○ 精神分析に基づいた支持的精神療法
これは 同一性の問題に焦点を当てています。
患者の行動と思考過程は、
非常にもろい自己感覚に 対処しようとするためだと考えます。
患者が 「分裂」 を統合できるようにします。
患者が最悪の時でも、 治療者が患者に 温かさや好意を 示していくことが必要です。
患者が 自己感覚の変化を認識し、 同一性を経験することを促し、
支持することも重要です。
患者は、 否認したい部分も含め、
自分自身のあらゆる部分の 価値を認めていくでしょう。
○ 転移に焦点を当てた精神療法 (TFP)
患者と治療者が共同で、 治療の条件の契約と 構造を作り上げ、 それを維持します。
BPDの衝動的な自己破壊行動, 混沌とした対人関係, 歪曲された知覚,
断片化した同一性は、 精神の分裂のせいだと 考えられています。
患者の中では、 相手のイメージと自分のイメージの 組みが、
様々な感情のパターンと 関連しており、 それが統合されることができません。
好ましいイメージが 忌ま忌ましいイメージに損なわれ、 破壊されるのを防ぐために、
内的世界は無意識に分裂し、 断片と化しています。
自己の部分同士が、 互いに排除しあったり、 否認しあったりすることが、
その場限りの行動や 認知, 感情の原因と考えられます。
TFPでは、 患者が治療関係で混乱した場合、
相手と自分のイメージの組みを 特定します。
今ここで起こっていることを 話し合い、 理解する共同作業を続けます。
患者のイメージに働きかけ、 それに伴う苦痛を 扱うことによって、
部分同士を統合していくようにします。
安全な治療関係の中で、 患者の心の理解し、 変化をもたらしていきます。
〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より