「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「実録・連合赤軍  あさま山荘への道程 (みち) 」 (1)

2008年05月12日 23時31分18秒 | 映画
 
 1960年代の学生運動の中から 連合赤軍が生まれて、

 「総括」 と称する 凄まじい連続リンチ殺人が行なわれ、

 浅間山荘事件へと発展していく 過程を描いた、若松孝二監督・渾身の作品です。

 3時間10分の大作ですが、全く長さを感じることなく、

 スクリーンに釘付けになりました。

 あの時代に、何故あのような 凄惨な事件が起きたのか、

 若者たちは何故 狂気に陥っていったのか、

 若松監督は 同じ時代を生きた者として、

 何としても 残しておかなければならないという 執念で取り組みました。

 浅間山荘事件が起きた当時 テレビ各局は、終日 浅間山荘を放映し続けました。

 僕も学校から帰ると、母親が テレビを点けっぱなしにしていたことを 覚えています。

 でも僕は 政治や社会的なニュースには まだ余り関心はなく、

 事件の背景などは 知りませんでした。

 また、京大は 学生運動のメッカでしたが、

 僕が入学した頃は その残り火がくすぶっていた感じで、

 立て看板やゲバ学生の姿が 垣間見られたくらいでした。
 

 映画では、当時の状況を 時系列で描いていきます。

 学費値上げ反対に 端を発した学生運動は、国家権力に対抗し、

 三里塚闘争など 農民や労働者と 観念的に結びついて、全国的に拡大していきました。

 そんな活動に参加した 学生の一人に、遠山美枝子がいました。

 演ずるのは、この映画の主要人物の中で 唯一著名な俳優、坂井真紀です。

 彼女は元々 この事件に関心があり、自らオーディションに 飛び込んだのだそうです。

 学生たちは各地で 激しい暴動を起こし、

 数百人,数千人単位の逮捕者や、不幸な犠牲者までも出してしまいます。

 国は 徹底弾圧に躍起になり、「赤軍罪」 という言葉まで使われて、

 微罪逮捕で 取り締まりを強化していきました。

 よど号ハイジャック事件などを経て、幹部たちは次々と検挙され、または国外逃亡し、

 組織は弱体化していきます。

(海外逃亡したメンバーの中に 重信房子がいました。

 ここだけの話  (^^;)、心子の本名 (下の名) は 実は彼女と同じです。)

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54217435.html 
 
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文化放送 「死刑執行」 (6) (裁判員制度)

2008年05月11日 10時43分11秒 | 死刑制度と癒し
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54159247.html からの続き)

 死刑制度が 様々な問題を含んでいながら、国民的議論はなされていません。

 にも拘らず、一般人が 死刑を含む刑を下すという 裁判員制度が、

 あと1年で 開始されようとしています。

 司法への参加についても 死刑制度についても、

 国民の意識や考えは まだまだ高まっていないでしょう。

 そんな現段階で、裁判員制度の始動は 拙速ではないかと感じています。

 20年程度で仮釈放される 無期懲役の次は 死刑しかないという、

 極端な刑罰の 狭間に立たされたとき、

 国民は確信を持って 判断することができるでしょうか。

 死刑判決は全員一致にするべき という法案が出されたり、

 最初はもっと軽微な犯罪を 裁判員制度の対象にするべきだ という意見もあります。

 例えば、死刑の実態を知らない 裁判員が多くて、多数決で死刑になったが、

 放送を聴いて 死刑の悲惨さを感じた自分は 反対だった、

 という裁判員の苦痛は 如何ばかりのものでしょう。

 ところで、死刑制度反対を理由に 裁判員を辞退することはできない

 とされていましたが、心理的に 非常に支障をきたす場合は 免除される、

 という方向へ行くようです。

 しかし逆に、裁判員をやりたくないために 死刑反対と言い張る人が

 出てくるかも知れず、事前審査で それを見抜くことができるのか 不安も残ります。

 また、僕は 精緻司法に与するものですが、

 短時間で 難しい真実を 明らかにすることが可能なのか、

 冤罪や量刑不当のことも とても危惧しています。

(光市母子殺害事件・差し戻し審の 事実認定も詳細を極め、

 非常に長い時間を かけています。)

