池袋三越が閉店する。入口の横断幕に《51年間のご愛顧ありがとうございました》とあった。
百貨店業界の不振、今回の金融危機、長く営業してきたこの店も又成り立っていかなくなった。
池袋には西口に東武百貨店と丸井が、東口に西武百貨店と昔は丸物という店と三越があった。
丸物は閉店し、私が東京に就職した年にパルコとして衣替えしてオープンした記憶がある。
その後それぞれに増築や改装を重ねて行き、今日までしのぎを削って闘ってきたのである。
私は西武線に隣接している西武百貨店を多く利用していて、三越にはなじみが薄かった。
三越は高級品の店という印象が強く、庶民派の私には少し近寄り硬い雰囲気もあったように思う。
三越は三井家の「三」と江戸時代からの呉服商越後屋の「越」とをとって命名されたという。
その三越百貨店が日本橋に日本で初めての百貨店としてオープンしたのが100年前。
高級百貨店として高島屋と並び日本を代表する百貨店として長い間百貨業界に君臨していた。
三越の包装紙は一つのステータスシンボルであり、庶民的にはなかなか近寄りがたいものもあった。
そんな三越も一時の隆盛はなくなり、地方の小型の支店から順次閉店して、歯止めがかからない。
そしてとうとう生き残りをかけて、昨年4月に三越と伊勢丹とが経営統合することになったのである。
新宿三越が大塚家具になり、横浜三越、吉祥寺三越がヨドバシカメラになったことは知っていた。
ネットで調べると、他に滝山、上大岡、武蔵村山、名取、金沢、岐阜、神戸、奈良、大阪、枚方、
倉敷と数多くの支店が閉鎖して行き、今年は池袋店に続き、鹿児島店も閉店になるようだ。
なぜここまで、三越が、いや三越だけでなく百貨店業界全体が低迷していくのであろうか?
私が子供の時代は物を買うのは生鮮の市場と町の小売店と駅前にあった大丸百貨店だけであった。
それが、流通革命と称しスーパーマーケットが乱立し、次第に大型店になって郊外型になっていった。
それにつれて、街の個人商店が立ち行かなくなり、1軒また1軒と店をたたんで行くことになる。
やがてコンビニエンスが台頭し、小売店は壊滅的になり、商店街はシャッター通りと化したのである。
一方郊外に大きなショッピングモールやアウトレットが出来、車社会に適応した小売形態も発展する。
さらに通販が広がりを見せ、ネット通販やネットオークションが芽生えて、その選択肢は限りなく多い。
時代の変化の中で、消費者の消費意識も日々変化していった。
昔は耐乏生活の中で、物に対する憧れがあり、買い物することが楽しみで、喜びでもあった。
百貨店で買い物をする、買い物ができるということは一種のステータスであり、ハレの日でもあった。
親に「今日はデパートに行くぞ」と云われれば朝からウキウキし、一番いい服に着かえたものでる。
そんな時代から消費というものが当たり前になって来て、物に対する執着も薄くなってきたように思う。
次から次へ新しいものが出てきて、市場に物があふれかえり、売らんかなの圧力が高まっていく。
もう昔のように、物に対しての、期待も感動も無くなってしまっても仕方がないように思う。
私自身も思う、「もう物はいらない」と。
食べるもの、着る物、最低限必要なものだけで良い、そしてそんなに贅沢をしようとは思わない。
後は自分の趣味に合わせて、時々欲しいものがある。それを丁寧に吟味して買い、大切に使いたい。
それは私が歳をとってきて、将来に対して広がりがなくなったせいだけでもないように思う。
息子や娘を見ていても物のは買わないし欲しいとも言わない。まだ物欲があるのは女房だけである。
多くの人々が物を所有するめにお金を使うのではなく、生活を楽しむためにお金を使うようになった。
それが今の人々のマインドであり、そこに今回の金融危機が拍車をかけた。
したがって、金融危機が収まって世の中がまた元の流れに戻ったとしても、消費は物には向かわず、
生活をエンジョイするため、生活の質を高めていくためのにお金が流れていくように思うのである。
旅行や音楽や美術や映画、習い事や勉強やスポーツやボランティア等々、より自分の暮らしを
豊かにしてくれるだろう手段に対してお金が流れていくように思うのである。
言ってみれば昔の町の小売店が変化についていけず、多くの商店がシャッターを閉めたように、
今の百貨店の凋落は相変わらず物販に頼って、消費者の心の変化に着いていけていないと思う。
三越池袋店の後は家電量販店最大手のヤマダ電機が入るようだ。
売り場面積が約2万5000平方メートルと、家電量販店としては国内最大級となるという。
ヤマダ電機は池袋は2店目、ビックカメラは池袋に本店があり駅周辺に5店舗展開している。
昔の百貨店の競争が、スーパーの競争になり、コンビニの競争になり、今は家電量販店の競争。
ある程度この競合が行きついてくれば、今度はまた別の業態が現れるのかもしれない。
平家物語の、「おごれる人も久しからず、ただ春の世の夢のごとし、たけき者も遂には滅びぬ、
盛者必衰の理をあらわす」ではないが流通業界には勝者はいないのであろう。
三越の入口にある見慣れたライオン像、これも閉店セールが終われば撤去されるのであろう。
ロンドンのトラファルガー広場にあるネルソン提督像を囲むライオン像がモデルとされというこの像。
