晴れのち雪。最低気温-8.2℃、最高気温-3.0℃。
最高気温が氷点下3.0℃と真冬日となった本日。
午後から吹雪模様となり、近所の公園も雪のベールに包まれていました。
お出かけはせずに録画していた黒澤明監督の「生きる」を見たりとのんびり過ごしました。
1952年に公開された映画だそうで、主演は志村喬、モノクロです。
何気なく見始めたものの、2時間以上の長さだったにもかかわらず、最後まで見てしまいました。
市役所の課長である主人公が胃癌で半年の命と知り、数日間、役所を休んで遊び歩くなどのふるまいを試みるも、何のために生きるのかに目覚めることになります。
市民課の課長として、市民公園の整備を求める女性の訴えに立ち上がることになるのです。
圧巻は彼の死後、葬儀に集まった市役所職員たちの本音が語られるシーンです。
助役は自分が公園を蘇らせたのだと言い張り、多くの部下たちもそれに異を唱えることをせずにいる中、一人だけ彼が一番の功労者だと訴えるのです。
続いて、赤ちゃんを背負った方を含む数名の女性たちがお焼香を願い出て、涙ながらに感謝の意を表している姿が映し出されました。彼女たちこそ、公園整備を訴え続けていた市民です。
さて、助役が帰った後、その場に残った職員たちがそれぞれに、主人公が公園整備のために必死に行ったことがらを思い出すのです。
たらい回しにされていた公園整備の計画書を持って、各課にハンコをもらいに回る姿。助役の部屋の前では反社会的な集団の脅しにも非暴力を貫いて負けなかった姿が回想シーンとして描かれていました。
「何もしないのが役所の仕事」という雰囲気に抗い、静かに粘り強く市民のために動いた課長職だった主人公の姿を通して、「生きる」ことの主軸をどこに置くかが示されていたのだと最後まで見て思いました。
無粋でひたむきな主人公役の志村喬の演技は渋さと凄みが滲み出て、何とも味わい深いものでした。
雨の中でブランコに乗りながら、喉から絞り出すように口ずさんでいた「ゴンドラの唄」が印象に残っています。
ネットによると、この作品は第4回ベルリン国際映画祭でベルリン市政府特別賞を受賞したとのことです。
それでは今日はこの辺で。
明日が皆様にとって良い一日となりますように・・・・。