 裁判員が急かされるように 判決を出して、

 後になって 後悔を一生引きずる ということも起こるかもしれません。

 裁判員が マスコミ報道から受ける影響や、

 守秘義務についての 理解度や実効性にも、大いに疑問が付きまといます。

 不適切な人物を 裁判員に選んでしまう危険性や、

 その他にも問題は 山積していると思いますが、

 見切り発車をしてでも 実例を重ねていくしかないのでしょうか。

 しかし、“試行” 段階で 死刑を下されたとしたら、

 容疑者はそれこそ たまったものではないですね。

 控訴はできますが、それで 一審が覆されると、

 裁判員制度の意味は何なのか という議論も出てきてしまいます。

 ちなみに、僕が 残された人生の間に 裁判員になる可能性は、1%くらいでしょう。

 僕個人は (問題は多々あれ、施行するのであれば)

 是非 やってみたいと思っています。

 一方、嫌で堪らないという人も いるでしょうが、同じ条件で 抽選で選ばれます。

 積極的な意思を 持っている人を 優先した方が、真剣な裁判ができ、

 被告のためにもなるのではないか とも思ってしまうのですが……。

 ともあれ、裁判員制度や死刑制度について、

 皆がもっと よく考える機会が 増えることを願ってやみません。
 
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文化放送 「死刑執行」 (5) (感想)

2008年05月10日 11時39分21秒 | 死刑制度と癒し
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54143995.html からの続き)

 番組は主観を排して 最後を締めくくっています。

 今まで 闇の中だった死刑執行現場を 生々しく伝えたことは、

 非常に意義のあることでした。

 敬遠されがちな 難しい題材を取り上げた 文化放送には、敬意を評します。

 番組放送後、局には 評価する電話などが 沢山ありました。

 でも中には、被害者側の声がないという 批判もあったそうです。

 極めて貴重な 録音テープですが、録音と編集の 状態が良くないので、

 それを補うための 番組の構成が重要になります。

 「死刑執行」 という 番組のテーマからして、

 死刑執行の現実を 人々に知ってもらい、

 裁判員制度を控えて、死刑を自分のこととして 考えてもらうのが目的でしょう。

 ひいては、死刑是認に傾いている世論を、

 バランスある方向へ 促すスタンスになるのは 必然的なことだと思います。

 また、拘置所関係者が作った という性質上、

 刑務官の立場が 重視されていることも 致し方ないかもしれません。

 ただし、刑務官という 個人の心情のために、

 死刑存廃という国家的な制度を 論じるべきではないと思います。

 刑務官に過剰な負担がかかるから 死刑はやめるというのではなく、

 もしも死刑が 必要だと言うのなら、

 刑務官の負担を減らしたり、なくする方向で 考えていかなければなりません。

 絞首刑でなく 薬物にするとか、人の手で注射するのではなく

 自動的に注入できるようにするなど、他の方法を考案するべきでしょう。

 そして 番組でも指摘していたように、死刑囚を拘置する施設 (人間) と、

 執行する施設 (人間) を 別にすることも肝心です。

 しかし それよりも重要なのは、国家が人を殺すということが、

 近代的・文化的社会として あるべき姿なのかということです。

 殺人に対して 殺人で返す応報刑は、

 国家が殺人者と同じレベルに なってしまうことではないでしょうか。

 刑務官の苦悩が、死刑という形の刑の 残酷さを、

 物語っていることになると思います。

 番組は、その不合理さを 実感として伝えたものの、

 まだまだ多くの人は それを知りません。

 国の方針として、死刑の現状を もっと明らかにするべきだと思いますが、

 長い間 状況は逆行してきていました。

 官民で情報を 公開していくことが望まれます。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54174871.html
 
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文化放送 「死刑執行」 (4) (死刑囚の心中)

2008年05月09日 12時11分24秒 | 死刑制度と癒し
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54126666.html からの続き)

