「野菜が無くなったから買い出しに行って」という妻の要請に従って、我が家から車で10分ほどの市内の高倉JA農産物直売所へ出掛けた。商品棚には冬物を中心に色とりどりの野菜が販売され、多くの買い物客で賑わっていた。
店内をうろついていると片隅の目立たぬ一角に規格外品コーナーがあり、形が不揃いの野菜や果物が30~60円の捨て値で売られていた。味と新鮮さは変わらぬのに、外見の悪さだけで差別されている。「ルッキズムの偏見ではないか」と、何だかそれらの品々が哀れに思えてきた。
思い起こせば若かりし頃の私も、どす黒い顔色と寅さんばりの四角い容貌でルックスには自信が無く、異性との縁が薄い寂しい青春時代を過ごした。その負のエネルギーが、私を山へ向かわせたとも言えるのですが。
規格外商品の陳列棚に立ち止り、手にする客は殆どいない。見た目の悪さで相手にされないのは私の青春時代と似ているようで、同情の念を禁じ得ない。「食材は見た目じゃネー。コスパが一番」そんな奇特なお客に買われて、美味しい料理に変身し最後の一花を咲かせて欲しいと秘かに願いました。