにつれ、期待と気恥ずか
しさとが入り混じったような気持ちでドキドキしてくる。田んぼが見え、田んぼの臭いがしてくると、
やがて懐かしい茅葺屋根の母の実家に着く。従兄弟が我々を見つけ家の奥に走り込んでしまう。
やがて家の中から伯母さんが笑顔で出てくる。「よう、きんしゃったの~、・・大きゅうなっちゃって」
我々を迎える時の何時もの挨拶である。従兄弟の何人かが玄関の陰から、我々を覗き見している。
母のそばから離れられない我々兄弟に向って、伯母は「皆で遊び~さんね」と声を掛けてくれるが、
恥ずかしで動くことが出来ない。

私の一つ上にアーちゃん(朝子)という女の従兄弟がいた。彼女が「ひろちゃん相撲を取ろうよ」と、
言うのが切っ掛けになり、それから堰を切ったように従兄弟同士は遊び始める。最初は皆一緒に
かくれんぼだったり、縄跳びだったりするが、やがて歳の近いグループに分かれて遊び始める。
女兄弟のいない私には、女の子も混じっての遊びは新鮮で、それ自体が非日常の世界であった。

家の前に広がる田んぼ、春は一面の菜の花畑、夏は青々とした稲がどこまでも広がる。青く澄んだ
空の高くにひばりが鳴き、あぜ道の水路にはミズスマシが走りオタマジャクシやメダカが泳いでいる。
夜はうるさいほどの蛙の声、それもいつのまにか馴れ、耳には入ってこなくなる。網を持って自分の
背丈ほどもある稲の間の畔道を走ると、やがて小さな川に出る。川の中に入って土手の下に網を
入れてまさぐると、フナやドジョウが泥に混じって網の中で動いていた。セミを獲りトンボを追っかけ、
1日中走りまわっていた。密集した街中で暮らしていた私にとっては、まさにワンダーランドであった。

納屋には雑多な農機具が置かれ、中に馬が繋がれていた。風呂は五右衛門風呂、手押しポンプで
井戸水を足し、釜戸にワラを放り込んで、お湯を暖める。残り火でワラに火がつき一気に燃え盛る。
真っ赤な炎が頬を火照らせ、その勢いに圧倒された。風呂はセメントの厚い縁で、底は鉄釜が剥き
出しになってる。湯船に浮かぶ丸い板の上に乗り、沈めるようにしてお湯に入る。子供の体重では
なかなか沈んでくれず、二人がかりでやっと沈めてお湯につかることができた。夜は布団を並べての
雑魚寝、まくらを投げて騒いでも、田んぼの一軒家では、どんなに騒ごうが誰もうるさくは言わない。
一週間ほどの楽しかった田舎生活は、あっという間に終り、別れの時が来る。従兄弟と「又来るね」、
「又来てね」と、お互いに言葉をかけるものの、無性に寂しくなって泣き声になる。

母の実家の想い出は、湿気を含んだ布団の肌触りと臭い、釜戸で藁が燃える真っ赤な炎、広く広く
広がる空と稲の波、今も私の記憶のファイルにしまいこまれている。その母の実家には、もう50年も
訪れたことはない。今は広い道路が通り、田んぼは無くなり、瀬戸内工業団地の一画になっている。
母の実家は新しい家に建て変わり、もう当時の面影は全く残っていないと聞いている。


駅からの散歩

No.319   横浜市青葉区  寺家ふるさと村            8月28日

何となく夏の田んぼを見たくなって、散歩の案内書から、横浜の「寺家ふるさと村」を選んでみた。
渋谷から東急田園都市線で青葉台駅で降りる。駅周辺は「スクエア」という専門ショップが何棟も
取り囲んで、おしゃれな雰囲気である。駅構内のインストアベーカリーで遅いモーニングを済ませ、
駅前からバスに乗る。約15分で終点の鴨志田団地に着いた。そこから200m程歩くと、目の前に
田園風景が広がり、田んぼの臭いがしてきた。ここは「寺家ふるさと村」、水田と雑木林が織りなす
景観に恵まれていて、昔ながらの田舎の雰囲気が色濃く残っている。地元主体で始まり、市と県と
国との協力を得て、それらが一体となって、この「寺家ふるさと村」は推し進めらてきたと言う。
ここには手つかずの自然があるのでなく、人々の営みの中で守り継がれてきた里山が残っている。
歩くうちに、昔懐かしい昭和の農村にタイムスリップしたような感覚になってきた。