 番組では、元検察官への インタビューもしていました。

 自分が担当した死刑囚から、手紙をもらった検察官の話です。

 その死刑囚は拘置所で 文鳥を飼うことを許可され、

 文鳥を世話することを通して、人間的な感情を回復し、成長していったといいます。

 また、舎房から外を眺めていると、雀をはじめ 多くの野鳥が見えるそうですが、

 あるとき雀の雛が カラスに襲われました。

 母雀は小さな体で カラスに立ち向かっていき、我が子を救おうとしました。

 しかしそれも叶わず、雛はカラスに 噛み殺されてしまいました。

 死刑囚は、その時ほど カラスを憎いと思ったことはなく、

 そして自分が このカラスだったのかと、自分を呪いました。

 しかし 過去の大罪を呪い、苛まれることによって、

 自分も成長するのではないか と思ったということです。

 彼の執行が決まったとき、彼から検事には お礼の手紙が届きました。

 自分に死刑を 求刑したことよりも、

 取り調べのとき 自分の話をよく聴いてくれた ことに対する感謝でした。

 検事は 刑の恩赦ができないかと 思っていたほどなので、

 彼に執行をする 必要があったのかという 思いになったといいます。

 ただし、この死刑囚が このような敬虔な気持ちになったのも、

 死刑制度があったからこそ だと思っている、と。

 
 番組で放送された死刑囚は、強盗を犯したうえ、警察官を射殺しました。

 死刑が確定してから 仏教に目覚め、次第に平静な心を 取り戻していったといいます。

 そして、ついに 執行のときを迎えるのです。

 刑場で所長と 固い握手を交わしますが、所長は感極まって 言葉になりません。

 立ち会いの検察官に 自らの罪を詫び、言葉を交わします。

 読経の中、死刑囚は刑務官に抱えられて 刑壇に進み、目隠しと手錠をさせられて、

 ロープが首に掛けられる、というナレーションが続きます。

 そしてガタン! という 刑壇が外される大きな音、

 滑車(?)の音、ロープがきしむ音が 響きます。

 読経、鐘を叩く音。

 医官が聴診器を当てる作業を 説明するナレーション。

「報告します。 死刑執行、2時59分。

 刑終了、3時13分2秒。

 所要時間 14分2秒。終わり。」

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54159247.html
 
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文化放送 「死刑執行」 (3) (刑務官の苦悩)

2008年05月08日 10時51分23秒 | 死刑制度と癒し
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54108303.html からの続き)

