透明な気圏の中から

日々の生活の中で感じたこと、好きな作家についての思いなどを書いてみたいと思います。

「ルートヴィヒ2世」を見て

2014-01-13 17:39:32 | 日記

雪。最低気温-12.7℃、最高気温-7.2℃。

 昨日は映画漬けの一日となった。10分ほどの休憩をはさんで、2本目の映画を見ることにしたからだ。大麻駅は午前中吹雪模様でなはかったにもかかわらず、江別・札幌間の快速列車が1本運休していた。札幌は少し吹雪模様だったが、一旦、映画館に入ると中は無風で暖かだった。だからというわけではなく、この映画館に再び来ることを思うと、見ておきたかった。以前から興味を惹かれていたルートヴィヒ2世の映画が上演されていることを、館内の掲示物でたまたま知ったからだった。

 ルートヴィヒ2世の国王即位から晩年までが描かれた本作品は、ドイツ映画界が20億円もの製作費をかけたというだけあり、美しい映像で織りあげられたセンセーショナルなエピソードの数々に、魅せられる2時間半だった。

 美貌で191㎝の長身の皇太子が父の突然の死により、若干18歳で国王の座に就くことになった。彼が就任した頃のバイエルンはドイツ連邦の統一をめぐる主導権争いにより、戦争が避けられない状況にあった。にも拘わらず、彼は国民の安全に必要なのは、軍事力ではなく、芸術だと主張し続ける。ワーグナーに心酔していたこともあり、当時、個人的にも政治的にも評判を損ねていたこの音楽家を宮廷に招き入れ、破格のもてなしをする。しかし、状況が深刻となる中で国務を遂行せざるを得なくなり、ワーグナーと決別することになっていく。

 理想は現実に阻まれていくのだが、いつまでも白鳥の騎士・ローエングリンのようでありたいと願い続けるルートヴィヒ2世。芸術家タイプであり、天賦の才能を有していた彼が、狂気に囚われるかのごとくに創造していく宮殿の数々は、今日、観光の目玉となっているのはなんだか皮肉だ。殊にノイシュヴァンシュタイン城はおとぎの国の世界を彷彿とさせ、観光客の憧れの地となっている。私も行ってみたいところだ。

 ルートヴィヒ2世は夢を追い続けた薄幸の国王として、時代が生んだ不世出の人物といえるであろう。謎に満ちた最期とともに突出した数々の魅力は永遠に褪せることはないとこの映画を観て思った。

                           

                          

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