      
                         東急田園都市線 青葉台駅

      
                  青葉台駅前「スクエア」 入口にウォーターカーテン

      

                
                        AM11:00 遅いモーニング

      
                   青葉台北口から鴨志田団地行きのバスに乗る

                
                           鴨志田団地下車

      
                       目の前に田園風景が広がる

      


      
                雑木林の里山を背景に熊野神社の白い鳥居が見える

                  
                             熊野神社

      


      
                             ふる里の森

                


      
                              大池

      


      


      


                


                


                
                         蜘蛛がトンボを捕まえていた

      


                
                         あぜ道に大豆?が植えてある

                


                


      


      


      
                              水車小屋

                 


               


                 


                 
                               コスモス

                 
                             キバナコスモス

      
                      早いところでは稲刈りが始まっている

      
             この土地は大家から無償で借りて、収穫の一部で支払う契約とか

      
               田んぼによってまちまちだが、ここはコシヒカリだそうである


                 


                 
                                浜ナシ

                 


      

散歩(小金井)

2011年07月08日 08時21分36秒 | 散歩(1)
                           駅からの散歩 

No.318  武蔵小金井~深大寺           7月2日(土曜日)

我が家の庭木がうっそうとしてきたため、4週に分けて剪定したり、結婚式があったり、梅雨に
入って雨が多かったりで、毎週のように出かけていた散歩も、ここ1ケ月は御無沙汰していた。
歩かなければ歩かないで済むものだが、しかし何となく1週間のケジメが着かない気がして
スッキリしない。先週、梅雨の合間に久々の散歩に出かけてみた。朝方雨が降っていたから
傘を持って出たのだが、JRの武蔵小金井駅に着いた時は真夏の天候に変わっていた。

今日はこの武蔵小金井駅から深大寺まで歩く、この地は東京の西にあり国分寺崖線という
10~20メートルほどの崖が東西に走っている。ハケと呼ばれるこの崖は、古い農家や学校、
公園の敷地として、あるいは保護林の形で森が残されているところが多く、遠目にもはっきりと
それとわかる。崖下には方々で湧水があり、かつては周囲の田畑をうるおしていたのだろう。
この湧水は小川となって野川に注ぎ、二子玉川で多摩川に合流する。この野川は都市河川
としては珍しほどの清流で、子供達が川遊びに夢中にっていた。

昨年、ジブリの「借り暮らしのアリエッティー」という映画が上映された。その映画に登場する
和洋折衷の屋敷や庭園は、青森県平川市の盛美園がモデルだそうだが、その屋敷があった
所在地は今回歩いたこの小金井市の辺りの国分寺崖線付近という設定である。映画のラスト、
アリエッティーの家族が下っていった小川は、このハケの湧水からの流れなのであろう。

いつもなら、歩きながら印象に残った風景をデジカメに収め、それを貼りつけて親しい人達に
メールしていたのだが、今回は趣向を変え、6月3日のブログに書いたイメージングスクエア
の「デジタルクラスト」という技法を使って写真を絵画風に変更し、それを並べて見た。