 現在、法務大臣の執行命令が出てから 5日以内に刑が執行され、

 死刑囚本人には 執行当日の朝に言い渡されます。

 以前は 執行の数日前に 本人に伝えられ、

 死刑囚が肉親に別れを告げる 時間が与えられていました。

 放送された録音テープには、

 死刑囚が 姉と最後の面会をする場面が 収録されています。

 死刑囚は涙を堪えながら、幸福だった 子供の頃の想い出,事件の謝罪,

 年老いた母親への思慕、可愛い子供のこと などを語ります。

 姉は終始 忍び泣いていました。

 また執行直前、残される死刑囚仲間に 一人一人挨拶する声も 収められています。

 それから 保安課長に連れられて、刑場へ向かう足音が 生々しく響きます。

 刑場の中に入り、死刑囚に所長から はなむけの煙草が与えられます。

 執行間際にも拘らず、死刑囚は 笑いながら昔話をし、

 刑務官たちの笑い声も 聞こえます。

 彼らの長年の 人間的な結びつきが現れています。

 刑務官は 死刑囚が容疑者の段階から、彼らの世話を していることが多いのです。

 被告の心の葛藤も 知っており、ずっと彼らの生活指導をしたり、

 辛い気持ちを吐露されて 励ましてきたりしました。

 長年家族のように 喜怒哀楽を共にし、恨みつらみや 哀れみも含めて、

 付き合ってきた関係です。

 そんな刑務官が 自らの手で、彼らに死刑を 執行しなければならない。

 人間として こんな辛いことは ないのではないでしょうか。

 執行は 刑務官がすべきではない、別の場所ですべきだ という主張もあります。

 刑務官は 執行のときのことを、

 何十年経っても 克明に、鮮烈に 覚えているといいます。

 そして罪の意識を 持ち続けているのです。
 

 刑務官は、拘置所で 死刑囚と長い間 直接向き合っていると、

 彼らが社会的に 非難されるべき人間だという 意識は薄れ、

 目の前の一人の人間という 気持ちで接するようになります。

 被害者感情に与するよりも、裁判で有利になるよう 相談に乗ったりするそうですが、

 それは人間として 当然な感情でしょう。

 「お前なんか死刑だ」 と言う刑務官は 一人もいないということです。

 一方で、ある刑務官は、拘置所の高い塀が、

 犯罪者を社会から守っている と感じることもあるそうです。

 表に出れば 厳しい攻撃を受けますが、それは 裁判所へ行ったときだけで、

 あとは 外からシャットアウトされます。

 社会に注目されている 凶悪犯だと、逆に大事にされたりもするそうです。

 そんなときは、被害者や社会感情を 大事にしなければいけないと思う

 と言っていました。

 年間600~700人の殺人犯が 裁判にかかり、

 そのうち99.9%の人は 命が繋がって 刑務所へ行きます。

(刑務所は矯正施設であり、社会復帰のために 服役する場所ですが、

 死刑囚は 矯正不可能と判断され、死刑執行まで拘置所で 待つことになります。)

 拘置所と刑務所の双方に 務めたことのある刑務官は、

 死刑囚とそうでない殺人犯に 何千人と接して、両者に違いはないと言います。

 刑務官は矯正職員で、服役者を社会復帰させることを 使命とする仕事です。

 そんな 教育者的な立場の人間が、人を殺すことも 仕事としていることを、

 非常に悲しく 残念だと述懐していました。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54143995.html
 
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文化放送 「死刑執行」 (2) (執行の前後)

2008年05月07日 10時28分53秒 | 死刑制度と癒し
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54095758.html からの続き)

 死刑を執行する刑務官は、死刑囚を刑場に 連れて行く係,目隠しをする係,

 手錠を掛ける係,首にロープを掛ける係,膝を縛る係,執行ボタンを押す係など、

 それぞれの役割を分担します。

 ただし これらの任務を 命じられるに当たって、妻が妊娠中だったり、

 家族に重病人がいたり、喪中の刑務官は 人道的配慮から免除されます。

 ある刑務官は 9人の死刑執行をし、その後 妻をがんで亡くしましたが、

 酒を飲みながら 漏らしたといいます。

「……俺、9人も 殺してるからな……」

 それ以上は 言わなかったそうですが、

 罰が当たったんじゃないか という意味合いなのでしょう。
 

 刑務官は執行前日、刑場の準備をします。

 死刑囚の身長に応じて、首を吊るすロープの長さを 調節するのも大事なことです。

 当日は 数秒の間に、死刑囚にロープを掛けて 落とさなければいけないので、

 押さえ方など 失敗しないように練習します。

 死刑囚がおとなしく 刑を受けるとは限らず、抵抗する場合もあるため、

 あらゆるケースを想定した 訓練もするのです。

 再審請求中なのだと言って 暴れる死刑囚もいるそうですが、

 冤罪かもしれない ということを考えると、刑務官の心中を想像するに ぞっとします。
 

 死刑囚の中には、執行を告げられると、顔がこわばり、失禁したり、

 冷静な人は いないといいます。

 刑場まで歩けず、刑務官に引きずられていく 人もいるし、

 最後の食事も 喉を通らない人もいます。

 祭壇を前にして 多くの人は観念するといいますが、そうでない人もいます。

 逆らう死刑囚に対する執行は 非常に難しいようです。

 あるケースでは、首にロープを掛けて ボタンを押す 手際がうまくいかず、

 死刑囚が宙づりになったまま、ロープを締め直さなければ ならなかったそうです。

 死刑囚は 頸椎損傷の即死ではなく、窒息死になったため、

 長い時間 苦しんで死ぬことになってしまいました。

 落ちたとき、口から何か出す人もいるし、鼻血などを出したり、

 筋肉の痙攣のため 空中を泳ぐように 手足を動かしたりもするそうです。

 それを まともな気持ちで見られる人間は いないといいます。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54126666.html
 
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文化放送 「死刑執行」 (1) (刑場の実態)

