60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

糖質制限

2016年02月26日 08時46分41秒 | 日記
 女房はよくテレビの健康番組を見ている。そこで色んな情報を得て健康に前向きな「気」になっている。しかし健康番組で言っていたことを聞いているだけで、それを取り入れて健康管理しているのは見たことがない。「知っていること」と「やれる」ということは別モノ、と言われるように知識を得て安心しているだけなのであろう。
 
 世の中にあふれている医学や健康に関する情報は玉石混合である。これが体に良いと聞けばそれを食べ、あれが体に悪いと聞けばそれを食べないようにする。しかし当事者はどういう根拠があって、体の何に良いのか悪いのかは全然分かっていないことが多い。10年前まで常識だと思われていたことが、今は軒並み打ち消され正反対になって行く、これが今の栄養学である。例えば、「正しい栄養バランスで食事を摂りましょう」といわれるが、そもそも本当に万人にとって正しい栄養バランスなどと言うものは分かっていない。個々人の体の状況に合わせ、その人がもともと食べていたものや、その嗜好を参考にして、そこから何を増やしたり減らしたりすれば良いかを考えるべきなのであろう。個人の栄養バランスの基準はあっても、医療従事者が万人に向かって提唱できる「理想の栄養バランス」というものは存在しないようである。
 
 私は10年前から「糖質制限」に興味を持ち、食事ではなるべく糖質は摂らないように心がけている。その切っ掛けは、私の友人が「境界型糖尿病」と診断され、医者から言われたカロリー制限を伴う食事療法はせず、当時話題になり始めた「糖質制限」を始めた。その結果、医者が驚くほど数値は改善され、肥満もなくなり、その後も真性の糖尿病にはなっていない。その話を聞いて糖質制限に関する本を読み、その理屈に納得してからは、なるべく糖質を抑えることを意識している。
 
 そんなことから、今回本屋で「糖質制限の真実」(山田悟著)という新書を見つけ読んでみた。以下、本に書いてあることを抜粋してみる。
 
 生活習慣病は、糖尿病と高血圧と脂質異常症の3つで8割を占めるといわれる。著者は糖尿病専門医であるということから糖尿病に限定すると、6人に1人が血糖異常者、40歳以上に限定したらおおよそ3人に1人が糖尿病予備軍という。したがって糖尿病予防が大きく生活習慣病の改善につながってくることになる。
 
 糖尿病とは、我々が摂取するでんぷんなどの糖質(炭水化物)が消化され、ブドウ糖となり血液中に運ばれる。人間の血糖値を下げるホルモンはインスリンだけであり、そのインスリンがすい臓から分泌されないとか、その量が不足しているとか、分泌されているのに十分に作用しないなど、様々な原因で慢性的に血糖値が高くなるのが糖尿病である。糖尿病になると、ブドウ糖がエネルギーを必要としている細胞の中に運ばれなくなり、血液の中にあふれ血糖値が高くなる。この高血糖が長期間続くと、全身の血管がダメージを受け続け、様々な合併症を引き起こす原因となる。
 
 欧米の人はインスリンを出す力が強く、太っていなければ食べても食べても充分なインスリンが出るため、血糖は上がりにくい。したがって欧米人は太っていれば糖尿病のリスクは高いが、太っていなければリスクが少ないという分かりやすさがある。一方日本人(東洋人)はそもそもインスリンを出す力が弱く、肥満になる前に血糖が上がってしまう人がたくさんいる。事実日本人の場合、糖尿病を発症する人の半分は肥満ではない。
 
 糖尿病になる人の原因でまず、父母に糖尿病の人がいる場合は遺伝的になりやすい。次に普段から高糖質のものを過剰に食べている人で、3つ目は加齢により糖尿病のリスクは高くなる。それは若い人に比べて高齢者の方が、すい臓からのインシュリンを分泌する能力が衰えきて、血糖値が上がりやすいからである。したがって高齢になれば毎日の食事を低血糖なのもにし、トレーニングしてある程度の筋肉量を保っていれば、すい臓もアンチエイジングができて、血糖値が上がりにくい体になる。
 
 糖質とは、1gあたり4キロカロリー以上を持っているものが糖質、持っていないものが食物繊維と呼ばれ、炭水化物というのは、糖質と食物繊維を足したものである。
 
 体にとっては高血糖そのものも、血糖の上下動もよくない。血糖の上下動が大きければ大きいほど、多くの脳細胞が死に、認知機能が低下するので、血糖値は上がってから抑えるよりも、最初から上がらないようにする方が望ましい。糖質摂取量を少なくし、必要最小限のインシュリンで血糖値をなだらかに保っていくというのが、体には一番負担が少ない方法である。また食事をする順番も大切で、野菜が最初である必要はなく肉や魚が先でもOKであるが、糖質を最後にお腹に入れる(カーボラスト)にすることで、血糖値の急激な上昇を抑えることができる。
 