人によっては、「そんな似非絵画を使うな!」とか「人に見せるなら自分で描いた絵を載せろ」
とかの意見ももらうのだが、そう言われるとあえて反発したくなるのが私の性格である。
私は散歩しながら記録写真を撮っているわけではない。「その場の雰囲気をどう表現しよう?」
そんなことをいつも考えて写真を撮っている。自分が面白いと思うショットやアングルを探して、
シャッターを切る。そしてワンタッチを加えて絵画風にして見た。その写真(絵?)がその場の
雰囲気を表現できていれば、それはそれで良しとしよう。「似非絵画」などと大上段に構えず、
気楽に「どう表現するかを楽しむ時代」なのだろうと思うからである。
だから今回はあえて全ての写真を置き換えてみた。油彩絵風を主体に変更したのだが、置き
換えてわかったのだが、写真を並べた時よりよりは柔らかく、全体的に情感が出るように思う。
ソフトの提供者のカシオの広告ではないが、いままで「撮って見る」だけだった写真を「作って
楽しむ時代」への変化も、まんざら悪いものではないように思うのである。


      
                         JR中央線 武蔵小金井駅

                
                               はけの道

      
                               金蔵院

      
                               はけの道

      
                           左右に大きな屋敷がある

                

      
                               ぶどう園

                

      
                     中村研一アトリエ跡にある「はけの森美術館」

      
                      はけの森の中にある「オープンミントカフェ」

             
         旧中村研一画伯邸を改装した店内は和洋折衷のレトロモダンのインテリアで統一
                        ウバ茶とシホンケーキセットで750円

                

      
                       はけの森  この段差が国分寺崖線

                
                               はけの森

      
                               はけの森

      
                              はけの湧水

      
                     湧水は小川になって流れ、やがて野川に注ぐ
              映画「借り暮らしアリエッティー」の小人の目線で写真を撮って見た

                
                              はけの小路

      
                           はけの小路 左側が小川

      
                              はけの小路   

      
                          手前に野川が流れる

      
                           野川に添った遊歩道

      
                           野川に添った遊歩道

      
                              武蔵野公園

      
                              武蔵野公園

      
                       野川公園 真ん中を野川が流れる

      
                              野川公園

             
                              野川公園

      
                              野川公園

                   
                              深大寺通り

        
                               水車館    

      
                            深大寺門前蕎麦

      
                         なめこおろし蕎麦 900円

      


      
                             深大寺本堂

      
                              水子地蔵

                

                

                

      
                            深大寺植物公園

      
                      1番咲きは終わり、これからは2番咲き

      

      

      

      

      
                            深大寺植物公園

      

      

      
                            深大寺植物公園

散歩(塩船観音)

2011年05月13日 09時04分29秒 | 散歩(1)
                           パノラマ写真

青梅にある塩船観音に行くのはもう5度目だろうか。塩船観音の近くに昔からの友人が住んでいて、
彼を知る数人とJR青梅線の河辺駅で待ち合わせ彼の自宅へ向かう。そこで一服させてもらってから
塩船観音を一周し、そのあと彼の案内で青梅や多摩川沿いを歩くことが、毎年の恒例になっている。
毎年ゴールデンウイークの後半がその日になっているが、ツツジも天候に影響されるのであろか、
その時々で見頃は少し速かったり、遅かったりするようである。今年は前日の土曜が雨だった所為か
花や葉に勢いがあり、今までで一番鮮やかな印象であった。

若い頃は春のさくら以外はほとんど花に関心はなかった。それが歳とともになのか、四季折々に咲く
花に関心が向くようになってくる。つばき、梅、菜の花、さくら、フジ、ぼたん、ツツジ、バラ、紫陽花、
コスモス、曼珠沙華、きく等々、特に10年前から散歩するようになってからは、道々に咲く花に目が
止まるようになり、カメラの被写体にもなっていった。そして今では花に合わせて散歩のコースを組み
立てるまでになってきたのである。

若い頃は日々の仕事に追われ、生活に追われ、それ以外のものに関心を向ける余裕がなかった。
仕事のノルマや職場の人間関係にストレスを溜め、くたくたになって休みはひたすら寝ていたかった。
そんな時代から少しは自分を客観的にみれるようになり、コントロールも効くようになってくると、他に
目が向くようになって来たのだろう。しかしその時は既に50歳も半ばを過ぎている。子供達は親の
庇護を離れ自分の道を歩むようになる。女房とはそりが合わなくなると、必然として関心事は自分の
健康や老後の生きがいへと向いてくる。そして自分の人生が残り少ないことを知ることになる。