2008年05月06日 17時47分31秒 | 死刑制度と癒し
 
 本日、文化放送の 「死刑執行」 を聴きました。

 死刑囚の処遇改善などを 訴えるために、

 大阪拘置所の関係者が 秘密に録音,編集した 死刑執行現場の音声です。

 番組では55分間 CMは一切なく、

 解説やインタビューの合間に 録音を放送しました。

 読経の中、刑壇が 激しい音を立てて抜け落ち、

 首を吊るしたロープが きしむ音も収録されています。

 刑務官の立場からの 視点が多かったですが、

 街頭インタビューや 元検察官へのインタビューも 含まれていました。

 もし自分が 裁判員になった場合、死刑判決を下せるという人,

 自分は嫌だという人,嫌だが仕方がないという人の 声が取り上げられていました。

 先日 あるテレビ番組の電話アンケートでは、

 8割か9割の人が 死刑を下せるという 結果が出て、

 僕も番組出演者も 驚いたものです。

 でもそれは、死刑の実情を知らず、観念的に考えているからではないでしょうか。

 番組の街頭インタビューでは、死刑を肯定しながら、

 日本の執行方法が 絞首刑であることさえ 知らない人たちもいました。

 誰が死刑を執行するのか、死刑囚はどこにいるかなどの 質問への答もおぼつきません。
 

 死刑囚は刑務所ではなく、全国7カ所にある 拘置所に収容されています。

 拘置所に設置されている 刑場は、

 高さ5メートルほどの コンクリートの建物で、外観は倉庫のようなものです。

 死刑囚は刑執行後、失禁したり 血管が切れて 血が吹き出たりするので、

 刑場の内部は 水で洗浄しやすい 作りになっています。

 刑場に入ると、中2階くらいの 吹き抜けになっており、

 右は壁、左はビニールのカーテンが 下がっています。

 カーテンを開くと、死刑囚がロープでつり下げられる 地下室が現れます。

 刑場の奥には 中2階にのぼる 狭い階段があって、

 階段の途中の壁に 押しボタンが3つ (施設によっては5つ) あります。

 死刑囚が立つ刑壇を 落とすためのボタンで、

 どれが 実際のスイッチに繋がっているか 分からないようにしてあり、

 刑務官の心理的負担を 軽減するためのものです。

 刑場の中2階に上がると、死刑囚が 最期の祈りを捧げる 祭壇があり、

 死刑囚の宗教に合わせて 仏壇や十字架がセットされます。

 祭壇の向かいの カーテンの奥には、

 1メートル四方の刑壇と、ロープを吊るす 滑車が設置されています。

 死刑囚は 祭壇で祈りを捧げたあと、手錠を掛けて 目隠しをされます。

 それから、回れ右をして カーテンの向こうへ歩かされ、刑壇に立ちます。

 同時に ロープを首に掛けられ、膝を縛られ、ロープが金具で締められます。

 そして合図によって ボタンが押されて、地下室に落ちるのです。

 2秒前後の間の 出来事だといいます。

 死刑囚は落ちる衝撃で 頸椎を損傷して、即死状態になります。

 地下室で待機していた 刑務官は、

 ぐるぐる回る死刑囚の体を 止めたりしなければなりません。

 次に二人の医官が、脈と心音を測ります。

 脈が止まってから、心臓が1~2回 鼓動することもあり、

 全て終わるのに 14~15分かかるということです。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54108303.html
 
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気分の不安定さ (4) (他の疾患との関連)

2008年05月05日 22時50分22秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54073186.html からの続き)

