「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

認知行動療法 (2) 

2013年08月13日 21時14分54秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
○ BPDの認知図式療法

 発達早期に形成される 適応不全をもたらす 認知図式の概念では、

 それが幼少期に端を発し、 長期にわたって 広く浸透したテーマであり、

 個人の行動, 思考, 感情, 他者との関係を既定し、

 適応不全をもたらすものとします。

 この認知図式は 幼少期には有効でしたが、

 青年期になって 否定的な感情やもたらすだけになっても、

 認知を支配し続けます。

 認知図式療法では、 患者の思考の歪みを特定し、

 問題を繰り返しす考え方を 見直します。

 BPD患者に見られる 認知図式には、

 「見捨てられた子供」 「怒っている衝動的な子供」

 「懲罰的な親」 「冷淡な保護者」 「健康な大人」 が 明らかにされました。

 このうち 「健康な大人」 の様式を できるだけ強めていきます。

 面接の中で 患者の様々な認知様式を 見て取り、 適切な対策を学びます。

 例えば、  「見捨てられた子供」 の様式で、

 幼少期に満たされなかった 安全, ケアを受けること,

 自律性, 自己表現への欲求を 満たすように努めます。

 治療者は 共感と慈しみを通して、 患者の再養育を目指します。

 誘導されたイメージ, 心理教育, 自己主張訓練, ロールプレイなどの

 認知行動療法の技法が用いられます。

○ BPDの STEPPS集団治療プログラム

 感情の信頼性と問題解決のための 訓練システム

 (STEPPS : Systems Training for Emotional

 Predictability and Problem Solving) には、

 ふたつの段階があります。

 20週間の基本的技能の集団療法と、

 1年間にわたる 毎月2回の集団プログラムです。

 後者は、 目標設定, 信頼することと挑戦すること, 怒りへの対処,

 衝動性のコントロール, 対人関係行動, 台本を書くこと, 自己主張訓練,

 あなたの人生の旅路, 認知図式の再検討から 構成されます。

 STEPPSは、

 BPD患者が激しい感情を 統制する能力に問題がある という仮説に基づいています。

 第1に、 変化が可能であることが 伝えられます。

 第2に、 感情マネジメント訓練, 認知図式と 引き金になる状況を 認識する技能,

 更に それへの反応の訓練が 行なわれます。

 第3には、 生活上の問題に対応するため、

 行動マネジメント訓練を中心とする 目標設定, リラクゼーション,

 虐待的行動の回避などの 技能を習得していきます。

 家族や その他の重要な人々の 参加も求められます。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より
 
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