一頭一頭、消えて行く。そろそろ絶滅危惧種になるのではないかと心配でもある。
百貨店業界の不振、今回の金融危機、長く営業してきたこの店も又成り立っていかなくなった。
池袋には西口に東武百貨店と丸井が、東口に西武百貨店と昔は丸物という店と三越があった。
丸物は閉店し、私が東京に就職した年にパルコとして衣替えしてオープンした記憶がある。
その後それぞれに増築や改装を重ねて行き、今日までしのぎを削って闘ってきたのである。
私は西武線に隣接している西武百貨店を多く利用していて、三越にはなじみが薄かった。
三越は高級品の店という印象が強く、庶民派の私には少し近寄り硬い雰囲気もあったように思う。
三越は三井家の「三」と江戸時代からの呉服商越後屋の「越」とをとって命名されたという。
その三越百貨店が日本橋に日本で初めての百貨店としてオープンしたのが100年前。
高級百貨店として高島屋と並び日本を代表する百貨店として長い間百貨業界に君臨していた。
三越の包装紙は一つのステータスシンボルであり、庶民的にはなかなか近寄りがたいものもあった。
そんな三越も一時の隆盛はなくなり、地方の小型の支店から順次閉店して、歯止めがかからない。
そしてとうとう生き残りをかけて、昨年4月に三越と伊勢丹とが経営統合することになったのである。
新宿三越が大塚家具になり、横浜三越、吉祥寺三越がヨドバシカメラになったことは知っていた。
ネットで調べると、他に滝山、上大岡、武蔵村山、名取、金沢、岐阜、神戸、奈良、大阪、枚方、
倉敷と数多くの支店が閉鎖して行き、今年は池袋店に続き、鹿児島店も閉店になるようだ。
なぜここまで、三越が、いや三越だけでなく百貨店業界全体が低迷していくのであろうか?
私が子供の時代は物を買うのは生鮮の市場と町の小売店と駅前にあった大丸百貨店だけであった。
それが、流通革命と称しスーパーマーケットが乱立し、次第に大型店になって郊外型になっていった。
それにつれて、街の個人商店が立ち行かなくなり、1軒また1軒と店をたたんで行くことになる。
やがてコンビニエンスが台頭し、小売店は壊滅的になり、商店街はシャッター通りと化したのである。
一方郊外に大きなショッピングモールやアウトレットが出来、車社会に適応した小売形態も発展する。
さらに通販が広がりを見せ、ネット通販やネットオークションが芽生えて、その選択肢は限りなく多い。
時代の変化の中で、消費者の消費意識も日々変化していった。
昔は耐乏生活の中で、物に対する憧れがあり、買い物することが楽しみで、喜びでもあった。
百貨店で買い物をする、買い物ができるということは一種のステータスであり、ハレの日でもあった。
親に「今日はデパートに行くぞ」と云われれば朝からウキウキし、一番いい服に着かえたものでる。
そんな時代から消費というものが当たり前になって来て、物に対する執着も薄くなってきたように思う。
次から次へ新しいものが出てきて、市場に物があふれかえり、売らんかなの圧力が高まっていく。
もう昔のように、物に対しての、期待も感動も無くなってしまっても仕方がないように思う。
私自身も思う、「もう物はいらない」と。
食べるもの、着る物、最低限必要なものだけで良い、そしてそんなに贅沢をしようとは思わない。
後は自分の趣味に合わせて、時々欲しいものがある。それを丁寧に吟味して買い、大切に使いたい。
それは私が歳をとってきて、将来に対して広がりがなくなったせいだけでもないように思う。
息子や娘を見ていても物のは買わないし欲しいとも言わない。まだ物欲があるのは女房だけである。
多くの人々が物を所有するめにお金を使うのではなく、生活を楽しむためにお金を使うようになった。
それが今の人々のマインドであり、そこに今回の金融危機が拍車をかけた。
したがって、金融危機が収まって世の中がまた元の流れに戻ったとしても、消費は物には向かわず、
生活をエンジョイするため、生活の質を高めていくためのにお金が流れていくように思うのである。
旅行や音楽や美術や映画、習い事や勉強やスポーツやボランティア等々、より自分の暮らしを
豊かにしてくれるだろう手段に対してお金が流れていくように思うのである。
言ってみれば昔の町の小売店が変化についていけず、多くの商店がシャッターを閉めたように、
今の百貨店の凋落は相変わらず物販に頼って、消費者の心の変化に着いていけていないと思う。
三越池袋店の後は家電量販店最大手のヤマダ電機が入るようだ。
売り場面積が約2万5000平方メートルと、家電量販店としては国内最大級となるという。
ヤマダ電機は池袋は2店目、ビックカメラは池袋に本店があり駅周辺に5店舗展開している。
昔の百貨店の競争が、スーパーの競争になり、コンビニの競争になり、今は家電量販店の競争。
ある程度この競合が行きついてくれば、今度はまた別の業態が現れるのかもしれない。
平家物語の、「おごれる人も久しからず、ただ春の世の夢のごとし、たけき者も遂には滅びぬ、
盛者必衰の理をあらわす」ではないが流通業界には勝者はいないのであろう。
三越の入口にある見慣れたライオン像、これも閉店セールが終われば撤去されるのであろう。
ロンドンのトラファルガー広場にあるネルソン提督像を囲むライオン像がモデルとされというこの像。
一頭一頭、消えて行く。そろそろ絶滅危惧種になるのではないかと心配でもある。