○BPDと統合失調症

 BPDや統合失調症の人は、

 幻覚,妄想,偏執,その他の精神症状を 起こすことがあります。

 共に、自傷や自殺に 至る場合もあります。

 統合失調症の場合は 精神症状の結果ですが、

 BPDの精神症状は たいてい一時的で、意図的な行動です。

 また、統合失調症の人は 情緒や表情が乏しく、人と関わることを避けます。

 ここが双方の 大きな違いでしょう。

 一般的に、両者の診断が 同時に付くことはありません。

○BPDと解離性同一性障害

 BPDの人は、突然失踪して その間の記憶がなかったり、

 非現実感を 体験したりすることがあります。

 解離性同一性障害の患者の大半は、子供時代に 過酷なトラウマがあり、

 BPDの診断を伴っています。

 しかし BPDの患者はほとんど、解離性同一性障害の 診断基準を満たしません。

 多くのBPDの人は、自分のパーソナリティの 特異な部分に気付いていますが、

 完全に意識が分離したり、独立した別人格の存在を知らない ということはありません。

 心子は 広義の解離性同一性障害立ったと 主治医に解釈されました。

 それぞれの人格の意識が 繋がっているため、記憶を共有しており、

 外からは 人格が変わっていることは分かりません。

 しかし 後に気付いたのですが、心子は普段は 自分のことを 「あたし」 と言い、

 怒っているときなどは  「私」 と言っていました。

 これは 人格の交替だったのでしょうか。

○BPDと衝動的・強迫的行為

 BPDの人は、内的な不安を 解消するためには、

 行動で表現するしか 手段がないと感じています。

 怒りの爆発,強迫的な賭け事,過食,強迫的な 抜毛や自傷なども、

 内面的な緊張や動揺を 軽くするための方法です。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54293725.html

〔 参考文献: 「BPDを生きる7つの物語」 (星和書店) 〕
 
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「死刑執行」ラジオ放送(再掲)

2008年05月05日 07時36分53秒 | 死刑制度と癒し
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53807632.html からの転載)

 死刑執行現場の音声を 録音したテープを、

 文化放送がラジオ番組で 放送することになりました。

 5月6日午前10時から、

「死刑執行 (仮題)」 という番組で 55分間流します。

 音源テープは、1955年の実際の死刑執行を、

 大阪拘置所が 職員教育などのために 制作したものだそうです。

 文化放送は、裁判員制度を前に、死刑の現状を 広く伝えるためとしています。

 関係者への取材も含め、死刑の現状を 掘り下げる趣旨だといいます。

 死刑執行を告げる 刑務官の声や、読経、

 死刑囚と刑務官の 最期のやり取りなどが 録音されているということです。

 遺族の了承は 取っているとのこと。

 ただし、拘置所が作成したテープだとすると 客観性を欠き、

 実態を伝えていない可能性がある という意見もあります。

 法務省は、拘置所が執行を録音した事実は 確認していないといい、

 死刑囚に隠して 録音したものかもしれません。

 しかしながら、今まで全く 闇の中に閉ざされていた 死刑執行の現場が、

 一部でも公開されることは、

 死刑というものを考える上で 非常に貴重なことだと思います。

 1年後に始まる 裁判員制度では、

 誰しもが自ら 死刑判決を下す現実に 直面するかもしれないわけです。

 日本は先進国で唯一、死刑が増加傾向にありますが、

 大半の人は 死刑現場の実感を 持っていないと思います。

 自分の考えや裁きが どういう現実に繋がるのかということは、

 ぜひ 知っておかなければなりません。

 当日の放送を 心して聞くつもりです。
 
(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54095758.html
 
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気分の不安定さ (3) (他の疾患との関連)

2008年05月04日 23時20分36秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54055244.html からの続き)

○BPDと摂食障害

 過食症は BPDの摂食障害の中で、一番よく見られるものです。

 過食-排出 (嘔吐) は、

 緊張を和らげる必要があるとき、食べ物で 自分を満足させようとして起こります。

 これに続く 恥の感覚や自己嫌悪が、排出 (嘔吐) を促します。

 肥満に繋がる過食は、性的虐待の体験と関連があり、

 性的関係を回避する働きを していることがあります。

 過食症は 拒食症よりも衝動的で、拒食症の人は より強迫的で完全主義です。

○BPDと心気症,身体的障害

 多くのBPDの人は、自分を世話してくれる人を 求めています。

 身体症状を訴えて、医者の注意を 引こうとするかもしれません。

 心子も、腰痛や足の痛みなどを 訴えていましたが、

 病院で検査しても 原因が分からないことがありました。

 また 高脂血症のため、40才までに 心臓発作で死ぬと 医者に宣告されている

 と言っていましたが、僕と一緒に 病院へ行ったときには、

 それはないと 医者から言われました。

 ただし 心子の主治医の先生は、

 心の傷が 身体症状となって現れているのだ と言っていました。

 またBPDの人は 不健康な生活をする傾向があり、

 さらに医学的な治療が 必要となることがあります。

 飲酒,喫煙があって、運動をせず、家にこもることが多く、

 糖尿病,関節炎,高血圧,肥満,背中や腰の痛みなどが 生じることがあるでしょう。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54084455.html