 穏やかな糖質制限が健康に一番良いといえるのだが、では糖質をどのぐらいにすれば良いかということになる。現在の日本人の糖質摂取量は平均1日270g~300gであるが、これを1日に半分以下の70g~130gにすれば良いと思われる。具体的には1食あたり6枚切りの食パン1枚、ご飯であれば小さめな茶碗に小盛(70g)、麺であれば半玉程度が望ましい。しかし、それではお腹が空くので、糖質の少ないおかずをお腹一杯食べても構わない。お酒はビールや日本酒ではなく、ウイスキーや焼酎の蒸留酒であればOKである。
 
 2008年に世界ナンバーワンの臨床医学雑誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された試験では、過去に健康に良いとされた「脂を控えてカロリーを控えるグループ」と、地中海食の「カロリーは控えて脂は食べるグループ」と、「カロリーは気にせず糖質だけを控える糖質制限のグループ」を比べた。その結果もっとも効果のあったのは糖質制限のグループだったそうである。また血中の中性脂肪を一番下げたのも、動脈硬化の発症リスクを下げたのも、やはり糖質制限だったとされた。したがって、カロリー、たんぱく質、油脂の摂取量の面倒な計算をしなくても、低糖質にしてさえいれば、血中の脂も根こそぎよくなり、体重、脂質、血糖が改善できるという。今では糖質制限は民間療法扱いから、確固たる根拠のある効果的な食事療法であることが証明されたていることになる。
 
 昔から「健康のためには油はなるべく控えた方が良い」と言われ続けているが、これからは油を控えるという話は無くなっていく。少なくても一般的な油、植物性の油、オリーブオイルは積極的に摂った方が良い。糖尿病とも関連深い動脈硬化の予防のためには、積極的にバターなどの油脂は摂った方が良いというのは最新の考え方である。今までは卵やバターなどを控えることで、血中のコレステロール値が下がり、心臓病の予防につながるとされていたが、食べるコレステロールを控えても血液中のコレステロールは下がらないと言うことが明らかになった。唯一トランス脂肪酸と過酸化脂質と呼ばれる古くなった油はやはり危険性があるというのが今の見解である。またカロリー制限は骨密度を落としアンチエージングどころではなく、エイジングを促進することになるそうである。
 
 
 ※お酒でも乳製品でも多くの食品が、カロリーオフ、脂肪ゼロ、糖質00%カットなどとアピールしている。果たしてそれは健康に良いことなのかと考えると、何となく「良さげ」と思ったり、メーカーがそう言っているから体に良いのだろうと思ったり、はっきりした根拠も無く、ただ漠然と買っているのかもしれない。例えば分子生物学の本によると、コラーゲンを摂ったからといって、人のコラーゲンに変わることはありえないと言う。それと同じように、脂肪を摂ったから体に脂肪が多く付くわけではない。体脂肪は使われなかった糖質がエネルギーの貯蔵のために脂肪に変わるわけで、脂肪の摂取を減らしても、体に溜まった中性脂肪を減らす事は出来ない。大切なのは糖質(炭水化物)の摂取を減らすことなのである。

 「自分の健康は自分で守る」、そういう観点からすれば、ただ言われることを鵜呑みにするのではなく、何が正しいのかは自らが勉強し、自分の健康管理に取り入れていく方が面白し持続するように思うのである。
 
 

孤立

2016年02月19日 08時34分29秒 | 日記
 先日30~40代の頃、会社で一緒だった仲間で集まった。もう30年会っていない人も、2~3年に一度会っている人もいる。この歳になって集まれば、まずそれぞれの健康状態の確認から始まる。そしてもう一つが昔の仲間たちの消息の確認になる。30年前一緒に働いた仲間もそれぞれの相性があって、その人独自のネットワークが確立されている。そんなネットワークの情報を持ち寄れば、疎遠になっていた仲間たちの消息も広範囲に分かってくる。
 
 「そういえば○○は今どうしている?」、「○○は△△達と定期的にゴルフに行っているらしいよ」、「XXは昨年すい臓がんで亡くなったそうだ」、「□□は奥さんを亡くして、今は一人で暮らているらしいよ」等々、それぞれが持っている情報を交換しあい、自分の情報を更新して最新のものに置き換えていく。今ならSNSで情報の取得ができるのだろうが、我々の年代はアナログな飲み会での情報交換が主流である。
 