そんな時、毎年同じ時期に誰に見せる為でもなく、精一杯の花をつける草木に目が向くのである。
その中に自然の摂理を思い、不思議さを感じるのである。そして自分もまた自然の摂理に組み込ま
れた一員であることを知り、草木にも同胞としての慈しみを感じるのであろう。自分が「死」に向うに
当たっての納得を得ようとしているかのようにである。


駅からの散歩

No.316         青梅市塩船観音      5月8日 

塩船観音は大化年間(645年~)に八百比丘尼によって開山された古刹である。「塩船」の名は、
天平年間(729年~)に行基がこの地を訪れ、周囲が小丘に囲まれ船の形に似ているところから、
仏が衆生を救おうとする大きな願いの船である「弘誓の舟」になぞらえて、名付けられたものと伝え
られている。境内には茅葺きの仁王門や本堂等の国指定の重要文化財もある。4月中旬から
5月中旬に境内を取り囲むようにして約2万本のツツジが次々と咲き、近年TVなどで取り上げられ
ることも多くなって有名になりつつある。


                              
                              仁王門

       
                               本堂

               
                               本堂

               

      

      

      

               

               

               

                       
                            平和観音像

      



      


      
                              宗泉寺

               
                               霞川

               
                            勝沼公会堂

      
                         青梅市街を抜けて多摩川へ

                   
                        「夏への扉」という喫茶店

      
                           多摩川釜の淵公園

               
                              多摩川

      
                        釜の淵公園新緑フェスティバル

               
                             フラダンス

      
                          越中おわら「風の盆」流し

        
                      
                 本場の越中おわら「風の盆」の選抜基準は
              27歳以下でほっそりとした女性でないと踊れないとか??

      

   再び市街地へ 
  青梅は昭和レトロで売り込んでいる。街中に古い映画の看板などで演出している。

      

      
                    昭和レトロ商品博物館&茶房となりのレトロ

              
                          昭和レトロ商品博物館

              


              
                         昭和レトロ商品博物館

      
                             バス停

              
                            床屋の看板

              
                         写真屋のショウウインドウ

      
                         「たばこ屋」という喫茶店
             
              
                          店内は全て喫煙席

散歩(西荻窪)

2011年05月06日 09時27分10秒 | 散歩(1)
JRの中央線沿線に引っ越した友人が、「西荻窪には、まだ昭和が残っている」と言っていたので、
ゴールデンウイークの1日、西荻窪を散歩してみることにした。西荻窪の駅前にあった本屋によって
この近辺のマップを探す。「散歩の達人、中央線案内」を見つけ、大体の見当を付けて歩き始めた。
駅の南口にはレトロな商店街や昔ながらの酒場通りがある。周辺には高いビルはなく、一方通行の
道が多く、昔ながらの街がそのまま取り残されたような雰囲気である。右手にカメラを持って、昭和を
探してぶらぶらと歩き回ってみた。杉並区西荻窪、こんな都心にまだ昭和の時代が息づいている。


駅からの散歩  

No.314     JR中央線 西荻窪      5月4日

人目や流行なんてどこ吹く風と言う感じで「気ままに我が道を行く」そんな店が目抜き通りから路地
まで点在し、ほのぼのという時間が流れている。店主の趣味でやってみて、それで商売が成り立てば
それで良し。そんな店が引きつけ合ったように、この界隈に集まってきたのだろう。だから競争とは
縁遠い新旧の店が混在している。そんな街が西荻窪なのである。
              
      

              西荻窪駅南口を出るとすぐにこんなレトロな商店街がある。

      

                       駅前にある飲み屋街

      

              西荻窪界隈は大きな道路が少なく一方通行が多い。

     

                      昔ながらの製造販売の店

               

   
      

              街のいたるところにカフェがあり、カフェランチが楽しめる。

                      

                 世界一になりたいから店の名は「ちょろらんま」

                    


     

               まだこんな都心に昔ながらの雑貨店が残っている。              

     

     
                              金魚や

                

                
                     オタマジャクシ 5匹150円
                     カエルになったらどうするのだろう?