〔参考文献: 「BPDを生きる7つの物語」 (星和書店) 〕
 
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気分の不安定さ (2) (他の疾患との関連)

2008年05月03日 22時23分07秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54042256.html からの続き)

○BPDと双極性障害

 躁うつ病を含む 「双極性障害」 も、

 衝動性,怒り,気分障害など、BPDと共通点があります。

 ボーダーを知らない人からは、

 ボーダーのことを 「躁うつ病?」 と聞かれることも 珍しくありません。

 双極性障害の気分変動は たいてい無意識に生じ、

 周りの状況には ほとんど関係がありません。

 他者に対して鈍感で、ここがBPDと 最も異なる点です。

 また双極性障害の人は、気分変動の間も 通常の生活ができます。

○BPDとPTSD

 外傷後ストレス障害 (PTSD) も、

 BPDと合併していることが多く、混乱を招きます。

 両者とも子供時代に 虐待やトラウマ体験をしています。

 PTSDの患者は フラッシュバックに苦しめられ、

 この再体験や悪夢が 繰り返されることが、この症候群の特徴です。

 BPDは ひとつのトラウマに 占められることは少なく、もっと多様です。

 心子もそうでしたが、父親の死や前夫の自殺の悪夢に、飛び起きたことはありました。

 PTSDは トラウマの原因となった状況に反応し、

 BPDは 見捨てられる状況に強い反応を示します。

○BPDと物質乱用

 BPDと物質乱用は 共存することが多く、

 一方が他方を悪化させると、自殺の危険性が高まってしまいます。

 BPDの人の薬物乱用は、他の薬物常用者とは違い、

 衝動的で 特定の薬物を求めるということはしません。

 手に入るものなら何でもよく、

 薬自体を欲するというより、社会との接点を求めての ことなのかもしれません。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54069764.html

〔参考文献: 「BPDを生きる7つの物語」 (星和書店) 〕
 
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気分の不安定さ (1)

2008年05月02日 23時25分31秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
 感情の不安定さ (気分変動) は、BPDの最も際立った 症状のひとつです。

 うつ,自己嫌悪,怒り,不安,気分の高揚 などの感情は、

 外からの刺激に対して 突然変化します。

 他の精神疾患と比べて BPDの気分変動は、

 一日のうちに 頻繁に起こり、しかも それが予測できない ということが特徴です。

 その違いをはっきりさせるため、「DSM-Ⅳ」 のBPD基準では、

 反応性,エピソード的,一過性ということを 強調しています。

 心子と僕の場合も そうでしたが、激しい感情の変化に “腫れ物に触るように”

 接するため、とてもストレスを感じるものでした。
 

 BPDは他の疾患と 共通点があるので、診断を難しくしています。

 BPDが 他の病気の 原因や結果になっていることもあります。

 そのため、他の病気の症状を カモフラージュしたり、

 BPDの症状が カモフラージュされたりしてしまいます。

 BPDを合併しているときは、予後に 良くない影響を与えるので、

 BPDを認識しておくことは 重要です。

○BPDとうつ病

 BPDに合併する 一番多い疾患は  「うつ」 です。

 うつ病の診断のときに、衝動性,怒り,人間関係などを考慮しないと、

 BPDが 見落とされるかもしれません。

 逆に 言動だけに重きを置くと、うつ病がBPDの陰に 隠されてしまいます。

 ふたつの障害は かなり重なり合いますが、違いもあります。

 BPDの人は より衝動的で、波乱が大きく不安定です。

 うつの人は 強迫的な心配をする人が多く、

 自意識が強くて 気分変動はほとんどありません。

 対人関係も 長く続く傾向があります。

 うつ病の人と比べて BPDの人は、より自己批判的になりがちです。

 単独のうつ病の7~8割は 治療が功を奏しますが、

 BPDを伴う うつ病は、回復の可能性が 半分になってしまいます。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54055244.html

〔 参考文献: 「BPDを生きる7つの物語」 (星和書店) 〕
 
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