 集まった6人の共通の知人は70~80人だろうか。しかし6人ともがその後の詳しい消息を知らない人がいた。「◎◎は今どうしているのだろう?」、「彼とは数年前まで年賀状の交換をしていたが、今は途絶えている」、「昔の仲間の会合にも一切出てこないから、どうしているかわからない」、そんな風にネットワークの中には引っかからない人が何人か出てきた。「彼は自分勝手でわがままな奴だった」、「彼はしたたかな男だったよなぁ~」、・・・・皆が語るその人の性格は大体共通の認識である。
 
 何人か上がった消息の分からない人達、その多くは会社の中で出世した人に多い。そしてその人達は共通して仲間意識が欠如しているように思えるのである。例えば、上司には平身低頭するが部下や目下にはやたら偉ぶる人。自己保身のためにはその場限りの嘘をつき、仲間をも裏切るタイプ。人事評価を餌に公私混同して部下を使う人、人を下に見、やたら尊大な態度を取る俺様タイプ、等々である。基本的には協調性がなく、自分の出世栄達のためにはなりふりかまわない人である。
 
 組織の中では当然競争がある。会社の中で生き抜き出世を目指せば、和気藹々と言うわけにも行かず、敵も見方も派閥も出来てくる。その中で自分をどう処していくのか、その人の人間性が出てくることになる。今までの私の経験からすると、出世する人には大きくは2つのタイプあるように思う。一つは組織の中を上手に泳ぎ回る人、もう一つは能力もあり人一倍努力もする人である
 
 会社の中では利害得失があるから、そこでの人間関係も形だけのものも多く存在する。上手く世渡りしてきた人はどちらかと言えば似非(エセ)の人間関係で成り立っていたように思うのである。組織にいる間はそれはそれで通用しても、一旦組織を離れてしまえば、その関係は何の効力も持たないことになる。一般的に組織を離れ時間が経つと会う機会も少なくなり、今までの人間関係も途絶えがちになるが、そういう人はそれがさらに顕著になり、孤立して行くように見える。
 
 話は変わって、相手の気持ちが読めず独善的な物言をして相手を怒らせ、次第に付き合う仲間がいなくなり孤立している知人がいる。先日ひょっこり彼と駅で出くわし喫茶店で話した。その時こんな話をしていた。「俺は昔と同じように接しているのに、相手が用事を入れて会おうとしない。仕事を離れてしまえば、みんな冷たいもんだよ」、「リタイアしてから山登りが唯一の楽しみだったが、去年の秋に足を痛めて登ることができなくなった。今は散歩するぐらいで、何んの目的も無くほとんど人にも会っていない。女房もパートなので家に一人でいると、それが自体がストレスになる」、ストレスが高じてか酒の量が増え、ストレスが原因なのか最近ドライマウスで、夜何度も起きるようになったと話していた。
  
 大勢の人の中で何十年と仕事をしていたのに、急に仲間を失い孤立していくことでのストレス、それは分かるような気がする。いずれ自分自身もそうなる日が来るのだろう。ある先輩によると、「老後の付き合いもあまり多いとお金が掛かる。出来れば3~4人ほど本当に親しい人がいれば、いろんな意味で助けになる」と言っていた。以前このブログにも書いたことがあるが、ある高齢の女流作家の老後対策の話で、「いつ一人になるかもわからないから、自分の事は自分で出来るようにしておくこと」、「歌を唄うことでも、物を作ることでも何でも良いから、自己表現の手段を持っておくこと」、そして「孤立しないように自分のネットワークはしっかりもっておくこと」と言っていた。やはりこの3つは老後の必須条件のように思われる。


 




散歩(稲田堤~登戸)

2016年02月12日 08時17分24秒 | 散歩(6)
 郊外の散歩はなるべく同じコースを歩かないことを基本にしている。そんな自主ルールがあるから最近は歩く所に困っている。 先日南武線登戸駅構内の案内所で散歩コースの地図が置いてあり、その中のにあった新しいコースを何枚かをピックアップしておいた。今日はその中の1枚、南武線稲田堤から小田急線の読売ランド前までのコースを歩くことにした。
 
 稲田堤駅で友人と待ち合わせ、地図に沿って歩き始める。歩いているうちに見覚えのある風景に出くわす。そして歩くほどにこのコースは以前歩いたことを確信するようになる。何年か前に他のガイドブックで歩いていたのである。10年以上前から関東近県を600回以上歩いていると、自分が何処を歩いたのかあまり詳しくは覚えていない。読んだことのある文庫本をまた買ってしまうようなもので、こんなことは今までにも何回かあった。
 
