刑務所で過ごす受刑者に、 贖罪の意識は芽生えるのか、
刑罰の意味を考えていきます。
2007年、 徳島刑務所の作業工場で 非常ベルが鳴りました。
作業をしていた 受刑者63人の約半数が暴れ、
刑務官を殴ったり 倉庫に閉じ込めようと殺到し、 はさみを突きつけたりしました。
刑務官4人が負傷し、 受刑者17人が 傷害罪などで実刑判決を受けました。
元刑務官は 「前兆はあった」 と言います。
徳島刑務所は 長期刑の再犯者ばかりを収容しています。
受刑者数は 収容定員を大幅に超え、 暴力団関係者が56%に上りました。
工場で 勝手に席を立ったり、 私語を交わしたりする者が増えて、
空気が乱れ始めていました。
受刑者の間で ガテ (メモ書きの密書) が横行し、
指導を厳しくした結果、 受刑者の不満が高まり、 暴動に至ったというのです。
一方、 視察委員会の委員長は 別の見方を示します。
医務課長の医療行為に問題がある という訴えが相次いでおり、
不適切な医療への反発だったといいます。
委員長は 暴動の半年前、 受刑者たちと面会したときの印象を こう語っています。
「罪と向き合い、 更生の意欲を示す受刑者は 一人もいなかった。」
また 「犯罪被害者の会」 の会員は、
溶接などの作業を 無表情でこなす受刑者たちの姿を 目にしました。
倫理面の教育はどうしているのかと 職員に質問すると、 返ってきた答。
「特にやっていません。」
〔 読売新聞より 〕
(次の記事に続く)