                

                 

                       猫は青果店から隣の古本屋へ、 
         
     

                     CDショップ 「雨と休日」
  ジャンルで縛らず、「穏やかな音楽」をコンセプトに店主が選んだ定番作品や季節ごとの
   お勧め作品がならぶ。

               
                 古い店に混じって、若者の店も多くある

     

                         惣菜のショップ

     
      
               ボックスアートーギャラリー雑貨店「ニヒル牛(ぎゅう)」
      小学生から年寄りまで自分の個性を発揮した作品が箱一つづつの中に展示されている

               


     

                    民家の中にぽつんとある喫茶室

               

                        シャボン玉で遊ぶ子

                  

                         一休みする老人

     

                          松庵稲荷神社

               

                        油あげが供えてあった。

                 


                 


                 


     

                     カードを取り合っているよう

     


     
          坂の上のけやき公園、「トトロの樹」と呼ばれるこの樹は西荻のシンボル
  
               

     

                   昔懐かしいアパート、名前も「弥生荘」

                


     


     

                        「えんツコ堂製パン」
      店は細い路地を入ったところにある。店を営むのは勇正久さん、玲奈さんご夫妻。
      表参道のアペティートで17年間、サンドイッチを作ったりパンを焼いたりして修行、
      昨年12月に開業。ソムリエで、サックス奏者でもあるパン職人とか。

                   

                        表通りにある小さな看板

     

                  「一草」 野草や陶磁器を販売している

     

     
                       カフェ「物豆奇(ものずき)」
             国立市の名門喫茶「邪宗門」に教えを乞い、35年前に開店
     店内には無数のランプがつるされ、針の止まった古いボンボン時計がかけられている。

                


     

                          アンティークショップ

               

               
          
                      無相創(ぶあいそう)
               オリジナル照明具・家具や革製品などの店

                  

   「ぶあいそう」とは聞き覚えのある屋号、町田市にある白洲次郎 · 白洲正子が住んでいた
   旧白洲邸が武相荘(ぶあいそう)という名であった。
   この無相創(ぶあいそう)は無限に形を創るという意味があるようである。

    
      喫茶 「どんぐり舎」 どんぐりじいとして長年親しまれた先代。次男が店を継ぎ、
      親族一同でのんびりとした店の雰囲気も引き継いでいる、自家焙煎の珈琲店

                 

                   店内には漫画や雑誌が多数置かれている。

散歩(古河)

2011年01月21日 09時30分28秒 | 散歩(1)
散歩の途中に写真を撮り、それを編集して親しい人にメールする。そんなことを始めて300回に
なった。300回の記念に少し遠出をしようと思い、今日は茨城県の古河に行って見ることにする。
大宮から東北線に乗って古河駅で下車、地元の観光マップに添って歩き始めた。歩くうちに以前
にも歩いたような気がしてくる。「まあ似たような所は何処にもある」そう思ってさらに歩いて見る。
やがて細い石畳の道の右手に古い屋敷の土塀が見え始めた。なかなか趣のある風情である。
早速デジカメを構え構図を考える。すると、「この風景は、以前にも撮ったことがあった気がする」
そんな感覚が再び起きて来た。「やはりこの古河には来たことがあるのだ。何時だったろうか?」

もう10年前から300回以上も歩いていると、何時どこに行って、どんな順路で歩いて、何を見たか、
そんな記憶はあいまいになってくるものなのだろう。しかし歩くうちにしだいに当時の状況を思い出し
「あそこの角を曲がればレンガ塀の道があるはず」そんな風に芋ズル式に思いだしてくるのである。
記憶は単独でなく、一連の関連付けの中でファイルされているのであろう。だから一旦記憶の端を
つかみ出すと、次から次へと思いだしてくるようである。思い出してしまうと同じ道は歩きたくない。
途中からコースを変え、古河の市中から渡良瀬川を渡り東武日光線の新古河駅まで歩いて見た。