 以前のコースと多少は違うが90%同じコースをたどって読売ランド駅まで歩いた。所要時間は約2時間、地図には健脚(3時間半)コースと書いてあるから、この地図は結構いい加減な地図である。たぶんこの地図を作った人は実際に自分で歩いていないのであろう。2時間では物足らないからと友人と相談して、向ヶ丘遊園の日本民家園(4回目)を回って登戸まで歩くことにした。トータル5時間約3万歩である。
 
    
 
                            長松寺
 
            
 
                         六地蔵
   六地蔵は仏教の六道輪廻の思想(全ての生命は6種の世界に生まれ変わりを
      繰り返すとする)に基づき、6種の地蔵が救うとする説から生まれたもの、
 
    
 
                            薬師堂
 
            
 
                       ここにも六地蔵
 
    
 
                       小沢城址への山道
 
    
 
               
 
                          小沢城址
 
    
 
            
 
                      とぐろを巻いたような樹
 
            
 
                   しつこく落ちずに残っている枯葉
 
    
 
                            寿福寺
 
              
 
                             六地蔵
 
    
 
                        多摩自然遊歩道   
 
       
 
                        多摩自然遊歩道  
 
    
 
         以前歩いたときの写真から描いた、同じ場所からのスケッチ(水彩)
 
    
 
                        多摩自然遊歩道  
 
    
 
                        川崎市岡本太郎美術館
 
         
 
    
 
         背の高い木は生きている化石といわれるメタセコイヤ(曙杉)
 
    
 
                        日本民家園奥門
                茅葺屋根の民家を20棟以上を展示してある
 
            
 
                        山形県鶴岡の寄棟造
 
        
 
     
 
                   ボランティアの人が囲炉裏を焚く  
 
             
 
             
 
                    ボランティアによる藁細工の実演
 
    
 
                         白川郷の合掌造
                     一階が蕎麦屋になっている
 
             
 
    

                    2棟とも富山県南砺市の合掌造
 
    
 
                以前同じ場所からのスケッチ(水彩色鉛筆)
 
    
 
    
 
                      屋根の葺き替え工事中
 
    
 
                         日本民家園正門








散歩(芦ヶ久保の氷柱)

2016年02月05日 08時37分39秒 | 散歩(6)
 週末の金土は雨だったが、日曜日は朝から晴れてきた。家にじっとしているのも勿体無いので西武線の駅で宣伝していた「芦ヶ久保の氷柱」を見に行くことにする。芦ヶ久保は西武池袋線の飯能で乗り換え、西武秩父駅の二つ手前である。自宅の最寄駅から各駅停車で約1時間、駅に着くと1週間前に降った雪がまだたっぷり残っていて雪国へ来たようである。駅から案内のノボリ旗に沿って歩くと12~3分で現地に到着した。入り口で協力金(200円)を払い小さな沢を登っていく。道を取り囲む山肌にはビッシリと氷が張り付いている。氷は大きなツララが幾重にも重なって、不規則に盛り上がりながら谷間全体を被っていた。360度氷に被われた世界、足元からジワジワと冷えてきた。
 
    
 
                           芦ヶ久保駅
 
    
 
             1週間前に降った雪はまだたっぷりと残っている
             
    
 
                        駅前
 
    
 
                      芦ヶ久保駅
 
    
 
               駅から遊歩道を氷柱を目指して歩く
 
    
 
           
 
                 入り口で協力金200円を払う
 
    
 
                  西武線の線路を山側へ    
 
    
 
                    ここから氷の世界
   
    
 
    
 
    
 
      
 
    
 
    
 
            
 
    
 
            
 
            
 
    
 
    
 
    
 
            
 
    一番上に暖がとれる休憩施設があり、地元の人が甘酒を振舞っていた。
     そこにいたボランティアの人に、氷柱をどうして作るのか聞いてみた。
 
 昔、芦ヶ久保は川の水を張って天然のスケートリンクが出来るほど寒かった。しかし近年は温暖化でそのようなことは無くなったが、山の北側は日が当たらず相変わらず寒冷地である。そこで町興しの一環で映画「アナと雪の女王」をヒントに3年前に氷柱の催し物を計画した。沢の上から穴の開いたパイプ(5本?)を引き、寒い夜に水を流し噴水のように水を放出する。出来た氷柱を何日もかけて成長させ、このようにするのだと云う事であった。
 
    
 
    
    

              山の北側は日が当たらず雪が残っている

 
     折角ここまで来たので隣の横瀬駅まで行き、雪の残る田園を歩いてみた。
    
    

                       横瀬の農家
 
           
 
            
 
    
 
    

                        東林寺
 
                     遠くの山は武甲山
 
    
 
    
 
    
 
                       横瀬駅
 
            
    
 
            
 
                  レールに自分を映しているのか?
 
            
 
                野鳥も冬の時期は厳しいように見える