1月11日(水)
自分で言うのも何だが私はけっこう読書家で、週に2~3回は街の図書館へ出掛けている。・・・(「寝に行ってるんだろ」と言うのはどこのどいつだ。)好みの本は登山絡みの小説やドキュメンタリー何だけど、腐るほど暇があるから長編小説も嫌いでは無い。
先日原田マハさんが書いた「生きるぼくら」と小説を何気なく借りて読んだが、これが衝撃的に面白く感動的な本だった。久々に涙腺を刺激して目頭が熱くなってしまった。
物語の主人公「麻生人生」はどうしようもない引き籠り青年で母親にパラサイトして生きている。しかしその母にも見放され、行き詰った人生は藁をも掴む思いで信州蓼科に住む祖母の家を目指す。
奥深い山中で一人有機農業を営む祖母は、温かく彼を迎える。祖母宅には、血の繋がらぬ義妹の「つぼみ」という少女が身を寄せていた。天涯孤独で人嫌いのつぼみと最初は打ち解けない仲だった人生だが、祖母を助けながら一緒に暮らすうちに少しづつ仲良くなっていった。
優しい祖母であったが、やがて認知症が進み、農作業ができなくなる。そんな祖母を介護しながら、人生とつぼみは周りの人の助けを借りて必死に祖母の農業を護っていく。
そして秋になり、祖母の田圃に美味しいお米が沢山実った。収穫する人生とつぼみの姿は逞しく昔の面影は無い。固い絆で結ばれた二人は、祖母を護って力強く生きようとするのであった。
世間に心を閉ざしていた無力な二人が成長していく過程がとても感動的で、幸せな気分になれる温かい物語だ。一気に読み終えて、これで終わりなのかと淋しくなった。
願わくば、この先の物語も読んでみたい。原田マハさん続編を書いてくれないだろうか。原田マハさんの事は今まで存じ上げなかったが、この本で一変にファンになった。彼女の他の著書もぜひ読んでみたいものだ。