帰ってから以前古河を歩いた時の写真をPCで開いて見た。やはり何処の名所旧跡も今回と同じ
ような構図で写真を撮っていた。そして日付は2007年6月になっている。3年半前のことである。
ということは3年半で「古河に行った」という記憶が飛んだことになる。やはり自分の記憶の不確か
さを認めないわけにはいかない。記憶の衰えなのか、それとも古河の街にそれほどのインパクトが
無かったからなのか。言い訳にはなるが、街並みは思いだしたのだから、街の風景と古河という
地名とがつながっていなかったのだろう。今までに買った本を読み始めたら、途中で以前に読んだ
ことがある本だと気づくことが何度かあった。今回も同じような記憶ミスであろう。タイトルと内容が
はっきりと連結されてないためのダブリ、私にはこの種の記憶の弱点があるようである。

今回はそんな古河の街の写真をアップしてみました。


駅からの散歩 No.300     茨城県古河市    1月15日

古河市は茨城県の西端に位置し、埼玉・栃木・群馬の各県に接している。万葉集にも詠まれており、
古くから関東の要地だった。室町時代後期には関東足利氏が古河公方の拠点とし、江戸時代には
土井利位ら譜代大名の城下町として、また、日光・奥州街道の宿場町として賑わい、市内を流れる
渡良瀬川は河川交通の要所とし栄えた。これら歴史的背景から北関東の小京都とも言われている。

                  
                          JR古河駅西口

                 
                             日光街道

                  
                           旧日光街道

                
          江戸末期からの創業のうなぎの武蔵屋、改築のため6月まで休業

      
                     古河藩家老 小杉監物の旧武家屋敷
   
              
            住宅地もレンガ道や石畳の道が多く落ち着いた雰囲気がある

                  
           「炎環」で直木賞を受賞の長井路子旧宅 昔は茶屋問屋だった

                
                       長井路子旧宅 内部

            
                    篆刻(てんこく)美術館 大正9年建築  

                 
       篆刻とは、印章を作成する行為、主に篆書を印文に彫ることから篆刻という。

              
   書と彫刻が結合した工芸美術としての側面が強く、特に文人の余技としての行為を指す。
          現代でも中国・日本を中心に篆刻を趣味とする人は多い。 

                                            
              篆刻美術館と古河街美術館の間の路地。レンガの壁が続く

              

              

                    
                    古河第一小学校 明治5年創設

                 
                         石畳の道が続く

      
                         鷹見泉石記念館

             
              古河藩が藩士たちのために用意した武家屋敷の一つで、
            隠居後もっぱら蘭学にいそしんだ鷹見泉石が最晩年を送った家

                  

              
                            座敷

              
                           床の間

              
                    手水鉢(ちょうずばち)に氷が張っている

          
                   鷹見泉石記念館そばの情緒ある道

              
       ふなの甘露煮製造元「ぬた屋」 ふなの甘露煮は古河の名物のようである。

                  
                           お土産屋

                  
                   街中にうなぎやの数が異常に多い。

               
                   うな丼ランチ、珈琲付きで1000円

              
                       番犬の職務に忠実な犬

                  
                      渡良瀬川に架かる三国橋

              
                  渡良瀬川河川敷の古河ゴルフリンクス

                  
                  渡良瀬川 この川が茨城と埼玉の県境

              
                      埼玉県側 東武線新古河駅


散歩

2009年04月21日 13時21分15秒 | 散歩(1)
8年前母が亡くなった。やはり母の死は大きく、心の中にぽっかりと穴があいたような空虚さを感じた。
生前最後に逢った時に「まだまだ子供に対して責任があるのだから、煙草をやめなさい」と言われた。
これを母の最後の言いつけだと思い、自分への戒めとして、母の死を機にタバコを止めることにした。
煙草を止るとやはり太り始める。そしてそのためには運動しようと思い立ったのが散歩の始めである。
歩くこと、歩き続けることは、母の死による心の空虚さを埋め合わせるためにも有効な手段であった。
歩き始めて1年も経つとこれが習慣になり、歩かなければ物足りなさを感じるようにまでなって行った。

