( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54251261.html からの続き)
浅間山荘事件が起こる直前、
永田と森は 偵察という名目で 一時山を下り、同衾します。
(同志の男女が キスしただけで処刑した この二人が。)
永田は 前夫の赤軍書記長・坂口と別れ、森と結婚することにします。
ところがこの間に、二人は警察に通報され、あっけなく 逮捕されてしまいます。
そして 山に残されたメンバーのうち5人が、
警察の追手を逃れて 浅間山荘に立てこもることになります。
(うち二人は未成年、一人は現役高校生でした。)
人質になった 山荘管理人の妻に対して、メンバーは 彼女を絶対に傷つけない,
警察が攻めてきたら 全力で守る、と約束します。
同志で “総括” を行なってきた 彼らは、
民間人を犠牲にしないという 信念を守ったのでした。
そこに彼らの 最後の純粋さを見て取ります。
しかし、元々の理念は 崇高だったはずなのに、
その方法論が 恐ろしい異形のものへと 変容していってしまったのです。
獄中の森恒夫は、司法の裁きの前に 自ら命を絶ちます。
やはり 己の運命に立ち向かえずに 逃げた、弱い人間だったのでしょう。
永田洋子は 死刑が確定し、現在も勾留中です。
山荘に立てこもった メンバーの中で、書記長の坂口は死刑確定。
現在、再審請求中です。
残りは 有期懲役刑になっています。
この事件を境にして、学生運動は 急速に下火になっていきました。
人間は常に、振り子の揺り戻しを 繰り返すのでしょう。
その点は ボーダーの人も似ているようです。
時代はその時によって 様々な現れ方をするわけですが、
人間の本質は 通ずるものがあるのかもしれません。
出演者である 現代の若者たちは 初め、
連合赤軍の兵士たちの心情が 全く理解できなかったといいます。
しかし 若松監督の下で、懸命に彼らの心裏に 近づいていこうとしました。
この映画を見る若者も、なかなか理解できないかもしれません。
けれども事件から、人間の心の闇にあるものを 学びとっていくため、
この歴史のひとコマを 風化させてはならないでしょう。
若松監督の執念が 刻み込まれた作品だと思います。