「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

BPDの自殺関連行動の自己統制モデル (1)

2013年08月29日 22時35分23秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
 BPDの人は、 自分には価値がないという 深い感覚が込み上げて、

 感情にもてあそばれ、 失望と拒絶に耐えられなくなっています。

 彼らは それを自覚して受け入れるのが 極めて苦手なのです。

 自分自身の反応に対して 非常に批判的で、

 自己の 「無効化」 と 自己批判が生じます。

 認知的にも、 誤解されている, 誰も自分のことを気にかけてくれない,

 自分はどこか欠けている と感じています。

 彼らは 不快感を認識して 言語化する能力が未発達です。

 このような経験, 感情, 信念は、 自分が悪いという感覚に 通じていきます。

 自分の価値を認識してもらうため、 他者に強く頼ろうとします。

 感情の統制を欠いているので、 対人関係にすぐ失望して、

 低い自己評価への攻撃と 感じてしまいます。

 彼らは、 自分を動揺させた原因と 自分自身の両方に対して、

 制御されない怒りを感じて 半狂乱になります。

 自分が悪いという感情, 自分への怒り, 自己非難が、

 自殺や自傷行為につながっていくのです。

 自己統制モデルでは、

 自傷行為と自殺関連行動に ふたつのプラスの作用が あると考えられます。

(1) 自分に身体的な傷をつけること

(2) 自己、 特に感情を統制し、 心のバランスと 幸福の感覚を回復する

 患者は 耐えがたい感情, 思考を制御できないことに、 自己非難を伴っています。

 これは極めて惨めで、 例え数時間でも 永遠に終わらないように感じられます。

 この気持ちを変えるために 何かしなくてはならないという 強い欲求が高まり、

 自殺企図や自傷行為が生じるのです。

 それよって感情統制機能を回復し、 その後で気分が良くなります。

 従って、 自殺企図の後に入院しても 何の役にも立ちません。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より

(次の記事に続く)
 
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