それ以来いまだに歩いている。毎週土曜日を散歩の日とし、首都圏近郊を歩き続けている。 
バックにペットボトル(500ml)の飲料と、少しの食料を入れ、手にはデジカメを持って歩くのである。
どこかの駅に降り、時にはバスに乗り、3時間から時には5時間程度歩いて又駅に戻ってくる。
主に散歩の本を参考に、そのコースをたどっている。最初は西武線79駅全ての駅に降りて歩いた。
それから、東京、神奈川、千葉、茨城、遠くは群馬までも歩いている。延べ350回は超えるだろう。

歩くことでいろんな発見がある。白金も歩いた山谷も歩いた。銀座も歩いた熊谷も秩父も歩いた。
地域によって、そこに暮らす人々の生活様式や雰囲気や人情の微妙な違いを感じるようにもなった。
それぞれの街に商店街があり、学校があり、神社仏閣がある。そして何よりも人の住む住宅がある。
家々には庭木や鉢植えがあり、犬や猫がいる。洗濯物が干してあり、子供を叱る声が聞こえる。
見も知らぬ街の中にも自分と同じような生活がある。当たり前のようだが、それが新鮮で楽しかった。

歩き始めて間もなく、デジカメを持って、歩くようになった。目にとまるままにシャッターを押して行く。
山や川の流れを、海辺を、草花を、神社仏閣を、公園や庭園を、港や船や橋を、撮って歩いた。
そのうち、ただ風景を撮ることから、その地域の空気を写し込めないだろうかと思うようになって行く。
そのためには風景の中に人を写し込むことがてっとり早い。散歩する老人、無邪気に遊ぶ子供たち、
釣りをする人、ベンチで語り合う恋人、神社にお参りする人、お祭りで集う人、畑を耕す人、等々。
毎週撮りためた写真を編集し、仲間に散歩の記録としてメールで配信するようにもなった。
そんなことを続けて8年、首都圏の主だった散歩コースはほとんど歩いた。しだいに歩く所も写す
テーマも枯渇していき、散歩もマンネリになって来たように思う。

先日、家電量販店をのぞいてみる。コンパクトなデジカメの中で、マクロ1cmという製品を見つけた。
私のデジカメは10cmが限界、花など大写しで撮ろうと近づいてもピントが合わずボケてしまう。
今回見たデジカメは接写1cm、しかも薄くて、手ぶれ補正があり、顔認証があり、夜間でも明るい。
デジカメも日進月歩、今持ているものより数段高性能で、しかも価格も3万円を切っていた。
見れば見るほど欲しくなる。何よりもマクロ1㎝が魅力である。そう思うと、いてもたってもいられない
すぐに銀行へ行き、預金を下ろし買ってしまった。このあたりが自分でも衝動的だと思うところである。

翌日新しいデジカメを持って郊外の畑道を散歩する。道にタンポポが咲き、庭先に花が咲き乱れる。
畑には菜の花が咲き、ネギ坊主が開いている、雑木林は若葉が噴き出しもえぎ色になっている。
新しいカメラを花に近づける、接写1cm。ちゃんとピントは合っていて花は大写しになったくれた。
手当たりしだいに写して行く。撮りためたものを見てみると、今までとは全く違った世界が写っている。
こんなに近づいて見てみたら、今まで見えていなかったものが見えてくる。新しい驚きがそこにあった。
接写で見るマクロの世界がそこにある。「私は新しい武器を手に入れた」そんな気分である。
新しいカメラを持って、来週からまた散歩に出ていく楽しみが出来たように思う。